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教会暦

このように毎日行われる礼拝ですが、もちろん同じ物を繰り返しているわけではありません。そこで読まれる聖書の箇所や歌われる歌はその日その日で異なっています。
また単に違っていれば好きにしていいというわけがなく、一年のこの日にはどんなことをするかというのは、厳密に決まっていました。
このスケジュールのことを教会暦と呼ぶわけです。

教会暦でまず重要になるのが、祝日週日の区別です。一番の基本は、日曜日(カトリックではこれを主日と呼ぶ)が祝日でその他の曜日が週日という区別です。

これだけなら簡単だったのですが、もちろんそうは問屋が卸さず、それ以外の記念祝日というのがその間に割り込んできます。有名なものには降臨祭(=クリスマス)とか復活祭(=イースター)といったものがあります。
この例からも分かるように記念祝日の方が遙かに重要なわけです。

更にややこしいことには、この記念祝日には日付が定まっていない物があるということです。それが上記の復活祭で、この日は春分の日の後の最初の満月の後の最初の主日(3月23日~4月26日の間のどこか)というように決まっています。この決め方では当然毎年日付は変わります。
このため復活祭に関連した他の祝日の日付もそれに連動してスライドします。

このため教会暦には聖節の部聖人祝日の部という二つの体系があります。

前者がキリストの降誕から受難・復活・昇天に関わる祝日で、中には日付が定まっている物もありますが、おおむね復活祭に合わせて変動します。

後者は様々な聖人にちなんだ祝日で、すべて日付が定まっています。
この聖人ですが、カトリックではキリスト以外にも宗教的に大きな貢献をした人を聖人として祀る習慣があります。聖**と呼ばれる人々がそうで、その中で最も有名なのが聖母マリアです。

聖人はローマ教皇が「列聖」することで、時代を下るに連れてどんどん増えていきます。そのため必然的にその聖人にちなんだ祝日も増えていくわけです。
このため中世の終わり頃には、1年のほとんどが何らかの祝日で、何も特別なことのない週日はほんの僅かという事態になってしまいました。16世紀に行われたトリエント公会議で祝日はかなり整理統合されましたが、それでも結構な数がありました。

このような複数の体系の祝日があると、祝日が重なってしまうと場合が往々にして起こります。
このため祝日には等級が定められています。複数の祝日が重なった場合に等級の低い方は他の日に移されたり、礼拝の最後にちょっと言及されるだけといったことになるわけです。

等級の高い祝日は、その日だけでなく、その日から1週間(計8日)祝われました。

聖節の部

以下は聖節の部の祝日がどのようになっているかの簡単な表です。
太字になっているのはその中でも特に重要な日です。この部分はカトリックであれば大体どこでも同じような感じで祝われました。
待降節 降臨祭の4週前の主日より降臨祭までの期間。ドレスデンでは11/30の聖アンデレの祝日より始まったらしい。
降臨祭 12月25日。クリスマスのこと。
主の割礼 1月1日。
公現祭 1月6日。3人の博士がやってきて、キリストが公に示されたことの記念。
七旬節 受難節の7週前、復活祭の9週前
六旬節 受難節の6週前。
五旬節 受難節の5週前。
灰の水曜日 復活祭の46日前。この日より四旬節(レント)が始まる。キリストが荒野で40日の苦行をしたことの追想。
受難の主日 復活祭の2週前。受難節の始まり。
聖週間 復活祭前の一週間。
聖週間の始まる主日を枝の主日といい、キリストのエルサレム入城を記念する。
聖なる3日間といえば洗足木曜日・聖金曜日・聖土曜日の3日間を指す。洗足木曜日は最後の晩餐、聖金曜日はキリストの十字架上の死の起こった日とされる。
復活祭 イースター。ここより三位一体祭の前日までを復活節と呼ぶ。
昇天祭 復活祭の40日後の木曜日。キリストの昇天を記念する。
聖霊降臨祭 復活祭の50日後の主日。ペンテコステ。使徒に聖霊が降臨した日。
三位一体祭 聖霊降臨祭の次の主日。中世以降に祝われるようになった。
聖体祭 三位一体祭後の木曜日。中世以降に祝われるようになった祝日で、降臨祭、復活祭並の大規模な式典が催される。

聖人祝日の部

聖人祝日は、時代・地域によって大きく異なっています。そのため一般的な表を作るのはほとんど困難です。
以下の表はゼレンカの時代にドレスデンの教会で音楽付きで祝われた記録のある、第一級の聖人祝日を示します。
太字のものはその中でも「8日間祝う大祝日」だったのが確実なものです。
2/ 2 処女聖マリアお清め
2/ 5 日本3聖人の殉教
2/24 使徒聖マティアス
3/19 聖ヨセフ
3/25 処女聖マリアお告げ
5/ 1 使徒聖フィリポと聖ヤコブ
5/ 3 聖十字架の発見
5/16 ネポムク(Nepomuk)の聖ヨセフ(ボヘミア・ザクセンの守護聖人)
5/24 聖ジョン・フランシス・レギス(イエズス会の聖人)
6/13 パドヴァの聖アントニウス
6/16 聖ベノー(ザクセンの守護聖人)
6/21 聖アロイジウス・ゴンザガ(イエズス会の聖人)
6/24 洗礼者聖ヨハネの誕生
6/29 使徒聖ペテロとパウロ
7/ 2 処女聖マリア訪問
7/25 使徒聖ヤコブ
7/26 聖アンネ
7/31 聖イグナティウス・ロヨラ
8/ 2 "Mar. Por." Our Lady of the Angels of the Portiuncla ???
8/ 6 主イエスキリストの変容
8/10 殉教者助祭聖ラウレンティウス
8/15 処女聖マリアの被昇天
8/24 聖バルトロマイ
9/ 5 聖守護天使
9/ 8 処女聖マリア誕生
9/12 最も聖なる名前マリア
9/14 聖十字架の称賛
9/21 福音史家使徒聖マタイ
9/29 大天使聖ミカエル
10/10 聖フランシス・ボルジア
10/21 聖ウルスラ
10/28 使徒聖シモンと聖ユダ
11/ 1 諸聖人
11/ 2 諸死者
11/13 祝福されしスタニスラス・コツカ(ポーランドのイエズス会士)
11/21 聖処女の贈呈?
11/21 聖チェチーリア(音楽の守護聖人)
11/30 使徒聖アンデレ(ドレスデンではここより待降節が始まる)
12/ 3 聖フランシスコ・ザビエル
12/ 8 処女聖マリアの無原罪
12/21 使徒聖トマス
12/27 聖ヨハネ

ドレスデンがイエズス会系ということで、ザビエルとかロヨラとか日本の3殉教者などが入っているのが興味深いところでしょうか(ちなみに日本の3殉教者の祝日とありますが、この日は19世紀になって26聖人殉教となったようです)

特に注目なのは12/3の聖フランシスコ・ザビエルの祝日が8日間祝われる特大の祝日となっていることで、これはザビエルが皇太子妃マリア・ヨゼファの守護聖人にあたるためです。もともとこの時期には12/4の聖バルバラの8日間が祝われていましたが、皇太子の結婚後このように変更されました。


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