SStop         HOME         TOP






雨宿り




雨が降ってきた。

傘は持っていない。


「天気予報で言ってたじゃん。持ってこなかったの?」

後ろで声がした。

「予報、見なかったから」

「俺も見てなかったんだけど、お袋が持ってけってさぁ」

彼は折り畳みの傘を取り出した。

「駅まで一緒じゃん。入ってく?」

「えっ…い、いいよ。図書館寄ってから帰る」

「そ? んじゃ、明日な」

彼の背を見ながら、自分の顔が真っ赤になっていることがわかった。


「折角のチャンスだったのに!」

友人がここにいたらきっとそう言っただろう。


しかし、話しかけられただけで顔が赤くなるのに、並んで歩けるわけがない。

雨でひんやりとした空気が火照った頬に触れた。











SStop         HOME         TOP


和書トップ100   音楽100   ビデオ100   DVDトップ100
サーチ:
Amazon.co.jp
和書ページ   音楽   ビデオ   DVD   ソフトウェア   TVゲーム