睡眠
眠れないなら起きていればいい、と、思った。 夜が明け、日が昇り、白い昼間が来て。 赤い夕暮れ。 蒼い夜。 木綿の少し黄ばんだカーテンから漏れる色々は、 曖昧に暈かされながらも、しかし如実に時間を伝え、 頭痛は更に酷くなるばかり。 汗をかけば、熱は下がるだろうと思考するも、 掌で触れる肌は常よりもさらさらと流れる。 まるで 恒温動物としての機能を失ってしまったかのように、 ただただ体温は上昇して、身体が燃えている。 喉に溜まった痰が気持ち悪く、促されるまま咳をすれば からからに乾いて、ひりひりと痛んで、 守られていたのだと知る。 夜は、こんなに長いものだったか。 一日の半分、 人生の半分 、 俺たちは寝て。 夢も、夢の無い暗闇も、 それが、 現実でないと、誰が言える? 半を支配するものが、 なぜ、 重要でないと? 眠れない夜は、 長くて、長くて、 長くて。 動けない身体、 窓から入る、 青白い光。 退屈が怖いなどと、思ったことなど無いというのに。 目を開けば景色は歪み 色彩は入り混じり、 螺旋を描き揺れ、 頭だけは冴えているのだ、 脳は、動いているのだ。 橙の柔らかな色に、カーテンを引き摺れば、 雨がしとしと落ちてきて、 それでも、 ああ、 それでも。 2003/02/17
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