2010年12月23日〜6泊7日の記録です。
今回の目的はミュージカル見学!!
その中でも「指揮者の仕事ぶりを!」を目的にし、なるべく多くのショーを見ようと決意。
まずは
「ブルーマン」
このショーは日本に来日しているので、2004年からロングランを続けオフ・ブロードウェイの人気No1!!
開場して中に入ると、座席数はオフ・ブロードウェイなので座席は300席ほど。
開園時にはほぼ満席に。
アナウンスによると、公演中は休憩が無いとか・・・・
ほぼ二時間ぶっとうし!
ショーは、ステージに顔と手を文字通りブルーに塗った3名しか登場しないが、ステージ右上にはガラスで囲まれたブース
(日本語では金魚バチ)が有って、ドラム、ベース、キーボードの3名がブルーマンの演奏に加わる。
ミュージカルとは言ってもここ「ブルーマン」と、この近くで公演している「ストンプ」は、パーカッション主体の演奏と演技で台詞や歌は一切の無い。
しかし、そのユーモアは下手に喋るよりずっとずっと面白い。
英語力ゼロでも十分に楽しめる。
そして、とにかく笑える!
この「ブルーマン」は打楽器奏者がパントマイムを行うという設定だが、演技の方も観客を引き付けて、一瞬たりとも厭きさせないのがロングランを続けている所以か。
こちらは「ストンプ」に比べると演奏よりパフォーマンスの割合が多く、もっと演奏を堪能したい方にはちょっと・・・・といった印象。
しかし、現在ものすごい勢いで普及し始めた「 I Pad 」を使ったギャグを取り入れたり、当日会場に来ている観客をステージに
上げたと思ったら、やおら、黒装束を着たスタッフがスタジオ・カメラを担いで登場してた。
そして、ステージ上にはディスプレイが用意され、まずこの観客の顔のアップへと次第に肉薄していく様子が写し出される。
カメラ・アップは顔のアップに留まらず、口の中に侵入したと思ったら、今度は食道に入りこんで、さらにさらに、胃の中へと容赦なくドンドン侵入して行く。
見ているに人には、たった今ステージに呼び込んだこの観客の、その胃の中を覗き込んでいるかのごとき錯覚さえ覚える。
ゲボッツ!
しかし、これではリピーターも多く来るはずである。 おもしろい!
次に見たのは、「オペラ座の怪人」
著作権の関係で会場の中は写真撮影はご法度の世界!
しかし、ショーが始まる前の時間は写真撮影も解禁!さらには、クラシックのホールとは違って会場内の飲食がOKなのにはチョット驚き。
楽器編成はオケ・ピットスペースの関係で、管弦楽の1管編成。
フルート,クラリネット,ファゴット,オーボエの木管楽器は一本ずつ。
おまけに金管楽器もトランペット,ホルン,バス・トロンボーンが
一本ずつの編成であった。
この他にはオルガンの音などをシンセが加わって演奏。
オケ・ピットを覗くと、オペラやバレーの劇場よりず〜っと深い位置に
沈みこんでいる。
さらに、PAも有るのでオケ・ピットから音を出す必要が無くピットの上、つまり屋根の部分は覆われて、ステージの先端の部分として演技で使えるようになっている。
そしてあちらこちらにモニター・テレビ画面が見える。
これは、演奏者よりはるか上方に位置する指揮者を、顔を上げて
見上げずとも良い様に備えてある。
なるほど・・・・楽譜を見ながら指揮者を同時に見るには、あまりにも
指揮者が上に位置しているので、首が・・・・痛くなる!
納得!
やがて登場してきた指揮者は50歳台の、多分???・・で、女性・・・なんと!
指揮者が操る指揮棒もなんと短いことか・・・・まるで割り箸!
一人の指揮者が連日行われるすべての公演を取り仕切る事は考えられないので、あとの
指揮者がどんな人かチョットだけ気になる。
PA(パブリック・アドレス・・音声伝達)は、もはやコンピュータ制御が常識の世界。
あらかじめセッティングされた通りに、マウスの指示で調整卓のフェーダーが動く。
最近は日本の録音スタジオでも全てこのコンピュータ制御。
「マンマ・ミーヤ!」
開場して自分の席を確認してからすぐにオケ・ピットを覗きに行くと、ABBAの曲で有名なミュージカルだけにシンセが4台目に飛び込んでくる。
そして、上手に位置するパーカッション奏者と目が会い「写真撮ってもいいか?」と聞くとセッティングの手を止めて快くOKとの返事。
写真一枚ゲット。
次には、中央にガラス張りブースに隔離されたドラム・セットが見える。
それと下手にはエレキ・ベースとアコギとエレキ・ギターが・・・・
そして、そして・・・・・指揮台になんと
キーボードが・・・・
なんで???
