けがについて考えてみる



 自分自身20年以上ハンドボールの指導者として、子供がけがをする場面も数多く見てきました。
 当然けがをする子供もちょっとした不注意や疲労からけがをすることは多いはずであるが、アップ不足や体調
不良時に起こるけがが大半を占めているように感じる。特に小学生は、自分で体調を管理することがむづかし
く、いかに子供の体調を把握できるかが指導者と父母のコミュニケーションの必要性の大きなポイントである。
 未然に防げるけがは必ずあるはずで、いかにけがをさせないことができるか?を、ここでは皆さんと一緒に考え
てみませんか?きっと、「あっそのとおりだ!」と思うことがありますよ!

1.スポーツの特性
 以前、子供たちは野山を駆け巡り、生活に必要な身体の動き(バランス)や危険である事の把握などの知識を
自然に身につけていました。しかし、最近はこのような機会が少なくなり、スポーツ少年団等の活動に参加しなが
ら基礎的な動作や運動を習得することが多くなりました。
 身体を動かすことで、柔軟性、筋力、持久力、調整力などが高まり、発育期にスポーツや遊びで培った技術や
習慣は大人になっても残り、生涯にわたってスポーツに親しむようになります。

2.けがの特性
 発育期にある子供たちのけがの中で、いちばん気をつけなければならないのが、成長期途中にある骨に関す
るものです。骨は関節の近くにある骨端線で成長しますが、この部分は柔らかく弱い軟骨なので障害が発生しや
すいのです。また、骨自体も弱く、骨折しやすいといえます。

けがはどのようにして起こるか
 スポーツのけがは、原因によって大きくはスポーツ外傷とスポーツ障害に分けられます。スポーツによる骨折、
突き指、足首の捻挫など、急激に大きな力がかかることで起きるものをスポーツ外傷と呼びます。それに対して、
ハンドボールでも見られるジャンパー膝など、小さな力の積み重ね(慢性的な使いすぎ)が原因で起きるものを
スポーツ障害と呼びます。

***靭帯のけが***
(1)足関節の靭帯損傷
 靭帯損傷で最も多く見られるのが足関節捻挫で、大半は足首を打ち返しに捻ったときに起こります。
(2)膝関節の靭帯損傷
 膝の靭帯損傷でよく見られるのが、前十字靭帯と内側側副靭帯の損傷です。
 前十字靭帯損傷は、着地や急停止、方向転換時などのほか、転倒や捻ったりしても起きます。
 膝の内側にある内側側副靭帯の損傷は、膝の外側から乗られたり捻られたりしたときに起きます。

*よく耳にする言葉で半月板損傷があります。半月板とは、膝の内側と外側のある軟骨で、骨の隙間を埋めて
おり、ショックを吸収する役目を果たしています

***脱臼***
 いわゆる「関節がはずれる」ことをいいます。脱臼は指や膝関節、股関節などでも起こります。また、肩関節脱
臼も多く一度脱臼すると何度でも繰り返すようになるので注意が必要です。

***腱のけが***
 アキレス腱断裂は、主に中高年者のレクリエーション的なスポーツで発生しやすい。切れたときは、アキレス腱
を棒でたたかれたような痛みを感じます。つま先では歩けませんが、べた足だと歩けることもあります。切れる前
にはアキレス腱の痛みを感じることが多いので、痛みがある人は注意が必要です。

