雑録2016.3.13 リフォーム

 

自宅は築30年のALC(軽量気泡コンクリート)づくりである。省エネや、将来に備えてバリアフリーをめざし、間取りや内装を一新した。

床面の段差をなくし、廊下やトイレは車椅子が通れる幅を確保し、開き戸をすべて引き戸にした。天井・壁面には断熱材を入れ、便器を節水型にし、照明は白熱電球や蛍光灯からLEDに交換した。また、壁面の多くに、扉付きの本棚や収納棚を設けた。

 

節水型便器

以前、階下の部屋の天井から漏水した。漏水箇所がわからず、業者が調べて原因箇所がわかるまでの数日間、その階の水道の元栓を閉めきった。漏水箇所は、床下を通る給湯管からであった。このとき一番苦労したのが、汚物を流すトイレの水である。トイレのタンクの容量は12ℓ。初めは1ℓのペットボトルで10本分ほどトイレタンクのフタの穴から注いでいたが、面倒くさくすぐにあきらめた。次に、大きめのバケツから水を直接便器に流した。しかし、タンクから流れ出る水は渦をまいて勢いがあるが、バケツで注ぐ水は勢いがなく、汚物は思ったほどきれいに流れない。この経験からも、節水型の便器にしたいと思った。今回の節水トイレの汚物を流す水の量は約5ℓ弱。ペットボトル45本分ならば、注ぐのも、それほど面倒ではないであろう。

今までの便器は、大便・小便にかかわらず12ℓの水で流していた。新しい便器は、流す水の量が「流す大」、「流す小」、「eco小」と三段階に分けられている。便座の位置も多少高くなり、坐りやすくなっている。

 

断熱材

天上には以前から断熱材を敷いている。今回は壁面にも断熱材を入れた。壁面のALC(軽量気泡コンクリート)板自体は、断熱効果が高く、断熱材は必要ないと言われたが、あえて入れた。断熱の弱点となる窓や掃き出し窓は、以前、断熱ガラス(真空ガラス)に交換している。階下の対策をしていない部屋と比べると、空調を止めた後のぬくもりが穏やかに長く続き、空調を入れる前の朝の寒さも質が違っている。

 

大工事情

今回のリフォームでは、毎日23人の大工さんが来て作業をおこなった。私の大工作業のイメージは、ノコギリ、カンナ、ノミ、カナヅチ、墨ツボ等を使う人である。しかし今回のリフォームでは、それらは一切見かけなかった。木材の切断には角度を自由に設定できる電動丸ノコ、クギ打ちでは、瞬間でしかも連続して打てるクギ打ち機、コンクリートにも一瞬でアンカーを打ち付ける器械を使う。レーザー墨出(すみだし)器や測量機器を使っての位置決め。建具類も建具屋がつくるのではなく工場生産だそうである。天井材を貼る下地材を取り付ける吊り下げボルトは、デッキプレートに挟み込むだけで簡単に取り付けている。天井や壁、間仕切りの材料は合板や石膏ボード。それらを止める下地材は、薄い亜鉛メッキ鋼鈑を加工した軽鉄と呼ばれる金属製である。現場での木材の加工はほんとに少ない。

その他のちょっとしたところに使う部品も既製品である。これらを使うことで、手際よく見栄えよく内装作業すすめていく。

 

その他

リフォーム前の床板は、根太(ねだ)に取り付けていた。今回は、片方に防振ゴムが、反対側に受け板がついた、高さ調整が可能なネジが切られた支持脚を、合板の寸法に合わせて一定間隔に置いていく。その受け板に、合板の四隅を載せていく。二枚重ねの合板とフローリングの三重構造の床である。フローリングはノンワックス仕様。乾拭(からぶき)か水を絞った布で拭く。ワックスを使うと塗られているワックスがはげるといわれた。

 

リフォームをする間、家具などを一時的にどける必要がある。引っ越しとその保管を兼ねた、引っ越し倉庫業者に頼んだ。書棚やテーブルなどの家具、冷蔵庫やテレビなどの電化製品、書籍や衣料ケースなどの移送と保管である。切断した段ボールやプチプチなどの材料でそれらの製品を包み、また階段、床、壁の養生や重量のある物の運び出し、そしてリフォーム後の運び入れなど、感心するほどの手際とあざやかさで行った。さすがプロである。

内装の解体では、その廃材の木材が山となって積み上がっていた。しかし今回のリフォームでは、先述したように現場での木材の加工は少なく、木材を使う場合も、すでに加工したものを組み立てている。

下地材など多くを木材を使って仕上げていた30年前の建築にくらべて、施工方法の変化を目のあたりにして興味深かった。

 

 

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