第17話  [ 飛鳥 ]

 

 

 

突如の衝撃により船が大きく揺れる。

「きゃ!」

「ぶほぉ!!」

その瞬間、かわいらしい悲鳴が聞こえたかと思ったら、仰向けに倒れていた俺の腹にすさまじい衝撃が!!

無防備で力を抜いた状態だったため、体内のあらゆるものが全て口から飛び出るかと思うほどだった。

というか、先ほどの揺れでアスカがおれの腹目掛けて倒れてきたようだ。

なんというか、止めを刺されたのかと思った。

「ごほっ……ごほっ! く……なんだ一体」

「……」

「つか……いつまでおれの上に乗っかってるんだ?」

「え? ……あ!」

 

――ドォォン!!

 

更に第二波が襲い掛かる。

こいつは……おそらく……使徒……だな。

「な、なによ一体!」

「たぶん使徒だ」

「使徒?」

「ああ……」

間違いない。

なぜか確信していた。よくは分からないが、おれはこの場面を知っている。変な記憶……これって、あのアダムの光を吸収したせいなんだろうか?

「……ちゃぁ〜んす」

隣でニヤリと不気味ににやけるアスカ……ああ、懐かしい……危険な笑みだ。

「おい……その顔きもいぞ」

と言ってみた。

「う、うるさい! いいからこっちきなさい!」

「命令するなよ」

「ムッキィー!! いいから来なさい!!」

腕をつかまれズルズルと連れて行かれた。

そうだな、まるで連行されるかのような……どこの世界もアスカは強引だ。

 

 

――――

 

 

「なぜにおれはこれを着なきゃいけないんだ?」

待っていたのはアスカの予備プラグスーツを着ろ! との命令であった。

「いいから早く着替えなさい! アンタには特別に直に私の戦いぶりを見せてあげるわ!」

なるほど、そういうことね。でもねぇ……これ着るのか? ある意味女装じゃん……。

「ま、いいか……」

ぐだぐだやってても仕方がない。今、まさに使徒に襲われているんだ。なら、早く出撃して使徒を殲滅するのが優先である。

おれはそう納得させ、着替え始めた。

「き……きつい……」

下半身はなんとか着れたが、上半身がなかなか厳しいものがあった。

「着替えは終わった? 行くわよ! ……って! なんで上半身裸なのよ!!」

赤面しながら突っ込むアスカ。

そんな照れてるアスカ……なかなか良いな……。

「いや、肩が……きつくて無理」

「………………はっ! じゃなくって! もういいわ!! それでいいから早く来なさい!」

おれを凝視しながら呆けた後、慌てて怒鳴り弐号機へ乗り込むアスカ。

間違いなく、おれの裸体で悶えてるようだ……あの更に真っ赤に染めた顔……ふむ。なかなか可愛いね。

男の上半身……見慣れているいないではない! そう、気になる男性の身体だからアスカは興奮してるんだ! やべぇぜ!

……いや、おれの脳がやべぇぜ! ……はぁ……。

戦闘に特化したような筋肉で、しかも脂肪も全くないからな……。ガキの身体付きじゃないしね。そりゃ驚くかもね。

「……つーか、なんか上半身裸って……微妙にロックっぽくていい感じ?」

とりあえず、今日からおれはロック少年になった。

「ふむ、髑髏とか十字架とかのジャラジャラしたアクセが欲しいところだな……帰ったら買いに行くか」

おれのファッションの方向性が本日変わった。

思い立ったら即行動……ロック少年らしい歩き方で弐号機に乗り込んだ。

 

 

