―― 000 Halkeginia mythology

― 開幕 ―

 

 

 




 

吹き抜けるような青空、心地よい風と豊かな草原。

天国を思わすような緑の世界。

一人の女の子がこちらを窺っていた。

ここはどこだ?

セフィロスは……倒した……それは間違いない。

ただ、同時に俺自身も。

天国?

いや、それは無いだろう。

あるとするなら、地獄だ。

しかし、どう考えても地獄とは思えない。

おれの目の前にいる少女。

その周りを囲む者達。

モンスター?

よく分からないが人とは異なる生物もいるようだ。

妙に物珍しいような視線でこちらを見ている。

全く意味がわからない。

皆は一体どこに行ったんだ?

ティファは? バレットは? 皆どこだ?

 

「あんた誰?」

目の前にいる少女。

ピンク色がかった綺麗なブロンドの髪が特徴的で、透き通るような白い肌、鳶色の瞳、おれから見ても綺麗で可愛らしい女の子がおれに声をかけてきた。

おそらく、ユフィぐらいの年齢だと見受けられる。

 

こいつらは一体誰だ?

「おい……ココはどこだ?」

「んな! 貴族に対してその言葉遣いは何よ!」

見た目は可愛らしいが、なんだかキャンキャンうるさい女だ……。

おれは獲物を抜く。

目の前の女の首元に刃物をあてがい、もう一度言った。

「ここはどこだ」

その時、おれは驚愕した。

おれはアルテマウェポンを装備していた。

なのに、おれの持っていた獲物は……セフィロスの使う刀と同じものだった。

しかし、全てが同じわけではない。

刃の部分が真っ黒で禍々しいオーラを発している。

この獲物は、間違いなくアルテマウェポンだったはずなのに。

そして、装備していたマテリアがなくなっていた。

マテリアの穴も、8つから1に減っている……。

しかも、装備された1つだけのマテリアの色が、真っ黒だった。

黒のマテリア……メテオ?

おそらく、アルテマウェポンでセフィロスを刺したときに、何らかの変化があった?

よくわからないが、そうだと感じている自分がいた。

 

「……ヒィ……」

刃物を押し当てられてるピンクの女が軽く悲鳴を漏らす。

だが、意外にも足元はしっかりしてやがる。

なかなかに、度胸はありそうだ。

敵……ではないのかな……。

辺りのモンスターを見て、敵と判断していたが、この女を見る限り違いそうだ。

そう考えていた瞬間、10時方向から魔力を感じ取った。

それは炎……燃えさかる特大炎だった。

「そこの剣士よ。彼女から離れなさい!」

少し頭の禿げ上がった中年まではいかぬだろうが、一番の年配者と思われる男性がおれに殺気を込めてきた。

もう一度辺りを見回す。

あまりにも変な団体……とだけしかわからないな……。

まぁ、敵ではなさそうだ。

少し過敏になってるな……。

おれは静かに刀を納めた。

「すまない。気づいたらこんな場所にいたものだから、あんたらが敵なのかわからなかったんだ」

「そうですか……」

年配の男はそのまま炎を消し、殺気を緩める。

「あなたは……貴族……ですか?」

年配の男が質問してくる。

「黒いマント……少し違うようにも見えますが、気になるのはその服の色……紫色ですね……」

紫? 紫色がなんだというんだ?

まあいい、とにかくここがどこなのか……それが知りたい。

「俺の名はクラウド・ストライフ。ここはどこだ?」

「ちょっと! あんた何様よその態度!!」

おれは一番話のわかりそうな年配の男に話しかけたのだが、先ほどのピンク女が割り込んでくる。

まわりの人間たちも騒ぎ出す。

「平民を呼び出したぞ!!」

「さすがゼロのルイズだ!」

「平民を召喚するなんて誰も真似できないぜ!」
 

平民? 召喚??

恐らくゼロのルイズとは目の前にいるピンク少女のことだろう。

なら、平民とは俺のことか?

召喚……召喚魔法で俺が出てきたというわけか?

一体どんなマテリアを使ったのか……。


「ちょっと間違っただけよ!! ミスタ・コルベール!! あの! もう一回召喚させてください!」

年配者はコルベールという人物なのだろう。

その男性と目の前の少女がなにやら言葉を交わしている。

ここがどこなのかさっぱりだが、とりあえずおれは生きているようだ。

召喚という言葉は少し気になるが、今は仲間を探すことが先決だ。

心配…………させちまってるだろうからな。

ここがどこなのか、彼らは語る気配も無い。

実に怪しい団体だ。

はっきり言って奇妙すぎて関わりたいと思えない。

まぁ、適当に歩けば大きな町にも出るだろう。

とりあえずは、移動するか……。
 

おれはそのまま、この場から去った。


「く……感謝しなさいね、貴族にこんなこと……って……あれ??」

「あ〜……さっきの彼なら、どっかに行っちゃったわよ。」

「なんですって〜〜〜!!!!」





 

 クラウド・ストライフ
 装備品  
 武器  黒刀 ・ 無銘夜桜 (元アルテマウェポン)


 
 攻撃力+120 命中率+120 魔攻+51 魔防+24
 マテリアの穴1
 禍々しいオーラを発している
 (何かしらの効果があると思われる)
 腕輪  ザイドリッツ
   防御+100 魔防+98 回避+15 魔回+18 魔力+20 力+20
 全属性半減
 マテリアの穴無し
 アクセサリー  守りの指輪
   自動的にバリア(物理ダメージを1/2に下げる)
 マバリア(魔法ダメージを1/3に下げる)がかかる
 装備マテリア  
 ???   黒のマテリアで効果は不明