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エクセレント・カンパニー、超優良企業の条件、(In Search of Excellence)TJピーターズ、RHウォータマン、大前研一訳、講談社、1983年7月18日初版、1800円

90円古本コーナーで見つけた昔ベストセラーの経営書、結構面白い本でした。18年前の本ですから、どこかあらがないかという観点からも目を通したのですが、現代でも生きているものが多かったという印象です。
経済情勢は、日本がよくて米国が悪いという時代背景ですが、企業の運 営としては差ほど変わらない「超優良企業に国境はない、大前」というように書かれています。
ここに挙げれて企業は優良大企業なのですが、知る限りは経営が左前になったところはDECやワング(倒産)で、他はまずは生き残っているようです。
時代の制約ですが、「ソフトウエア、エンターテインメント、金融という3つの新産業」にはほとんど触れておらず、勿論、マイクロソフトのマも出てきません。またIT革命の概念もなしです。
ただ、米国の企業カルチャー 、風通しがよいうとか、フラットな人間関係などが、IT革命を受入れるのに適切というというのは本書から読み取れます。ITという強力な道具が最も適した社会が米国社会(企業も社会も同じですから)とも言えます。
逆にIT革命といってますが、日本社会では、そもそも構造的に受入れ難いのではとの懸念もあるのですが、加藤紘一さんがホームページで運動とか、変わらざるをえないのかもしれません。

○成功の尺度
マッキンゼー7つのS,機構Structure、戦略Strategy、スタッフStaff、システムSystem、共通の価値観Shared Value,スタイルStyle、スキルSkills
革新的な超優良企業の8つの特徴、
1.行動の重視、2.顧客に密着、3.自主性と企業家精神、4.人を通じての生産性向上、5.価値観に基づく実践,6.基軸から離れない,7.単純な組織・小さな本社,8.厳しさと穏やかさの両面を同時に持つ
○私たちの調査について
(1)先端技術産業、DEC,HP、インテル、TI、(2)消費材産業、PG,JJ,チーズブロー・ポンズ、(3)一般工業製品産業、キャタピラー、ダナ、3M、 (4)サービス業、デルタ航空、マリオットマクドナルド、デズニー、(5)エンジニアリング会社、ベクテルフルオラ、(6)資源関連企業、ARCO、ダウケミカル、エクソン
○単純さと複雑さ
たいていのゴロ合せは食わせ物だ。しかしKISS( Keep it simple, Stupid物事は単純にしておけ、バカヤロー)は違う。
○行為・意味づけ・自己コントロール
リーダーの役割は行動に勇気を与える「レッテル貼り」の仕事をする人である。一流の数学者であるロジャー・ペンローズは「世界とは人間の五感がでっちあげた幻想だ」という。しかし人間は生まれたときに与えられた白い紙に意味を書き込もうと、敢然と時には絶望的な努力をつづける。ブルーノ・ベテルハイムは、昔から人生の意味づけに昔話や神話が大きな役割を果たしてきたことを強調する。
○4.曖昧さと矛盾を扱う
一流の知性とは、ふたつの相対立する考えを同時に心に抱きながら、しかも正常に機能しつづけられる能力のことを言う。F.スコット・フィッツジェラルド
○組織の流動性、MBWA(右往左往経営)
超優良企業ではコミュニケーションが緊密でることには疑問の余地がない。MBWA(Management By Walking About)歩き回る経営と呼んでいる。IBMでは門戸開放Open doorということに膨大な時間とエネルギーを費やしている。
○分塊化による個別撃破
エズラ・ボーゲルは「ジャパン・アズ・ナンバー・ワン」で日本企業のビジネス構造、社会構造の中心となるのは課長で、8ー10人のフループがひとつの単位をなすのが普通だ、と言う。
○チャンピオンたち
今は会長になっているまだ若いころのジャック・ウェルチは典型的な市場開発のチャンピオンだった。彼は一心不乱に密造酒づくりに励み、顧客の力を借りていろいろテストをしてもらい、あらゆる応用分野を見出そうとした。
○チャンピオンを支えるシステム
インテルの新しいビルは、小会議室の数を異常に多くしてある。会議室には何枚かの黒板が置かれている。超優良企業は大学キャンパス風の施設を持ち、重要な機能の大部分を中小都市の一ヶ所に集中している。
○おわり;超優良企業に国境はない、大前研一
この本はいま米国で爆発的な売れ行きを示している。米国の経営が過渡期にさしかかっていることは誰しも感じていた。70年代の後半は、日本や西独(のち日本のみ)との国際競争に負け、その敗北感から今様マルコポールによる日本経営礼賛ものが輩出した。80年を前後して日本ものブームは去り、逆に、日本の特殊性そのものへの攻撃がでてきた。
ボルドリッチによる日本文化諸悪の根源説などもこの範疇にはいる。今日では、日本と言えば、年功序列、終身雇用QCサークル、JIT(just in time、トヨタのカンバン方式の米国での呼称)、社歌、提案箱、なのである。

エクセレント・カンパニー、超優良企業の条件、(In Search of Excellence)
TJピーターズ、RHウォータマン、大前研一訳、講談社、1983年7月18日初版、1800円

訳者;早稲田応用化学卒、東工大原子核工学科修士、MIT原子力工学科博士、1970年から2年間、日立原子力開発部技師、主に高速増殖炉設計に従事、1979年からマッキンゼー社の取締役・日本支社長

日本の読者のみなさまに

第1部;超優良企業の条件
1.成功しているアメリカ企業
○成功の尺度、
第2部;新しい理論の構築を求めて
2.合理主義的な考えかた
○展望の欠如、○分析という象牙の塔にこもる、○重点のおきちがい
3.人々は動機づけを望んでいる
○単純さと複雑さ、○プラスの動機づけを強化する、○行為・意味づけ・自己コントロール、○変容のリーダーシップ
第3部;基本にもどる
4.曖昧さと矛盾を扱う
○企業文化の重要性、○進化
5.行動の重視
○組織の流動性、MBWA(右往左往経営)、○分塊化による個別撃破、○実験精神、○迅速の数多く、○金をかけない学習ー密造法とザル法、○実験の行われる背景、○組織の単純化、○行動指向
6.顧客に密着する
○サービスという脅迫観念、○品質への強いこだわり、○ニッチ主義、○超優良企業の低コスト指向は?、○ユーザの声を聞く
7.自主性と企業家精神
○チャンピオンたち、○チャンピオンを支えるシステム、○失敗を許容する、○3M最適の例として
8.ひとを通じて実践
○いくつかの成功例、○各社に共通している項目、○お祭騒ぎ祝賀会それから生まれる活気、○情報を広く公開し比較させる、○小さいこと、○基本理念
9.価値観に基づく実践
10.基軸から離れない
11.単純な組織、小さな本社
12.厳しさと緩やかさの両面を同時に持つ
おわり;超優良企業に国境はない、大前研一