絶対値とは 2点間の距離または、差、大きさを意味するもの。
定義では、数直線上で、原点0と点Pの間の距離のことだ。
だから、点Pが正でも負でも絶対値は同値になる(図参考)⇒
ということは、
絶対値]を満たす]の値は正と負の両方にあるのだ!
絶対値記号は| |です。
*−5の絶対値を求めるときは、
|−5|=−(−5)=5 というように式にあらわす。
*絶対値が3 なのは、−3 と 3 の2つある。
|−3|=−(−3)=3
|3|=3
問題文中に絶対値|−5|などが出てきたらその絶対値記号||をはずさないといけません。
絶対値をはずすにはグラフ、方程式、不等式それぞれに特有の方法がありますが、基本は次の考え方です。
|A| の絶対値のはずし方 → 絶対値の内部の正負で場合分けをする。
ヒント: | |の中が数字だけの場合(上の例のような)、正の値が絶対値である。
絶対値|−3|の内部は負ですよね。この場合の絶対値は3になるけど、
| |の内部が負ならマイナス記号を消さないといけないと3という正の数になりません。
やりかたは(−)×(−)=(+)だから内部でマイナスを掛けたんだ。
内部ではこんな感じで負の符号を消します。
よって |−3|=−(−3)=3
次は、絶対値を求めるのではなく、その絶対値の元である||の中の話。
その||の中の文字の値をもとめるにはどうするか?
こういう場合は右辺の絶対値が数字だったりする。右図を参考にしてね。
絶対値|X|=3 を満たすXの値は X=−3,3
*|5|と|−2|の絶対値をもとめてみよう。
|−2| = C 内部が負なので−(−2)=2
答:C=2
|5|=C 5の絶対値は、5
答:C=5
<絶対値をイメージ的に例える>
綱引きしています。
この8Mという距離は地面の仕切り線(緑線)と
綱の中心(青線)とを垂直に位置合わせし、
中心から8Mの距離にある目印の赤紐までの距離。
ここでは、左側の赤組だけをみてみよう。
8M引っ張り寄せる(+)と勝ち。
逆に8M引っ張られる(−)と負け。
この8Mという大きさは引っ張り込まれても、
引っ張られても長さは変わらない。
だけど、方向(正負)がある。(8M引き寄せた・8M引っ張られた)
この8Mは絶対的に変化しない。
プラス方向の−8Mやマイナス方向の8Mというものは
8Mという大きさ (絶対値)があるのです。
その大きさを絶対値といいます。
|X|=8 X=−8、8
どうアガイテモ、縮まらない距離。それが絶対値?!
身長で例をあげると、A君160cm、B君170cmとする。
その差は10cm。 これは二人の身長の差の大きさである。
B君を基準にして、A君は−10cmである。 |−10|
A君を基準にして、B君は+10cmである。 |10|
この差の大きさ(絶対値)は10cmである。決して負の値にはならない。
|−10|=−10 となぜしちゃいけないか?
−10という大きさでは尺度に使えないからと思っておこう。
2点aとbの絶対値を求めてみよう。
(a<bのとき)|b−a|= ±(b−a)
(a>bのとき)|a−b|= ±(a−b)
だから〜、距離だから絶対値なんだよ
*点−5と点3の絶対値は|3−(−5)|=8
*点−1と点−7では、|−1−7|=−(−8)=8
ということで、こんどは逆に考えてみよう。
絶対値|X|=5 であるということは?
つまり、|−5|=5または、|5|=5でもあるので、
|X|= 5 とは、]は正負の両方があるということだから、 答えは ]= ±5
方程式、不等式は絶対値を含んだりします。
絶対値|X|(絶対値は常に正)を満たす]の値は以下の基礎A,B,Cを参考にしてみてください。
以下の基礎A,B,Cはとても重要です。覚えるように!
