女一人暮らしの部屋に何でもない男を入れるというのもどうかと思ったけれども、まぁ成り行きでスルことになってもいいかと軽い気持ちで訪れた男を招き入れたら、でも奴はそーゆーことをするんでもなくひたすら懐いてだらだらと部屋で過ごしていき、こりゃ母親みたいなものなのかと話を聞いていればやはりあまり家族関係は芳しくなかったらしくああなるほどと納得して、私の方もじゃあと兄のような弟のような(というか息子のような)気がしているまま友達をしていたわけなんだけれども、だから、いきなり発情されても戸惑うばかりなわけで、半年前だったらまだ、ねえ、ぽろりと口から漏れたのはそんな言葉、端整なツラを前に心臓が平常を保っているんだからすでに恋愛感情を通り越して家族愛です間違いありません、とはいえ、そんなことは奴に判るわけもなく知り合ってからの方が好きじゃなくなったってことと悲愴な目をされてしまい、いや「好き」っていったら今の方が好きなんだけど、ワケわからんと益々情けない顔を浮かべられてああもう抱き締めてやるしかないではないか。
だから俺はそんなことされればシたくなるっていっているのに黙って抱かれていろなんて、なんて男らしいセリフだよまったく、一緒にいれば居心地がよくてセックスなんて全然考えもしなくて満足で友達っていいなあと真面目に思っていたわけだけど、でも男の噂を耳にした偶然、それで部屋に行ったりできなくなるとやっと思い至ってどんどん怖くなって俺が恋人になればいいんじゃんと自己防衛気味にヤルことを想像したらそしたら初めて欲情したの鈍いね俺も、万歳やったこれで離れなくて済むと浮かれたよ俺はさあ、ひどいシタクナイだなんて、もしかしてこれで終わり俺たち?絶望して血が下がるの自分でもわかったくらいだよホントに、苦笑して抱き締められてじいと大人しくして次を待つのは死刑宣告前のようなんだけど動けない俺はまるで忠犬だね、許可をおくれよ傍にいていいって言ってよキミを愛する許可がほしいなあ。
キミを愛する許可がほしいなあ 2004/02/17 改稿 2004/05/04
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