―― 001 Halkeginia mythology
― 知らない場所 ―
クラウドは、先ほどの平地から数キロ離れた街に来ていた。
人通りが多く、賑わっている大通りを鋭い眼光で観察していた。
―― ◇
おれは、おそらく召喚された。
しかし、それが不可解だった。
まず、俺自身マテリアに封印されちゃいない。
それに、召喚されると、召喚者に従う絶対力が働く。
しかし、おれにはまったくもってそんなものは感じない。
適当に人間を移動させるマテリアがあるのか?
まあ、とりあえずは現状把握だな……。
そう思っていた。
しかし、数時間後おれの中で、1つ嫌な予感が思い浮かんだ。
それは、あのセフィロスとの最終決戦でおれは……ライフストリームの中に……。
そして、時間をかけて俺自身がマテリア化しちまったとしたらどうだろう?
そう考えると、ここはおれの知らない未来……と考えれる。
なぜおれがそういう考えをしたかというと。
おれはこの場所を見たことも聞いたことも無かったからだ。
道行く人に尋ねても、ソルジャー、神羅等の存在を知らなかった。
ありえない話だ。
おれは仲間と世界中を見て回ったんだ。
こんな場所……おれは知らない……。
ふー……頭が痛いぜ……。
頭を抱えながら、近くの大木に腰を下ろした。
監視されてる?
先ほどから視線は感じていた。
しかし、その視線は多く、監視というより物珍しさといった視線。
人通りから離れると、監視という独特の視線に気づいた。
どうやら、声をかけてくるようだ……。
近づいてきた視線を意識しながら、その気配を探る。
敵意は感じられない。
ただ、警戒している……。
まずは話してみるか……。
「そこの剣士」
「……ん?」
今気がついたかのように呼びかける声に反応する。
そこには剣士の格好をした女性が立っていた。
「私はトリステイン傭兵隊のアニエスだ。見かけぬ格好だな……変わった剣を持っている。悪いが少し話を伺いたい」
物腰は悪くない。
警戒心はあるようだが、紳士的に話しかけてきた。
「…………なぜだ?」
ぶっきらぼうな返事かとも思ったが、こういう性格なので仕方が無い。
「あまりにキミが浮いていたんで声をかけさせてもらった」
「…………そうか……」
そうか……おれは浮いているのか……。
誰が見てもそうなのだが、少しへこんだ。
「どこから来た」
「…………さぁ?」
「……ココで何をしていた?」
「…………さあね」
説明がめんどくさいな……。
「……なにやら、いろいろ探ってるように見えたんだけどね……まあいい……ついてきてもらおう」
「……断る……と言ったら?」
「決まってるだろ? ……力ずくしかないね」
おれの態度があまりにも無礼だったのだろう。
アニエスと名乗った女剣士は、少し苛立ちを見せている。
おれは別に敵対したいわけでもなかったので、アニエスに質問をする。
ここがどこなのか……確信がほしいために。
「…………1つ聞きたい」
「……ん? ……なんだ」
「世界地図はあるか?」
そう、確認がしたいんだ……ココが未来なのか、それとも……。
「……なんだ? そんなもの何に必要だ」
「……あるのか? ないのか?」
「今は持ってない……ついてくれば見せてやるよ」
「……わかった……ついていこう」
「……ああそう、悪いがその剣預からせてもらう、キミは怪しいからね」
「好きにしろ……ただし、あとで返せよ」
「キミに危険がないとわかったら、返そう」
そう言っておれの刀を奪った瞬間。
――ズン
「ぐっ……」
アニエスという女は、刀を落としてしまった。
「……なんだ……この剣は…………」
「なにをやってるんだ?」
おれは一瞬理解が出来なかった。
「こんな……重いものを……」
どうやら、重すぎてもてないらしい。
確かに、多少の重量感はあるが……そこまで重いはずが無い。
地面に落ちたその刀を、ピクリとも動かせないのだから。
「……あ」
「……な、なんだ」
「すまん、忘れてた。それ、おれ以外装備できないんだ。アルテマウェポンに認められないと無理」
「…………なんだそれ?」
―― ◇
アニエスはいつものように街を巡回していた。
治安維持活動というわけだ。
しかし、街の様子がいつもと違うことに気づいた。
街の中に、一匹の獣がいるような……そんな感覚である。
その正体はすぐにわかった。
金髪で紫色の服を纏い、黒いマントのようなものをつけた青年。
しかし、貴族には見えない。
マントも貴族らしいマントではなく、旅人のような雰囲気がある。
また、マント左側が長袖、いわゆる腕を通す袖があり、見た目はマントから腕が生えているような感じである。
右側は袖が無く、なんとも不思議なマントである。
どうやら、通常のマントより、生地が柔らかそうな感じで光沢もない。
おそらくだが、防寒具的であり旅をするには実用性のありそうな服である。
しかし、紫色の服は、高貴な人物でない限り身につけることは出来ないはず。
この世界、紫色は貴族の中でも特に大貴族とされる特別な人物にのみ許される色なのである。
なのに、貴族らしい花が無い。
いや、別の意味で花はある。
あまりにも目立つ雰囲気、それはたとえることの出来ない別次元の花。
そこにいるだけで注目を集めるカリスマ的存在。
あまりにもアンバランスで異質な青年を見つけ、アニエスは戸惑っていた。
マントと呼べないような黒いマントを羽織い、高貴な紫色で染められた服装。
そして、その格好は戦闘に特化したような動きやすい服装で、左腰に剣らしきものも見える。
おそらくは剣士。
それも、特上の……。
気がつくと、アニエスはその紫の剣士を尾行していた。
会って話してみて彼が平民であると理解した。
話してみると貴族らしい気品が全く無かったからだ。
あきらかに不審人物。
しかし、彼の透き通った青い瞳が、貴族以上に上位であると錯覚する。
全くもってわからない存在。
アニエスは、不審人物としてではなく、単純に興味を持ってしまっていた。
いったい彼は何者なのか、その瞳は何を写しているのか、彼を知りたい。
ぶっきらぼうな彼であったが、アニエスは宮殿へと連れて行くことにした。
ただ、話がしたいから……そんな理由でだ。
これが、クラウドとの出会いだった。
クラウド ステータス
| LV | 72 | 力 | 114 | 攻撃力 | 234 |
| HP | 6379 | 素早さ | 54 | 命中率 | 120 |
| MP | 668 | 体力 | 83 | 防御力 | 183 |
| 経験値 | 947716 | 魔力 | 111 | 回避率 | 28 |
| 次のレベルまで | 4916 | 精神 | 84 | 魔法攻撃 | 171 |
| 武器 | 黒刀 ・ 無銘夜桜 | 運 | 27 | 魔法防御 | 108 |
| 防具 | ザイドリッツ | 魔法回避率 | 18 | ||
| アクセサリ | 守りの指輪 |
ステータスはFF7の世界でのステータスです。
いずれ、ゼロの使い魔世界でのステータスも考えようかと思っています。
クラウドの武器について。
『黒刀 ・ 無銘夜桜』という名前は、はっきり言って適当です。
見た目がアルテマウェポンじゃなくなったんで、なにか別名があったほうが良いかな〜って感じで名前を変更しました。
ということで、銘柄とか無いし、無銘って言葉使ってみて、あとは黒い刀だから連想された夜の文字を入れ、なんとなく響きで桜を追加。
夜桜という言葉には全く意味が無いです。
まぁ、クラウド自身が適当につけた名前って事にしてます。
いづれ、なぜクラウドがこの名前にしたのか、を語る場面を考えてはいますので、お楽しみに。