試合日の留意事項について考えてみる


 試合前になれば、本人が自覚しているかどうかは別にして、誰でもある程度の緊張感の高まりがある。
 この緊張感の程度は大会の規模や周囲の環境などのほか、個人の感受性によっても大差がある。このような
緊張感に対して、その程度に応じたホルモンが分泌される。これらのホルモンがある程度異常に分泌されれば
正常な食欲はなくなり、無理に食べさせてとしても、食べたあとの消化吸収に関わるホルモンの正常な分泌が抑
制される。食べ物を胃に入れたとしても消化が進まず、胃の出口が閉じられたままになって胃の状態はいつまで
も食事直後の状態になる。このような状態は運動に不適当なので、当然日頃の力が発揮できず終わることとな
る。

《食事には無用な緊張をしないように》
 指導者は、日頃から無用な緊張をしないように、食卓につくときには試合のことを考えず、食後もじっくりくつろ
げるように指導することが大切である。運動をするまでの時間は、いつもより1時間以上余裕を見ておいたほうが
よい。

《試合当日の朝食で必要なものは糖質と水だけ》
 試合で使われる栄養成分で数日前から体に蓄えておくことができるものは、試合当日の朝に食べる必要はな
い。当日どうしても食べなければならないものは糖質と水分だけである。身体のあらゆる臓器はエネルギーを
時々刻々と消費しているが、このうちでも脳、神経、動脈などは血液中のブドウ糖を直接取り込みながら活動して
いるため、血糖は常に一定値を保っておかなくてはならない。この血糖値は、唯一肝臓グリコーゲンから供給さ
れる。肝臓のグリコーゲンは、ご飯やパンのような糖質食品を食べてあと、朝食で何も食べなければ、昼ごろに
は肝臓グリコーゲンが底をついている。しかも運動をすれば、血糖の消費はさらに早まるから、試合の途中で血
糖が下がり始める恐れがあり、脳の活動が妨げられるために正常な運動は続けられなくなる。
 つまり、試合当日の朝食は、糖質さえ摂取できればよいのであるから、和食系ならご飯に軽い副食、あるいは
おにぎり、餅などを気がすむ程度に最小限のおかずで、洋食系ならパンにジャムなどの取り合わせで取ることが
よい。時間が長くなる場合には、さらにバナナをデザート代わりにとるとよい。

《まったく食欲がない場合》
 まったく食欲がなくて食べられないときは、医師に点滴を依頼するのがもっとも確実だが、ブドウ糖や果糖な
ど、消化液がなくても吸収される単糖類を利用する方法もある。
 ただし、これは試合までの時間と量に注意しなければならない。運動開始まで3時間以上あれば問題ないが、
2時間で30から40g、1時間前で15g、30分前で5gぐらいをメドに補給し、30分以内はあまり摂取しないほうが
よい。直前に多量の単糖類を摂取すると、急激に血糖が下がることがある。

《1日に数試合するときの昼食》
 1日に何試合もするときの昼食も、原則的には朝食と同じように考える。
 試合に臨むときには、筋肉と肝臓に十分なグリコーゲンがあって、胃から肛門までの消化器内は、できるだけ
からになっている状態をつくることである。その場合、筋肉と肝臓の必要箇所にはビタミン、ミネラルなどもしっか
り確保されていることが大切である。



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