*文字Cは絶対値の解で正の数字のつもりでみてください。
基礎A|]|=C を満たす]の値は ]=±C
距離である絶対値|X|がある。絶対値は正と負の両方ある。
よって、Xの値はC(正の数字),−C(負の数字)である。
例1 |]|=3
|X|=3をみたすXの値は ――> 解:]=±3
例1a |−3|= −(−3)=3
基礎B|]|<C を満たすXの値は −C<]<C
不等式だから、値を断定できないよね。
この場合のXは、(解である正の数字)Cより小さい値である。
極端な例でいうと、(解である正の数字)Cが2であるとします。
2より小さい数字は0.9とか0.05とか(正の数字)。
2より小さい値で、|X|=0.9とすると、0.9<2でしょ。
Xは正負の両方あるので、X=−0.9、0.9なので、ほら、範囲内にXがあるでしょ。
例2 |X|<10
|X|<10をみたすXの値は ――> 解:−10<X<10
基礎C|X|>C を満たすXの値は X<−C,C<X
例で示すと、|4.5|=3とします。4.5>3でしょ。
Xは正負の両方あるので、X=−4.5、4.5なので、ほら、範囲内だね。
下の例を上の図にあてはめてごらん。例1ではC=3としてみてね。
例3 |X|>2 |X|>2をみたすXの値は ――> 解:]<−2、2<X
例 *|X|=8 解:]=±8 *|X|≧5 解:−2≧]、2≦X
*|−15| ⇒ −(−15)=15 解:|−15|=15
* ⇒ |−6| ⇒ −(−6)=6 解:|2−8|=6
*|X−3|>2 ヒント:この形は |X|>C よって、X<−C,C<X
Cは2なので、X−3<−2、2<X−3 ゆえに X<1,5<X 答
*4|1−X|≦3 ヒント:|1−X|は|X−1|と変形できる。
|X−1|≦ → − ≦X−1≦ → ≦X≦ 答
ここまでのまとめ
|X|= 数字(距離みたいなもんだね) 変数Xの絶対値は正と負の2コある.
絶対値=縮まぬ2点間の距離 だから!
<絶対値が文字式の場合>
ここからは、絶対値が文字式の場合どうやるかみてみよう.
|X| = 数字 ではなく、 |X|=
B(Bは文字式)のような場合のこと。
ええっ!X=±Bでは答えがわかんないよ。
0を基準として、0より大きいと「正の数」,0より小さいと「負の数」に分けられます。0は正負どっち側にあってもよい。
何故場合分けするか?
|Xを含む文字式|≦ X を含む文字式の場合、絶対値の内部の正負で場合分けして絶対値をはずさないといけない。
絶対値は正負の両方があるのはもうわかるでしょう?絶対値|X|=5 のとき、|−5|=5または、|5|=5でもあるので、
|X|= 5 をみたす]の値は、正負の両方があるからです。
Xという文字は正か負かわからないので、うっかりミスを起こしかねません。
|2X−3|<X で説明しましょう。
2X−3<X → X<3としてよいか? いいえ、いけません。 なぜか?
いきなり絶対値記号をはずして2X−3 としてはいけないのです。2X−3 が負である可能性があるからです。
負の場合、|2X−3|=−(2X−3)=−2X+3 としなくちゃ始まりませんね。
それで、−2X+3<X → −3X<−3 → X<1 ほら、解まで違うでしょ。よって、| |の中の正と負で場合分けして考えなくてはならない。
| |の中の文字は正かもしれないし、負かもしれない。それがハッキリわからないから両方の場合を考えないといけない。
場合分けしたら、絶対値の解は正負両方である。
そのとき、場合分けの条件と解の範囲が満たされているか必ず確認する。条件を満たさない部分は解にはならない。
正と負の両方のパターンで解の範囲をもとめたわけだから、その正の範囲と負の範囲の両方が場合分けした解になるのは当然だね。
絶対値を含む不等式のときは正負の解を合わせるように。
範囲がダブらないようにするため。当ページの一番下に例がある。
例題 |2A−3|<A
ヒント:絶対値内部の正負は、A≧ のとき正、A< のとき負になるね。
A≧ のとき、2A−3<A ゆえにA<3 よって ≦A<3・・・・@
A< のとき、−(2A−3)<A ゆえにA>1,よって1<A< ・・・・A
不等式の場合最後に@とAを合わせた範囲が解だ 1<A<3 答
*解説*
覚えているでしょうか、絶対値|−15|の内部は負ですよね。
この場合の絶対値は15になるけど、| |の内部が負ならマイナス記号を消さないといけないと15という正の数にはならないよ。
やりかたは(−)×(−)=(+)だから内部でマイナスを掛けたんだ。
それで、絶対値の値は常に正の数字であるのだ。
あなたは、3名が離れて歩いているのを見て、真ん中の人を基準に、
後ろの人の位置(負)は3メートル 前の人の位置(正)は2.5メートルっていう
絶対的な距離がみえるからわかるでしょ?(ま、巻尺を使って計るとして)
てか、この前後(正負)の距離は両方とも正の距離ですよね?巻尺で計れるのだから。
ところが、2点間の距離がマイナスの距離って???だから、絶対値は+、正でなければ。
だから、Aの青の太字部分は負だから、マイナスで掛けなきゃ正の絶対値はでてこないんだ。
場合分けをしたら、その条件を満たすか確認をする!
