雑録2018.1.26 振り込め詐欺防止電話

 

知りあいが振り込め詐欺に遭いそうになった。80歳近い婦人である。息子から、至急金を届けてくれと電話があり、金をもって玄関を出ようとしたときに、その息子が帰って来て事なきを得た。婦人は、振り込め詐欺には遭いそうもない快活な人柄である。

 

平成30年(2018118日東京新聞朝刊に、「練馬の女性7000万円被害」の見出しで、ひどいはなしが載っていた。

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警視庁練馬署は17日、ニセ電話を受けた東京都練馬区の女性(84)が7千万円をだまし取られる被害に遭ったと発表した。詐欺グループは、女性のマンションの部屋の売却や生命保険の解約を指示し、現金をひねり出させていたという。

署によると、昨年6月中旬、不動産業者の社員を名乗る男から「老人ホームの入居権が当たった」と電話があった。女性は入居を断ったが、他人に権利を譲ることを提案され、承諾した。

数日後に老人ホーム職員を装った男が「名義貸しは犯罪だ。財産がないように見せかけるために金を預かる」と電話してきた。

女性は複数回、指示を受け、昨年12月までにマンションを売却するなどして10回に分け、計7千万円を宅配便で送った。男は15日に女性宅に返金に行くと約束したが、現れなかったために被害に気づいた。

署幹部は「犯罪になる」というのは、周囲に相談させなくするための詐欺グループの手口だ」と指摘している。 >>・・・2017.1.18東京新聞朝刊

善意に付け込んだ、とんでもない詐欺グループである。


  私の自宅にも、上場前株式を特別に購入できる、高利回り社債の紹介、などの金融商品等取引の誘い、不要な宝石類や和服・バックなどを買い取るために、お宅の近くに来ているので寄らせてもらえないか、などの電話が、断っても断っても別な業者から週に何回もかかってきた。

私が一時さかんに行っていた、企業のIR(投資家向け広報活動)セミナー、銀行・証券会社・商品取引の講演会などに参加するための申し込み、パンフレットの送付依頼などに書いた名前・住所・電話番号が出回ってしまったのかもしれない。

 

45年前、電話機に取り付けるだけで、振り込め詐欺の防止に効果がある装置(製品名:振り込め詐欺見張隊)を、テレビが紹介していた。これは警視庁とメーカーの共同開発したもので、自治体を通して被害に遭った家に無料で貸し出しているという。

電話がかかってくるたびに、あなたは私の電話番号をどこで知ったのですか? などと問いただすことや、先方の返事によってはケンカ腰になることもあった。逆恨みされてもイヤなのでこの装置を欲しいと思っていた。インターネットで調べると、価格は1万3千円前後。詐欺も進化している。将来、思いもしない新手の詐欺に、何十万、何百万円の被害に遭う可能性を考えると、安いものだと思って3年前に購入した。

設置後、その種の電話はまったくかからなくなった。設置前が懐かしく思えるほどである。

この装置付き電話機に電話をすると、「この電話は振り込め詐欺などの犯罪防止のため、会話内容が自動録音されます。これから呼び出しますのでこのままお待ちください」とのアナウンスがある。その後呼び出し音が鳴る。ほとんどの電話は、呼び出し音が鳴る前に切られる。たまに呼び出し音が鳴り始めた途端、プツンと切れる。この装置のいい所は、呼び出し音が鳴る前に、相手電話を切ることである。そのため電話があったこともわからないし、電話に出る必要もない。

録音機能は60時間、もしくは録音件数2000件。これを超えると、古い録音内容から削除し、上書きする。また、1件あたりの録音可能時間は最大5時間。

私は使ったことはないが、アナウンスを流さない電話番号を設定する。着信を拒否する電話番号を設定する。非通知電話からの着信時には「この電話は、非通知になっています。恐れ入りますが頭に186を付けてお掛け直しください」と発信者側にアナウンスし、取り次がないようにする。海外からの迷惑電話をそれぞれの国番号を入力することにより着信拒否を設定する、等等の多くの機能を備えている。

ただこんなことがあった。電話をとると新聞社か放送局の世論調査であった。この種の調査は電話がつながると、自動的に音声が始まるらしい。電話機のアナウンスの間も音声が流れているようで、電話機を取り上げたときは、途中からの質問となっていた。

 

