待ち合わせ
「あ、来た」 「何?」 「ホラあのカップル。彼女、一時間も待ってたわよ」 「へえ」 「私達のすぐあとに来たの」 「一時間もよく待つなあ」 「私なら帰る」 「知ってる」 「でも彼女には長い時間ではなかったのかもね」 「?」 「鏡見て、今、最高の格好してるか、今日は二人でどんな時間を過ごそう、とか」 「ああ…頭の中が相手で一杯の時期があるよな」 「でも一時間は待たせすぎよ。不安になる」 「嬉しくて早く着いちゃったとか」 「そおね~」 「…ところで、一時間ずっと彼女の心配してたの?」 「え?」 「そりゃ付き合い長いよ。でも、相手で頭が一杯とまでは行かなくても…俺の話聞いてた?」 「聞いてたわよ」 「うわの空で?」 「違うわよ」 「本当?」 「……別れ話でしょ。簡潔に言えば?」 「はあ?」 「最近様子が変だったし、裏で何かしてるみたいだしね」 「ち、違う!それはプロポーズしようと…!」 「…え?」 「あ……」 「ええ!?」 「…ちくしょ~…シチュエーションも考えてあったのに…」 |