ところで、開演を知らせるブザーやチャイムはミュージカルには無い!
のだ。
指揮者が登場し、指揮台に座って・・・・
指揮台に備え付けられた昔ながらの古いダイアル式電話機で
なりやら話して・・・
やおら、ドド〜ン!とオープニングが始まる。
なんと、ここも昨日の「オペラ座の怪人」の同様、指揮者は女性!
しかも、ずっと若い。
40歳代のようにも見える。
さらには指揮棒を持って無い。
程なくして、この指揮者が指揮棒を持っていない訳が分かる・・・・
な、なんと・・・・「弾き振り」なのである!
つまり、演奏しながら指揮をする。
劇中のセリフが長く、その間は音楽が定型的なリズムの繰り返しを行っていて、セリフに続けて歌に入って先に進むキッカケを指揮棒で合図するのでは無く、指揮者が導入のフレーズを自ら演奏して音楽を続けるスタイルを行っていた。
この「マンマ・ミヤ!」には、この手のサインを出すタイミングが、頻繁にある。
又、劇の後に歌出すきっかけもピアノ伴奏者よろしくタイミングを音で与えていた。
このようにして、舞台の進行を見ながら難なくこなしている様子は、見ていてとてもカッコ良い!さらには、ポピュラー・ミュージック特有のリズミカルな音楽の部分では、指揮台に座ってキーボードを演奏しながら、身体をゆすっりながら演奏している。
ブラボー! 彼女の後ろ姿は、ホレボレする!!!
そして、曲中のテンポの変わり目などでは演奏者から指揮者にもどって、オケ・ピット内の演奏者へ的確にサインを出している。
このショーでは、指揮者が演奏者に合図して音を出すよりも、指揮者自らキーボードで出すタイミングの方が微妙なズレも無くて、より適しているのが分かる。
また唄い出しのきっかけも、よりスピーディである。
この手のジャンルには指揮棒は似合わないし、シンセを中心としたアバの曲はビートが効いてノリノリであった。
当然PAはコンピュータ制御の調整卓。
「メリー・ポピンズ」
昨年見た「ライオン・キング」と同じディズニーのミュージカル。
先日までのミュージカルのプレビューに「メリー・ポピンズ」は水曜日は2時と8時の二回公演とあったので、昼過ぎに積もりに積もった雪を避けながら劇場まで買いに行くと、確かに売り場は開いていて何時でも購入可能な状態。
しかし、8時からの公演とのことで一旦ホテルへ帰る。
編成は「オペラ座の怪人」同様、管弦楽の1管編成にハープとピアノが加わった編成で、電気や電子楽器が
入ったサウンドとは異なったコンセプトの音楽。
会場は1800名程度のキャパの広さだが、音楽がよりアコーステック志向で、歌のPA以外オーケストラの演奏は
生音を極力優先させて、スピーカーからの音量は控えめだった。
そのスピーカーも上手と下手に垂れ幕に隠して設置してあって、その音を聞く限りかなり少なめか?・・・・
ロック・コンサートみたいに何個も何個も積み重ねたりしているのに反して、一個づつ?・・・かな?
ここは今回初めて男性の指揮者であった。
歌のPAはもちろんコンピュータ制御の調整卓にて
従来から行われてきたクラシック・コンサートとは、同じ演奏会であっても違う要素が数多く含まれるミュージカルの世界。
バレーやオペラとも違う総合芸術で、昨年からこのミュージカルを見物しに本場NYへと足を運んでいる。
そこで行われている連日の公演は、日ごろ自分が関係する音楽の世界と共通する所も多く、また、参考となる事が
多々あるのである。
ま、一回見ただけでは到底十分な内容把握は出来ないが、それでも、昨年見逃した多くのことを今年は発見した。
更には、それらを基盤として今後さらに、有意義な事柄を学ぶきっかけとなれば・・・。
そう思い更なる向上を祈って・・・・・
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