「ちょっと、あんたくっつぎすぎよ!」

「しょうがないだろ! ……理性保つの大変なんだぞ……」

「……なにブツブツ言ってるのよ」

どうやら聞こえてなかったようだ。

あぶねぇ、これ以上変態扱いは、精神的ダメージが……。

「さぁ、見てなさい! 華麗にこの私が使徒を仕留める様を!!」

「使徒を仕留めるね……」

まぁ、ギャグのつもりじゃないんだろうけど……ついからかいたくなっちまうな……。

「とにかく、このままじゃ内部電源がもたない。急いで移動するぞ」

「くっ! 命令するな!」

アスカの言動はしっかりしているが、少し手足が震えてる……。

やはりなんだかんだ言ってもこれが初めての実戦……ほんと、強がりだな……。

「愛してるぞ」

と、告白してみる。

「ぶっ! ……もう、一体あんたはなんなのよ!」

信じてくれなかった……。

あわよくばデレっとしてくれたらなぁ〜という期待は崩れ去る。

「……はぁ〜、じゃぁ、アスカ行くわよ!」

「おれの事、そんなに好きなのか?」

「くっ! くくっ……もうサードは喋るな!」

せっかく、緊張をほぐしてやろうと思ったんだが、ただ怒らせただけのようだな……。

いや……少しは効いたっぽいかな?

アスカの震えは消えていた。

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

「もしかして、そこにシンちゃんもいるの?」

ミサトの声が響く。

「ああ、なんか知らんがおれも乗ることになった」

「そう……頼むわね」

「ああ」

私は二人のやりとりに呆けた顔で聞き入っていたと思う。

良く分からないが、先ほどのやりとりに、信頼感的なものを感じ取ったからだ。

碇シンジ……勢いで弐号機に乗せたはいいが、さっきまで邪魔になるかもしれないと考えていた。

こいつの言動があまりにムカつくから……絶対に私を馬鹿にしてるから……。

そんなサードなんか、やはり大したことのない人間だと決めつけていた。

なのに、先のやりとり。

たったあれだけの会話なのに、私は後ろに座っているこいつを意識した。

『きっとこいつには何かがあるんだ』 と。

「くっ! ミサトッ! 出すわよ!!」

「ええ、気をつけて」

「ふん! 誰に言ってるのよ」

そう、自信を持たなきゃだめだ。

私は一番であり続けなきゃいけなんだから。

だから、負けは許されない! 怖くはない! 絶対勝てる! 今までの訓練の成果を見せてやる!

「おいおい、まるで飛んでるみたいだな」

私が船から船へ飛び移ると、後ろのサードがそうぼやく。

「さすがだな……驚いたよ」

ふんっ! ようやく私のすごさがわかったようね。

でも、こんなもんじゃないわ! 後ろで見てなさい!

 

さぁ……始まりだ!!

 

 

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アスカの操縦は、自称エリートパイロットというだけあって、確かにすごいと感じた。

同じことができるのか、おれはわからない。

飛んで、次の船へ……と思ったらもう飛んでる。

操縦誤差がほとんどないように感じる。

恐らく、シンクロ率もかなりものだろう。

エヴァの動かし方を、身体で覚えている……そう、そうなるまでにアスカは訓練を繰り返してきたのだろう。

そう考えた瞬間、おれは少し悲しくなった。

どこでもいいから、遠くへ飛んでいきたい。

そんな願いをアスカから感じとっていた。

そして、使徒を倒すべく、アスカは鳥のように翼を広げ、羽ばたいた。

 

 

 

 

