いにしえの頃には馬の放牧場だったので駒場といわれたそうですが、
江戸期の間は、将軍の鷹狩の御用地に指定されていました。
明治以降、新政府に収公されてから、この地は目まぐるしく姿を変えたそうです。
後に東京大学農学部へと発展する農場(駒場農学校)が創られたのを皮切りに、
その農場が本郷に引越すや、代わりにやってきた前田家の屋敷が建設されました。
第二次大戦後には、今度は連合国軍に前田家屋敷を収公されましたが、やがて
返還され、現在の公園に至ります。
今では閑静な住宅に囲まれたこの公園の隣には、前田家と同時期にやってきた
旧制第一高校(現東大教養学部)があります。もう"激動"の歴史の繰り返しは無さそうですね。
現在、洋館は東京都近代文学博物館となっています。
洋館の南側には、芝のきれいな前庭が広がります。お天気の良い日には
お弁当を食べたり、子供たちが駆けずり回ったりという風景が
お似合いの公園ですよね。
和館のほうは、休憩所として開放されています。
和式の庭園もあり、お散歩途中に一息いれるには丁度いいですよね。
この和館の向かいに、日本近代文学館があります。
公園北口の隣に、前田育徳会の尊経閣文庫があります(ここは公開していません)。
公園の出入口からは少し歩きますが、日本民藝館も隣接しています。
また、京王線の反対側には名前のよく似た駒場野公園があり、そこには
駒場農学校時代の田んぼ(ケルネル田圃)が残されています。
この田んぼは、近代農業発祥の地として、今でも毎年田植えが行われるそうです。
かつて馬が走り回った地は、文芸や民芸に米づくり、そして日本の最高学府と、
現代の文化文明が飛び交う地になったようです。