サボテン
「サボテンの花が咲いたんだ」 「サボテンって花咲くの?」 「見たことないの?」 「ない。どんな感じなの?」 「んー俺のは赤くて綺麗だよ」 「全然説明になってない〜」 「ちっこくてさ」 彼はふわりと笑った。 「見たいな、ねえ、今度見に行ってもいい?」 「え?…ああ、いいけど」 彼は、そこまで仲が良いわけでもない相手の申し出に 一瞬戸惑ったようだ。 しかし、彼女は、彼を好きになると思った。 部屋のサボテンの花が咲いたことに喜んで サボテンを思って優しい顔になった彼を 彼女は、とても好きになるだろうと思った。 |