「なによあれ?」

アスカが呟く。

「……魚……だな」

でかい魚だった。

「……あれが使徒……」

「アスカが呼んだんだろ?」

「はぁ? 何言ってるのよアンタ」

「ピリピリ怒るカルシウム不足さん。好き嫌いせず魚を食べろ。じゃないと、大きなお魚さんがアスカを食べに来ちゃうぞ」

と、とりあえず馬鹿にするように言ってみる。

「くっ! 別に魚も食べてるわよ! なんなのよ!」

「はい、それ嘘です。 短気にも程があるだろうと言いたくなるほどの短気なアスカなのに……」

「くっ……もう! あんた黙ってて!」

うん。やはりカルシウム不足だ。

現れたのは魚型の使徒だった。海の中を自由に泳ぎ、暴れている。ただ、おれたちに攻撃をしてくる気配がなかった。まるで、何かを探しているような……そんな感じ。

それにしても、こちらはB型装備。水中での戦闘は非常に厳しい。さぁ、どうするか……。

「アスカ! 10時方向だ」

「く! わかってるわ」

まずいな、緊張ほぐすためとはいえ、やりすぎて逆に苛立たせている……。うまくいかないもんだな。

「とりあえず、落ち着いてくれ」

「うるさい!」

……駄目だ……。よし、別パターンで攻めてみよう。

「アスカの髪って綺麗だな」

「……へ?」

「すごく可愛いよ」

「な……なにを……」

よし! そして、ここで……。

「はむ」

おれはアスカの耳たぶを甘噛みし、「ぺろ」っと、軽く耳を舐める。

「あっ……んんっ」

お! いい反応だ!! ビクンと身体が跳ねる感じ、たまらねぇ……。

これで落ち着いてくれるだろう。うん……あれ? 

――ドボーン!

弐号機が足を滑らし海へ落ちる。

あれーぇ?

アスカはぷるぷる震えている。

もしかして、海に落ちたのおれのせい??

 

 

「へ……変態がぁああ!! なにするのよ!! あんたのせいで落ちたじゃない!!」

 

「……冗談だ」

 

はっきり言おう。

冗談にも程があると。

ああ、おれはどうやらやりすぎだったようだ。

まいったな。

「あはははっ」

「なに笑ってるのよ! どうするつもりよ。足引っ張って邪魔ばかりして」

「いや、落ち着いてもらおうとしてだな……」

「あんなことされて、落ち着けるかぁぁあああ!!!」

うん……よく考えれば、もっともな意見だ。

ふぅ〜……このままだと本気でまずい。マジになるか……。

「アスカ……使徒の弱点はコアだ。おそらくそのコアは口の中だと思われる」

「な……なに急に真面目に……はぁ……体内ね……でも、なんでわかったのよ」

あれ? なんか落ち着いたっぽい? もしかして、単純におれが真面目に声をかければ良かっただけ? 

「ちょっと、聞いてるの?」

「え? あ、ああ……ちらっと見えた限りではコアは見当たらなかった。なのであれば口の中しかないだろう?」

「……でも、さすがに確認はしたいわね」

「いや……確認した……前を見ろ」

前方には、大きく口を開けて襲いかかる使徒が迫っていた。

「って、まずいじゃない!!」

口の中には、やはりコア……なぜおれはこの使徒のコアが体内にあると感じたのか、確かに予想はできるが確信していた。

デジャヴ? いや、違うな……知っていたんだ……くそ、なんだってんだ。

「アスカ!、B型装備じゃ水中戦闘は無理よ」

ミサトさんの声が響き渡る。

だが、逃げようにも敵の牙はすぐそこまで迫っている。

試してみるか……。

「アスカ、とりあえず蹴りでも何でもいい、奴の攻撃を逸らせ」

「く! 簡単に言うじゃない!」

おれは意識を集中する。

そう、この弐号機におれ自身もシンクロするために。

「くぅぅうう!」

――ガキンッ!

衝撃でおれたちは吹き飛ばされる。

どうやら攻撃は逸らせたようだ。しかし、使徒は急旋回し2度目の攻撃を仕掛けてくる。

「ちょ……サード! 何やってるのよ!」

おれが弐号機にシンクロしようとしたのが気に入らないといった声。

だが、今はアスカと言い合っている暇なんてない。

おれは更に意識を集中し、弐号機に語りかけた。

 

弐号機……聞こえるか? おそらくあんたはアスカが大事なんだろ?

……。

なら、おれに力を貸せ! 守ってやるから力を貸せ!!

