書きなぐり キプロス旅行記
おそらく永久に書き上がらないだろう・・・







































聖ラザロ教会

世の中には行くべきところが3つある。

@国内、A海外、Bあの世、である。

@の国内は、今いるから行かなくてもよい。

Bのあの世は、そのうち行きたくなくても行くことができるので、今は行かなくてもよい。

したがって、夏休みは「A海外」に行かなくてはならないことになる。

その海外の中でも、なぜキプロスが私の目に留まったのかは、定かではない。

八丈島の人が東京に来る時「海外に行く」と言うかどうかも、定かではない。

気まぐれといえば気まぐれだが、何か私の心をとらえるものがあったのだ。

したがって、私はキプロスに行くことにした。

なにが「したがって」なのかよくわからないかもしれないが、決めてしまったものは仕方がない。

それこそ「宇宙感情」と呼ばれるもののなせる業であり、そこにはありとあらゆる必然性蓋然性偶然性・・・恣意性が含まれているのだ。

しかし、見よ!

キプロスには美しい海があり、ひなびた山村があり、白く乾いた大地があり、よく晴れた青い空がある。

道端には猫の糞もいっぱいある。

ここは太古の昔より、人々のみならず、神々をも魅了してやまない土地なのだ。

この地上の美という美を愛しむには、最高の場所である。

ここは文明の交錯点であり、ギリシャ神話の舞台、愛と美の女神アフロディテ生誕の地、イスラームのモスクにキリスト教の修道院が交じり合うところ・・・

そして、ストア派哲学者ゼノンの生誕の地でもあり、キリストによって死から甦った聖ラザロが二度目の死を迎えた地でもある。

紀元前14〜13世紀の遺跡なども、今なお残っているという。

紀元前14世紀といえば、今から3300年以上も昔である。

日本の邪馬台国(紀元3世紀)よりもはるかに古いのである。

うっかりすれば恐竜も生きていた時代ではなかったか・・・定かではないが。

ステゴサウルスくらいは生きていたかもしれない。

さらに、見よ!

古代ばかりではなく、中世に眼を向けてみれば、1191年にリチャード1世(獅子心王)が結婚式を行ったというレメソス城があり、美しいフレスコ画の残る世界遺産の小さな教会群などもある。

11世紀に起源を発し、イスラームによりイェルサレムを追われた「聖ヨハネ騎士団」が一時退避したものこのキプロスである。


現在はイスラエルによるヒズボラ攻撃で、レバノンから多くの人々が退避して来ている。

(注)聖ヨハネ騎士団は、イタリア旅行記で訪ねたアマルフィの商人により創設されたらしい。
今も独立国家と同様の主権を有するとされ、本部建物は治外法権が認められているという。
騎士団領である本部建物が国として認められれば、バチカン市国よりも小さい世界最小の国となるらしい。




この聖ヨハネ騎士団は21世紀の今も存続しており、ローマに本部があるという。(注)

つまりここは、古代から現代に到るまでの生きた歴史の玉手箱ともいえるのだ。

しかし玉手箱とはいっても、キプロスに行ったら浦島太郎のようにおじいさんになってしまうわけではない。

歳をとらずに幾星霜もの歴史の跡に触れることができるのだ。

さて、あなたにとってと同様、私にとっても食事はとてもとても大切であるが、キプロスには味わい深いチーズがあり、ワインがあり、素朴なパンもある。

ワインについてはキプロスが発祥の地であるとの説もある。


(注)コマンダリアという名前は、騎士団にちなんで中世以降につけられたらしい。そうでないと時代が合わないので、キプロス人は嘘つきということになってしまう。




(注)人生の二大事は「寝ることであろう」と言われるかもしれないが、会社で「お前は居眠りするために生まれてきたのだ」と指摘されるように、寝ることも私にとって人生の一大事である。



















(注)最近辛口の大根が減ったとお嘆きの私だ。常日頃、大根の尻尾の部分を好んで大根おろしにしているが、大根によっては強烈に辛いので注意が必要だ。2時間前の大根がそれだった。

クレオパトラが愛したという甘いデザートワインの「コマンダリア(注)」は、現在も有名である。


そしてもちろん魚料理や肉料理もうまいと言う。

食べ物がうまいかどうかは、人生の一大事である。

二大事三大事は何かといえば、私は知らない。(注)


二大事三大事を私は知らないが、人はパンのみで生きるに非ず、サラダやスープも必要であるということは知っている。

特に魚料理には期待しているのだが、調理法としては「グリル」が多いらしい。

魚のグリルといえば、要は焼き魚である。

したがって私は、醤油を持参することにした。

魚のグリルにショーユをたらして彼らに食わせたら、キプロス人は涙を流してショーユを売ってくれと言い、私はショーユ輸出で大富豪になってしまうかもしれないのだ。

富豪になったらキプロスにショーユ御殿をつくり、そこで末永く幸せに暮らすのだ。

できれば辛い大根も一本持って行きたい。(注)