雑録2005.11.7 ダイエット
 

妻が、私の礼服を買い換えようという。何故(なぜ)だと問うと、今ある礼服は寸法が合わないはずだという。私は、ここ何年も、ゆったりとした衣服しか着ていないので、胴回りのことは気にはしているが、以前ほどではない。

 

先日、太極拳教室の休憩のお茶の時間に、熊の形をした小さなビスケットを仲間とつまんでいた。すると、仲間の一人が、このビスケットは木村さんに似ているという。そのあとで、また、ほかの人が、これ木村さんそっくりという。熊の形をしたビスケットは、お(なか)がふくらんでいる。“共食いをしています”と冗談で返した。

太極拳の教室として使用している区民会館のホールに、最近、2メートル(かく)でキャスター付きの鏡が設備として置かれた。鏡は、背丈以上に大きいので、鏡のすぐ近くで、全身を眺めることができる。私の側面を映すと、たしかに熊のビスケットに似ている。こんな大きな鏡で、側面だけをシゲシゲと見ることはなかったので、自分の容姿の再発見である。

 

食べることが唯一の楽しみであるという、ウォーキングを共にするKさんは、食べる量は、私よりはるかに多く、食べる時間も速い。それにもかかわらず、最近、体重は減り、ベストに近くなっているという。体質なのか、スポーツジムに通っているので、その効果が出てきたのか。

私は、誰が何と言おうと(特に妻が)、自分自身は小食だと思っている。三度の食事では、ご飯は軽い一杯しか食べない。回転寿司も4〜6皿で腹いっぱいになる。町の食堂で食べるランチは、食べきれないことも多い(もっとも、もったいないので全部食べるが)。それにもかかわらず、油断すると体重はすぐ増える。ただし、甘い物が好きなのは事実だが。

以下の文章は、肥満防止に対する、私自身の覚え書きとしてまとめたものである。

 

週刊誌のアエラ(2005.10.24号)の記事「ダイエットの常識の間違い」に、筑波大学の田中喜代次教授(スポーツ医学)の話として、

「肥満解消に運動はいいと言われてきたが、実は運動でやせるのは至難の技である (略) 体脂肪を1キロ減らすのに必要な消費カロリーは約7500`カロリー。ところが、フルマラソンを走っても消費するのはせいぜい2500`カロリー。つまりマラソン3回でやっと体脂肪が1キロ減る計算である。実際のマラソンで体重が1キロ以上減るのは、体内の水分が減るからである」、と載せている。

さらに「『米国立保健研究所の肥満の診断・治療の指針』でも、減量にきくのは食事制限で、運動で減量効果が出るには半年以上かかる」、と記事には書いてある。

 

まったく体を動かさなくとも、呼吸をする、心臓を動かす、体温を保つ、などでエネルギーは消費する。この最低限必要な最小のエネルギーを基礎代謝と呼ぶ。しかも、この基礎代謝は、一日の総消費エネルギーの約70%を占める。

曹洞宗の専門僧堂では、2月と12月に摂心会(せっしんえ)という坐禅修業をする。1日9時間から10時間坐り、これを一週間続ける。耕雲寺の先代のご住職が、“摂心(せっしん)の時は、ただ坐わっているだけだけれど、おどろくほど腹がすくんだよ”とよくおっしゃっておられたのが印象に残っている。これも、基礎代謝の消費エネルギーの割合の大きさを示しているのではないか。

運動不足で肥満気味な人は、基礎代謝の多寡(たか)が、減量をするときのひとつの(かなめ)になる。そして基礎代謝についての知識が欠かせない。

 

基礎代謝量は16〜18歳がピークである

基礎代謝は生後、成長するにつれて高くなり、16〜18歳前後をピークにその後は徐々に減っていき、個人差はあるが、一般には40歳を過ぎると急激に下降線をたどる。

1日の男性の基礎代謝量の平均値は、ピークの16〜18歳で1600`カロリー、60歳では1300`カロリーである。60歳を例に取れば、若いときと同じ運動量(日常の活動)をしたとしても、食事量が同じならば、300`カロリー分の体脂肪が、毎日蓄積されることになる。

体脂肪を増やさないためには、さらに300`カロリーを消費するか、あるいは、300`カロリー分食事量を少なくする必要がある。

300`カロリーは、ウォーキングでは7.5`メートル歩く消費量であり、これと同じ運動量を、毎日行わねばならない。

300`カロリー分の食事量は、ご飯では茶碗一杯分(150g、約250`カロリー)強にあたる。運動でカロリーを消費するよりも、食事制限をしたほうがはるかに楽である。

 

基礎代謝でエネルギー消費が最も多いのは筋肉

基礎代謝状態でのエネルギー消費が、最も多いのは筋肉(主に骨格筋)である。基礎代謝の消費エネルギーの38%を占める。つまり、基礎代謝はその人の筋肉量によって大きく左右される。そのため、同じ体重でも脂肪が少なく、筋肉量が多い人の方が基礎代謝は高くなり、消費エネルギーも多くなる。

運動をせずに食事の量を減らすだけのダイエットを行うと、筋肉量が減り基礎代謝が低くなってしまう。その結果、体重がなかなか減らない「停滞期」を迎えることになる。

筋肉は、(きた)えることによって筋肉量を増やすこともできる。

肥満防止には、食事制限と適度な運動によって筋肉量を増やし、基礎代謝を高めることがポイントである。

 

なお、週刊誌アエラには、

「運動で消費するエネルギー源は体内の糖と脂肪である。従来、有酸素運動を開始して20分ほどは主に糖が消費され、脂肪はその後で消費されるので、最低20分は運動を継続しないと脂肪は減りにくい、と言われてきた。しかし、1999年に『米医学会誌』に、1日に1回、60分連続で運動した場合と10分の運動を1日6回行った場合の減量効果は、6ヵ月後にはほとんどなく、18ヵ月後にも1キロの差にもならない、という論文が発表されるなど、この数年は、細切れ運動でも効果はあまり変わらないと考えられている」と書いてある。

 

肥満でいちばんこわいのは、命にかかわる多くの生活習慣病のもとになりやすいということである。

日本人の死因の第1位はがん、第2位は脳卒中(脳梗塞(のうこうそく)や脳出血)、第3位は心臓病(心筋梗塞(しんきんこうそく)や狭心症)。2位と3位はどちらも動脈硬化や高血圧、高脂血症などが大きな危険因子であり、これらには食事や肥満が大きく関わっている。

それから、日本人の間で急激に増えている糖尿病、高尿酸血症や痛風、脂肪肝、 膵炎(すいえん)なども、肥満との関わりが深い病気である。

 

 肥満防止と健康診断の励行など“健康のためには時間とカネをかけ、病気にはカネをかけない”ようにしよう。

 

参考

週刊誌「アエラ」2005.10.24号

厚生労働省 ホームページ 

潟^ニタ ホームページ

 
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