…………。

時間がないんだ!! おれならどうなってもいい……だから、アスカを守るために、おれとシンクロしろ!!

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

「サード!! アンタ……くっ、この魚、しつこい!!」

「アスカ! シンジくんがどうかしたの?」

「……くっ! なんでもない! それよりミサト、どうすれば良いのよ」

「コアが口の中なのね……わざと食われて攻撃するか、無理やり口を開かせてミサイル攻撃か……ってところね」

「くっ……」

「今、N2魚雷の準備をさせてるわ。どうにか口を開かせて頂戴。食われてしまった場合は、そのまま攻撃して! でもなるべくそうならないようにして……体内に入り込んで無事ですむか分からないんだから」

「わかったわ!」

ミサトの言うとおり、確かにその方法しかなさそうね。

それにしても、サード……一体なんなのよ! 勝手に弐号機にシンクロしようとしてる。

くっ! 

ダメ……水中じゃ上手く動かせれない。

このままじゃ……捕まる。

はぁ……はぁ……はぁ……なんでよ……また震えてきた……このエリートである私が……あんな魚ごときに……。

これが……恐怖?

ふざけるな! 私は怖くなんてない! 

すごいスピードで、また突っ込んできた……口が開く……あとは、あの開いた口を固定してやるだけ……。

タイミングが少しでもずれたら……私はあの大きな牙で噛み殺されるかもしれない。

――ゾクッ

「……うっ」

大丈夫、大丈夫なんだから……。

「あ……あうぅ……」

いや……怖い……震えが止まらない……なんで、なんでよ! 力が入らない……。

はぁ……はぁ……はぁ……もうだめ……死……死にたくない!

「いや……うっ……ああぁ」

助けて! 助けて! ママぁ!!

「いやぁああああ!!!」

 

その時、私はパニック状態だった。

だけど、食べられたと思った瞬間、とても優しい温もりに包まれたような気がした。

情けなくも怖がってしまった私だったが、その優しさに触れたと思ったら、急に恐怖が薄まっていった。

これは一体なんだったんだろう?

恐怖が薄まっていくと同時に、やっと現在の状況を把握できるようになっていた。

抱きしめられていた。

私は……サードに抱きしめられていたんだ。

「アスカ……くっ……もう大丈夫だ」

その彼の「大丈夫だ」という一言で、急に力が湧きだした。

こいつがそう言うなら、本当に大丈夫なんだろう……なぜだかわからないけど、こいつの言葉は私を安心させた。

私は状況を確認する。

現在、弐号機の左腕が、見事に使徒の牙の餌食になっている。

痛みは……多少感じるが、それ以上の温もりのおかげなのか、さほど問題なかった。

「アスカ……このままこいつの口を開くぞ……」

「……ええ」

さっきまでムカついていたサードの言葉を素直に受け取ることができた。

不思議な感覚……私は、もう負ける気がしなかった。

 

 

――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

アスカの悲鳴が聞こえた。

その瞬間、どうやら弐号機が反応したらしく、やっとシンクロできたようだった。

アスカとおれの同時シンクロ。

すると、アスカの感じていた恐怖が流れ込んできた。

おれは優しくアスカを抱きしめる。

もう失わないように……絶対に守り切ると……。

その直後、おれの左腕に急激な痛みが襲い掛かる。

弐号機の左腕が使徒に食われたってわけだ。

フィードバック……アスカの表情をみると、アスカは痛みを感じているようには見えない。

おそらく、弐号機が痛みだけおれに回したってことだろう。

たく……アスカびいきというか……なんというか……。

「くっ!」

それにしても、この痛み……並みじゃない。痛いとかそんなレベルじゃないぞ! 腕が引き千切られていくのをじっくり味わっている感覚とでも言おうか?

