雑録2014.12.31 関心・感動・感謝 |
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俳優でありシンガー・ソングライターでもある加山雄三さんが、若さの秘訣を聞かれ「関心・感動・感謝の気持ちを忘れないことです」と答えたという話をラジオで耳にした。 私も努めなければならないことばだと思った。が、私は年齢を重ねるごとに、思い込みが強くなり、気が短くなり、心のゆとりがなくなり、諦めがちになる。 以下の文章は最近経験したことである。
その@ 昨今、電車の中でも歩道でもスマホを熱心に操作している人が普通に見られる。以前は電車の中で読書をしている人が多かったが、本からスマホに様変わりした。歩道にも本をスマホに替えた二宮尊徳が歩いている。先日、新宿駅南口に近く、横断する人が多い甲州街道の大きな横断歩道で、片手に持ったスマホを見ながら、反対の手で乳母車を押しているママさんを見た。前から来る人たちが乳母車を避けるのが当然という様子で歩いている。前から来る二宮尊徳に乳母車がぶつかったら、赤ちゃんは災難に遭ったようなものだ。
そのA 日本ゆうちょ銀行の話である。送られてくる株式の配当金領収書をもって、ゆうちょ銀行に配当金を受け取りに行く。ゆうちょ銀行では、一万円以上の配当金には、領収書に書かれた名前の、本人確認の身分証の提示を求められる。面倒なのでいつも貯金通帳を一緒に差し出し、これに入金してくれと頼む。貯金通帳の住所・氏名と配当金領収書の住所・氏名が同じなので、どこのゆうちょ銀行でも問題なく入金してくれた。あるとき、さらに身分証の提示を求められた。こんなことは初めてだと言っても提示を求めてくる。このときは運転免許証を見せて、入金せずに現金で受け取った。 後日、ゆうちょ銀行本社に事情をメールし、貯金通帳は身分証の代わりにならないのかと問うと、ならないという。身分証としては何を想定しているのかとさらに問うと、運転免許証、パスポート、健康保険証の三つだという。ゆうちょ銀行自身が発行する貯金通帳も、ゆうちょ銀行自身が信頼していないのであろう。
そのB 妻が入院しているときの話である。 振り込み者の妻の名前と金額、振込先の会社名・住所が印字され、振込先の会社から送られてきた振り込み用紙で数百万円を送金することになった。現金を持って振込先口座と同じ銀行に行き、窓口で振り込もうとしたら本人が来ないとだめだという。妻は入院していると言うと、あなたの身分を証明するものを見せてくれと言う。運転免許証を見せてこれで大丈夫かなと思ったら、また本人が来ないとだめだという。それなら身分証明書を見せろなどと言うなと言いたかった。振込先の会社に電話で振り込めない事情を話そうとしたら、銀行員が、妻がこの銀行に口座を持っていれば送れるという。この銀行に妻の口座があるかどうかわからないというと、妻の生年月日を言ってくれれば即座に口座があるかないか検索できるという。妻がこの銀行に口座をもっていたので送ることができたが、こちらは500円以上の振り込み手数料を払っているのに、「送ることができてよかったですね」などと恩着せがましく言われた。
そのC 耐熱ガラスポットなどの湯温を保つ、何十年か前に何かの記念でもらった保温プレートが、いつ故障が起きてもおかしくないほど傷んできた。新宿にある家電量販店で、日本の会社のT社製の保温プレートを購入した。三か月使用したところで、保温プレートの裏ブタのプラスチックに亀裂が入っているのがわかった。取扱説明書の裏に書かれた1年間の保証書と量販店の保証書を兼ねたレシートを添えて、量販店の修理部に持ち込んだ。 一週間後に量販店から、T社から○○○円と引き換えに新品と取り換えると言ってきたと電話で知らせてきた。○○○円だと私の購入価格より220円安いだけで購入価格とかわらない。文句をいうと、あなたの使い方が悪いとか、使った場所が悪いせいだと量販店の店員は言う。T社に直接問い合わせるので、担当部署を教えてくれと言うと、店員は規則で教えられないの一点張りである。 預けた保温プレートが戻された時点で、T社の「お客様サポート・お問い合わせ」部署に見解を聞くためのメールを入れた。やり取りの後、「量販店のお預かり証」と「T社の修理納品書」を添付して送った。 何日かして、T社の名前を冠した会社が出した修理納品書に、サインをした担当者本人から電話がかかってきた。担当者の言い分は、保証の対象となるのは電気部品の故障だけで、それ以外は対象外だと言う。こちらが保証書や取扱説明書のどこに、電気部品の故障のみが保証の対象になると書かれているのかと問い、また保温プレートの電気部品以外の箇所が、すべて不良品ではないものを出荷していると言い切れるのかと詰問した。結果、T社で再度検査するため、保温プレートを送ることになった。修理せず新品が送られてきた。 以前、同じT社製のSD/USB/CDラジオを購入した。保証期間内にCDが読み込まなくなってしまった。買った量販店に保証書とラジオを持ち込んで修理を依頼した。この時は無料での新品交換となった。 またこんなこともあった、同じT社製のCD・ラジカセを購入した。何年か使用してからCDを読み込むLEDが点灯しなくなった。修理に出すと、購入価格の5〜6割の金額で同じ型の最新型と交換するという。このときは金を払い最新型を手にした。 保温プレートも、SD/USB/CDラジオも、CDラジカセも、新品と交換するほどの故障ではない気がした。しかし、交換でしか対応できないようだ。いずれの製品も生産国は中国である。日本に修理用部品としての在庫を持っていないのかもしれない。