不等式の場合は、場合分けした値を最終的に合わせる
|X|<10をみたすXの値は ―> 解:−10<X<10
つまり原点0を基準に、負~正の範囲内にあるという意味
場合分けでは、絶対値記号をいきなりはずすのはご法度(絶対値内部が負の場合、負の記号を掛けて絶対値記号をはずすし正にするので値が違うのだ)ということで、正負の基準が原点0ではなく、Xが正負をとりうる値を基準にしているというところが場合分けのポイントだろうか?
例題|2X−4|≧X+1 基礎Cが適用できないので場合分け
(X<2のとき負)
−(2]−4) ≧X+1 → X≦1 (条件X<2を満たす)
(2≦Xのとき正)
2X−4≧X+1 → X≧5 (条件X<2を満たす)
例題|2X−3|=4 コレは、絶対値=数字の形だから
2X−3=±4 よって、 X= ,
例題 コレは2乗すると必ず正になるのでそのままはずして
→ (2x+9)(2x−3)=0 x=− 、
例題 |X−3| X−3は基礎Aが適用できないので場合分けする。
ア:|X−3|=X−3・・・・・x>3のとき、||内が正
イ:=−(X−3)=−X+3・・・・・・x≦3のとき、||内が負
不等式ではないので答は合わせないで各々この通り
例題|X−2|−|X−3| コレも同上。Xは1個で2つの絶対値||に使用されている。
ア:x<2のとき、両方とも負 −(X−2)−{−(X−3)}=−X+2+X−3=−1
イ:2≦X<3のとき、片方は正、一方は正
X−2−{−(X−3)}=X−2+X−3=2X−5
ウ:X≧3のとき 両方とも正 X−2−X+3=−1
不等式ではないので答は合わせないで各々この通り
例題 ||の中は負になるので−1を掛ける
= =−4+
例題||X|−2| |X|からはずす。X=0で、0を基準にする
ア:X<0のとき 負なので、はずすときに−1を掛ける
||X|−2| = |−X−2| _____更に||で場合分けする
A:X<−2のとき正になるので、そのままはずす
|−X−2|= −X−2答
B:−2≦X<0のとき負になるので、−1を掛ける X<0はアの条件ですよ
|−X−2|=−(−X)−2 =X+2答
イ:0≦Xのとき 正なのでそのままはずす
||X|−2| =|X−2| _____更に||で場合分けする
A:0≦X≦2のとき負になるので、−1を掛ける
|X−2|=−X+2答
B: 2 ≦Xのとき正になるので、そのままはずす
|X−2|=X−1答
例題|2X−1|=3X−4
ア:2X−1≧0のとき、つまりX≧ のとき正なのでそのままはずす
2X−1=3X−4 3X−2X=−1+4 X=3 (条件X≧ を満たす)
イ:2X−1≦0のとき、つまりX≦ のとき正なのでそのままはずす
−(2X−1)=3X−4 よってX=1 (条件X≦ を満たさない)よって不適
以上で解はX=3のみ
例題|2X−3|≦|3X+5| 各場合分けごとに共通範囲をもとめ、不等式なので最後に全部合わせる。
参考: =1.5 − =−1.666 よって、 > −
ア:条件 X≧のとき両辺とも正なのでそのままはずします
2X−3≦3X+5 X≧−8 (条件を満たさない)
よってX≧・・・@
イ:条件 −≦X<のとき 参考:−=−0.4
−(2X−3) ≦3X+5 これを解いてX≧−
よって −≦X<・・・・A
ウ:条件 X<− のとき 両辺とも負になる
−(2X−3) ≦−(3X+5)
コレを解いてX≦−8 ・・・B (条件を満たす)
不等式なので@ABを合わせた範囲だから、X≧− 、X≦−8
|1−X|であるが、
仮にX=0.8と置いてみて、|1−0.8|=|0.2|=0.2
仮にX=−2と置いてみて、|1−(−2)|=|3| =3
|X−1|も同様に
仮にX=0.8と置いてみて、|0.8−1|=|0.2|=0.2
仮にX=−2と置いてみて、|−2−1|=|−3| これをはずすときは−(−3)=3
以上より、|8−X|のような形は||内部で−1を掛けて|X−8|と変換できる