まじでヤバい! 痛みで気を失いそうだ。

アスカの目には力が戻っている。

ここで、おれが痛み全てを受けていると感じ取られるのは得策じゃない。だから……我慢だ。

そう、男の子ってやつだ。

ヒーローってやつさ……そう思おう……少しは陰で傷つき苦しむヒーロー像に酔ってもいいだろう。

じゃなきゃ、この痛み、耐えられないんだよ!!!

くそったれ!!! マジ痛いぞこんちくしょう!!! 

「ぐっ……ぐあぁ……」

痛みで声が漏れる。

それを聞いたアスカが、一瞬こちらを振り向く。

「ど、どうしたのよ? 顔真っ青じゃない!」

あ、気付かれた?

「……お腹壊したんだ」

「…………」

呆れた顔で見られた。

まぁ……誤魔化せたから良いか……。

「良い? 漏らしたら殺すから! ぜっっったいに我慢しなさい!!!」

そりゃそうだろう。

ここで漏らせば……この中は……●●●まみれ……想像しただけでもおぞましい。全て伏字にするほど危険だ。

まぁ、実際そう言う理由じゃないから、安心しろ。だから、変な目で見ないでください。

「く……なかなか開かないじゃない!!」

「ぐっぅ……!」

少しづつ開く使徒の口。

痛みが止まらない……早くこいつを倒して楽になりたいもんだ。

「ちくしょう!! 開きやがれ!!!」

おれは大声で力を込める。

痛みを無理やり押し込め、アスカと同調するように意識を集中した。

 

 

――――――

 

 

おれは今弐号機の中でアスカを抱きしめていた。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

「はぁ……はぁ……はぁ……」

どうにか開かせた使徒の口の中にN2魚雷をぶち込んで殲滅。

現在弐号機はプカプカと海の上に浮かんで救助を待っているところだ。

「アスカ……頑張ったな……さすがだ」

「……うん……」

なんか良く分からないが、疲れのせいだろうか? とても素直なアスカだった。

あまりに可愛いアスカを目の当たりにしたおれは、右手で優しく頭を撫でてやった。

そして、アスカも抵抗せず、黙って撫でられている。

痛みに耐えたおれへのご褒美……かな?

「……あれ?」

アスカが何かに気がついたかのような表情になる。

なんだ?

「アンタ! 早くトイレ行きなさいよ!! ちょっと、あああ!! もうなんだってこいつはぁ!」

ああ……そういや、そういう設定だったな。

「いや、なんか知らんが、治まったから大丈夫だ」

「だけど! ほら、出るわよ!」

アスカは勢いよく外へ飛び出る。

あああ……せっかくに二人っきりの空間だったのに……。

「ほら、アンタも早く出なさい」

そう言って、左手をおれに差し出す。

良く見ると、すごく照れているようだった。

「は……はやくしなさい……バカシンジ!!」

……。

あ……あははっ……バカシンジって……あはははっ。

やっと名前を呼んでくれたアスカ……しかも、懐かしいあの呼び方で。

嬉しかった。

色々あったが……少し変態だと思われてる気もするが……終わりよければ全てよし!

また、アスカに会えて良かった……。

「うっ……なんて顔してんのよ! いいから掴りなさい!」

「……ああ」

おれは、愛しいアスカの手を握るべく、左手を伸ばす。

「……あれ?」

「……何やってるのよ?」

「あ……いや……」

…………。

まいったな……。

「あのさ、アスカ……左手って敵意を意味するらしいぞ……だから、右手が良いな」

「……この態勢で右手を出せと?」

アスカは、右手で身体を支えながら、左手を差し出していた。

「ああ……おれってそういうの気にするタイプでさ……アスカとはずっと仲良くしていきたいから」

「う……わ、わかったわよ! たく、シンジのクセに生意気ね」

そう言って、態勢を整え右手を差し出すアスカ。

「くくっ……それ、どこぞのガキ大将のセリフだよ」

「うっさい!」

そうして、おれはアスカの右手を掴んだ。

 

……まじでまいったな……。

左腕が……全く動かねぇ……。