そのD パソコンのビスタが発売され、購入したときのことである。パソコンは日本の会社のN社製である。購入してから1カ月もしないうちに、Outlookの動きが時々不安定になる。N社のサービスセンターに電話をした。指示に従っていろいろと試みたが解決しない。N社の担当者から、これはソフトの問題でパソコンをリカバリー(工場出荷状態に戻す初期化)しないとだめですと言われた。マニュアルを見ながらリカバリーを試みたが、リカバリー出来なかった。しょうがないのでマイクロソフト社に電話して相談した。その結果、パソコン購入時に期間限定のサービスで入っているウイルスソフトがいたずらしているという。あるチェックを外すか入れるかしただけで正常にもどった。マイクロソフトの担当者は、N社のサービスセンターの人はこんなことも知らないのか、とあきれていた。 N社のサービスセンターへメールで苦情を出すと、ただちに謝りの電話が入って来た。その理由は、「このビスタは発売後三カ月しかたっていないので、担当者がよく技術を知らないせいだ」と言っていた。 同じN社製のウインドウズ8を購入したときもこんなことがあった。使い始めて間もなくして動きがおかしくなり、デスクトップのアイコンが赤色になったりした。N社のサービスセンターに電話をしていろいろと試したが解決しない。今回も、リカバリー(初期化)をすすめる。前回のこともあるので、マイクロソフトに相談した。マイクロソフトでは約5000円の料金がかかるが、遠隔操作で診断し原因を探すことができるという。遠隔操作で調べてもらうと、ソフトの問題ではなく、ハードに問題があるという。そしてN社に、「マイクロソフトで原因を探したらハードに問題があると言われた」と言ってもいいですよという。ハードに問題があるので、約5000円の料金は不要ですといってくれた。 N社に、着払いでパソコンを送った。修理したパソコンと修理納品書が送り返されてきた。その修理納品書には○○部品が動作不良であり、交換したと記載されていた。 パソコンのサービスセンターは、アウトソーシング(社外委託)されているようだ。そのため、担当者が面倒だと思うと、一番簡単な解決法「リカバリー(初期化)」をすすめるのであろう。 以前、友人から、外国メーカー製のパソコンのサービスセンターへ電話して、代わりに解決法を聞いてくれと頼まれたことがある。友人はパソコンの基本的な用語もよく知らないので、サービスセンターの担当者から指示されても対応できない恐れがあるからという。電話に出た担当者は、日本語がたどたどしく、こちらの言うパソコンの症状を理解させるのに苦労した経験がある。
ため息の出る話だけではなく、関心し、感心した話である。 その@ 息子が普通車からH社製の軽自動車に買い替えた。軽自動車であるにもかかわらず、ドアのカギ穴やエンジンスをスタートするときのカギ穴がない。カギに相当するものをポケットにいれ、指先でタッチするだけで、ドアが開き、エンジンがかかる。車が停止すると、自動的にエンジンが停止する。また、ブレーキを踏んでいないとエンジンがかからない。車載しているナビは、シフトレバーをバックに入れると、ナビのモニターは、自動的に車の後方を映す画面に切り替わる。ターボエンジンが装備されており、息子の話では、この軽自動車は、前の普通車に勝るとも劣らない加速性能があるという。 ある会合で、先輩の人にこの軽自動車の話をしたら、「今頃遅れているよ」と言われてしまった。
そのA Nガラスがテレビで宣伝している断熱ガラスの実演をみた。この断熱ガラスは二重ガラスになっている。ガラスとガラスのスキマは0.2ミリ。その0.2ミリが真空になっているという。実演では、ガラスの片面にマイナス温度のスプレーをする。そしてガラス両面の温度を計る。通常の一枚ガラスは時間とともに、スプレーした反対面もマイナス温度になっていく。しかしこの0.2ミリを真空にした断熱ガラスの反対面は、ほとんど温度が下がらない。通常ガラスを使用しているアルミサッシにも取付けることができ、交換が可能だという。断熱のほかに、防露、遮音効果も高いそうだ。わずか0.2ミリの真空の空間がそんな働きがあるとは驚きであった。大きなガラス窓や掃き出しのガラスに使用すれば、室内の保温効果はだいぶ良くなるのではないかと想像された。
そのB 妻が50年ぶりに1ヶ月半入院した。私も50年以上入院したことがない。妻が入院した病院は総合病院である。妻の話では、主治医は自分の専門分野以外の医師と相談しながら治療にあたってくれたという。また看護師は、いやな顔を見せず当然のようにいろいろなことを処置し、要望をきいてくれた。とくに薬剤師は、何度か病室まで来て薬剤の効能やこれから生じる副作用の時系列が書かれたプリントを見せながら説明してくれた。皆さんプロ意識に徹していると妻は感謝していた。病気は医師だけが治すのではなく、医師、看護師、薬剤師、そして患者が、二人三脚、四人五脚で情報を交換しながら治療するのがこれからの医療なのであろう。 初めて妻の病状説明を受けるとき、私が録音してもよいかと尋ねると、主治医はどうぞ録音してくださいと言ってくれた。インフォームドコンセント(説明と同意・納得診療)を心がけた病院なのであろう。 私は、毎月一回、別の総合病院に通っている。その病院のホールには、「ほかの病院でセカンドオピニオンを受けたい方は、申し出てください。検査資料などをお渡しします」という意味のことが書いた用紙が貼り出されている。 情報公開がすすんだ病院は、安心できる。 |
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