先日(120日)、新宿中央公園でラジオ体操が始まる6時半前に、新宿警察署管内の交番から巡査が23人来て、振り込め詐欺等についての注意喚起をスピーカーで呼びかけていた。新宿署管内では、一昨年21件だった被害件数が、昨年41件に急増した。

その対策として、留守番電話の利用をすすめていた。電話を常に留守番状態にして、知らない人からの電話には出ない、知った人だけの電話に出るようにすれば、被害は防げると話していた。

配られたチラシには、キャッシュカードを預かる詐欺が急増 と書いてある。犯人は

○大手デパートの店員

○警察署

○全国銀行協会

などを(かた)って、

●あなたのカードで不正に買い物しようとしている人がいる

●暗証番号をすぐ変更した方がいい

●暗証番号を教えてください

●すぐカードを受け取りに行きます

などと嘘をいい、自宅にキャッシュカードを預かりにきます。

すべて詐欺です。110番してください カードを渡さない 暗証番号も教えない

と大きな文字で注意を喚起している。

 

私の住んでいる地域は、原宿警察署が管内である。過去何回か、この地域一帯で還付金詐欺が頻発しています。との注意喚起が、原宿警察署から直接自宅に電話があった。

 

警察庁のホームページには、平成28年の被害件数は14,154件、被害額は4077千万円と発表されていた。

警視庁のホームページには、不特定の人に対し、対面することなく、電話、Fax、メールを使って行う詐欺のことを特殊詐欺と呼び、この特殊詐欺を「振り込め詐欺」と「振り込め類似詐欺」とに分類し、次のように記している。

 

「振り込め詐欺」

<オレオレ詐欺(恐喝)>

電話を利用して親族、警察官等を装い、金銭借用や被害を防ぐため等と称して現金を預貯金口座(以下「口座」という。)に振り込ませたり、被害者と接触して現金、キャッシュカードなどを手交するなどしてだまし取る詐欺(恐喝)

 

<還付金詐欺>

税金還付等に必要な手続を装って被害者にATMを操作させ、口座間送金により財産上の不法な利益を得る詐欺

 

架空請求詐欺(恐喝)

郵便、インターネット等を利用して不特定多数の者に対し、架空の事実を口実とした料金請求文書等を送付して、現金を口座に振り込ませるなどしてだまし取る詐欺(恐喝)

 

<融資保証金詐欺>

実際に融資する意思がないにもかかわらず、融資する旨の文書等を送付して保証金等の名目で現金を口座に振り込ませるなどとしてだまし取る詐欺

 

「振り込め類似詐欺」

主として電話を用いて対面することなく不特定多数の者をだまし、架空又は他人名義の口座に現金を振り込ませるなどの方法によりだまし取る詐欺事件で、振り込め詐欺以外のもの。

<金融商品等取引>

実際には対価ほどの価値がない未公開株、社債等の有価証券や外国通貨等又は全く架空の有価証券等について電話やダイレクトメール等により虚偽の情報を提供し、その購入名目で金銭をだまし取る詐欺

 

<ギャンブル必勝情報>

不特定の者に対してパチンコ攻略法等の虚偽の情報を提供するなどした上で、会員登録料や情報料等の名目で金銭をだまし取る詐欺

 

<異性との交際あっせん>

不特定の者に対して一度だけ異性と会わせたり、異性に関する虚偽の情報を提供したりするなどした上で、会員登録料や保証金等の名目で金銭をだまし取る詐欺

 

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  詐欺の手口は、年々進化している。私は大丈夫などと過信せず、「転ばぬ先の杖」のことわざにあるように、最悪の事態を想定しておきたい。


追 記

仙台にいる弟から、この「振り込め詐欺防止電話」を読んで、弟に起こった体験談をメールで連絡してきた。

携帯電話に、携帯に登録していない電話番号からの電話がかかってきた。

「郵便局ですが、住所が汚れてよく分からないので、住所をお知らせください」と言ってきた。なんで郵便局が自分の携帯電話の番号を知っているのだろうかと疑念に思いながら応対し、結局、耳が遠いのでよく分からないと言って電話を切った。

すると、別の電話番号でまたかけてきた。

「どこからです」「誰からですか」と聞くと、知らない人である。「その品物はいりません」と断わった。すると相手は「受け取りを拒否するのですか」というので、「はいそうです」と言って電話を切った。

弟は、住所を聞きだし、品物を送り付ける詐欺行為の一環だったに違いない、と確信している。


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