***オーバーユース***
 オーバーユースとは、「使いすぎ」でおきるスポーツ障害のことをいい、発育期におけるものや、スポーツ種目
特有のものなどがあります。
(1)膝痛
 オスグッド病は、発育期にある子供に多い膝の障害です。発育期には骨が急激に成長しますが、筋肉や靭帯
の伸びはこの骨の成長の早さについていけなくなります。このため、スポーツをするときに人体が骨についている
部分が強く引っ張られ、そのまわりの組織が炎症を起こして、運動時の痛みはもちろん、正座ができなくなった
り、膝の下端が飛び出したようになるなどの症状が現れます。ほとんどが男子ですが、女子にも見られます。ま
た、膝が反ったり内股が強い女子は、関節がやわらかすぎるので、同じ運動をして膝蓋骨(通称、膝の皿)の内
側に痛みが起こります。
 ジャンプ動作の多いスポーツに発生するのがジャンパー膝です。膝蓋骨(通称、膝の皿)の下の靭帯に無理が
生じて炎症を起こします。運動時だけでなく押さえると痛い、あるいはじっとしていても痛いといった症状がありま
す。
 双方とも大腿四頭筋(通称、太ももの前側の筋肉)のストレッチングが有効です。
(2)腰痛
 スポーツによる腰痛には、筋肉性の腰痛、腰椎分離症、腰椎椎間板ヘルニアなどがあります。
 筋肉性の腰痛は、発育期にも多く体を前屈させると痛みます。特に腹筋が背筋に比べて弱い場合に発生する
ので、背筋や下肢のストレッチングと腹筋の強化を行うようにします。
 腰椎分離症は、発育期に多く起こる腰椎の疲労骨折ですが、背中を反らせるときに痛みがあります。
 腰椎椎間板ヘルニアは、腰椎の間の軟骨の一部が後ろに飛び出して、足の神経を圧迫することで起こりま
す。体を前に曲げると腰と足が痛みますが、痛みがひどいため医師による専門的な治療が必要です。
(3)疲労骨折
 少しずつ小さな力が加わることによって、ひびが入った状態をいいますが、完全に折れてしまうことはありませ
ん。種目によって部位は違いますが、疲労骨折の主症状は痛みです。発見が早ければその部分を使う練習を
中止して簡単な固定をしておくことで治りますが、そのまま練習をつずけると長期間の治療が必要となります。


けがが起きてしまった場合

 障害は、どんなに注意を払っていても起きうるものであるが、万が一障害が起きてしまった場合、指導者として
は、「最も少ない損傷で、できるだけ早く回復させる」ようにしなければならない。そのために応急処置は大切で
あり、指導者は応急処置方法を訓練しておかなくてはならない。また、心配蘇生術についても知識と技術を知っ
ておく必要がある。

 《 RICE 
 ハンドボール外傷の応急処置でもっとも頻繁に用いられる方法が、安静に保ち使わない(Rest)、氷で冷やす
(Ice)、圧迫する(Compression)、高く上げる(Elevation)である。

 Rest
 どのような外傷の場合でも安静に保ち、負傷部位を動かさないことが応急処置の原則である。安静を保たない
場合は痛みなどの症状ばかりでなく、負傷部位の症状が悪化し、結局は十分なプレーができなくなったり復帰が
遅れたりすることになる。脳震盪、捻挫、肉離れ、打撲、切り傷など、すべての場合に安静に保つことは有効で
ある。

 Ice
 負傷部位を冷やすことにより、内出血を抑え、腫れを最小限に防ぐことができ、治癒を早めることができる。負
傷直後に冷やすことが大切であり、時間がたてばたつほど効果は減少する。冷やすには氷を最大限に利用し、
負傷の部位によってはその方法を工夫する。たとえば突き指などの上肢や、捻挫などの下肢の場合は、バケツ
に氷水を作り、手や足を入れてしまう。大腿部などの肉離れであれば、氷をビニール袋に入れタオルなどで来る
んで当てる方法などが良い。冷やす時間は15分から30分が目安となる。氷は応急処置には不可欠なものであ
るから、冷蔵庫などを利用して常に用意しておくべきである。

 Compression
 捻挫などの場合に、負傷部位の内出血や腫れを防ぐために、圧迫をすることも有効である。ただし、圧迫しす
ぎると循環障害を起こすので、実施に当たっては十分な注意が必要である。

 Elevaion
 負傷部位の腫れを未然に防いだり、早くひかせるために、負傷部位を心臓より高くあげることが重要である。

 《 創傷の処置 》
 ハンドボールは室内競技であり、大会のほとんどは体育館で行われているが、ふだんの練習はほとんど屋外
で行われている。そのため擦過傷(擦り傷)、挫傷(皮膚がつぶれたもの)、割傷(皮膚が割れたようになっている
もの)などの傷がよくみられる。これらの傷は頻度も高く、その正しい処置を覚えておく必要がある。重要なことは
傷の保護と感染防止で、原則はつぎの3点である。
 
 @砂などの異物を水道の流水で十分洗い落とす。
 A出血を止める。清潔なガーゼなどを傷に部位に当てて3分くらい圧迫する。ほとんどの傷は圧迫によって止
  血できる。しかし、頭部などは血管に富んでおり止血しにくいこともあり。止血できない場合は、見かけより  
 出血が多くないことが多いので、あわてることなく医療機関で受診させる。
 B負傷部位を高く上げる。

 傷は、約6時間をすぎると化膿しやすくなるので、感染の可能性が高い場合は早めに医師の処置を受けるほう
がよい。また、古い釘や汚いもので刺したような時には、はしょうふの危険もあるので必ず医師の診察を受けなけ
ればならない。
 


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