可憐な花々達−「鷺草」・「風ラン」

 先に紹介した鷺草であるが、背丈等それなりに成長したものの、花茎も伸びず、どうも鷺は飛び立ちそうもない。普通、7月頃に、2、30センチの花茎を伸ばし、先端に2、3個の花をつけるものらしい。その花は、まさに鷺が羽根を拡げたような可憐な花で夏の花として広く愛されている。市花を鷺草としている姫路市の緑の相談所に鷺草の育て方について聞いたところ、良く陽に当て、水は乾いたら与える。肥料は花が咲くまではやらない。水を遣りすぎると根が腐ってきて花茎も育たないとのことで、どうもこれまでの育て方は全てが間違っていた。今年、花が咲くのは無理かもしれない。遅ればせながら、できるだけ夏の陽に当ててやろう。鷺草について詠まれた句に、秋桜子のつぎの一句がある。             「鷺草の おくれ咲きしも 翔(か)けそろふ」

 秋桜子の句ではないが、なんとか可憐な花を咲かしてもらいたいものである。鷺草に語りかける「飛び立て鷺よ」と。

(追記)梅雨の狭間の休みに、花木センターをのぞいたら、山野草のコーナーの一角に鷺草の鉢が並んでいた。蕾を3つ付けた一鉢を買い求め、我が家の窓際に置いた。一週間くらい過ぎた頃だろうか、一つの蕾が開き始めた。その姿は、まさに空に舞う白鷺である。残りの2羽も数日後、見事に羽ばたき3羽並んで飛んでいる。同じ頃、職場の同僚から、家で育てているという「フウラン」の鉢をいただいた。その名は風がよく吹き抜ける枝に好んで着生することから、和名で「風蘭」と名付けられているとのこと。山野の高い樹上に着生しているため、野山を巡ってもなかなか見つけられないそうである。江戸時代、諸大名が参勤交代の折、この風ランを籠の共にし、葉の色や花の形、香りを楽しみ、長旅の無聊を慰めていたとのことである。鷺草に似て、可憐な花を付けている。鷺草同様、水の遣りすぎは禁物とのこと。手を掛けるのはいいが、あまり手を掛けすぎるとかえってよくないとの忠告を受けた。このあたりの加減は子育てと相通ずるものがありそうだ。今暫くは、この風の使者と白鷺が、朝な夕なに、可憐な姿を楽しませてくれることだろう。

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