温泉発見の由来


最近の新しい温泉は,地質工学など最新の科学知識を駆使して探索,掘削されるが,古い温泉には,その発見の由来が,いろいろ言い伝えられている.

  神話の世界に遡る

有馬温泉    (兵庫県)

  遠く神代の時代,大己貴命(おおなむちのみことと少彦名命(すくなひこのみこと)が有馬の里に立上る湯煙を発見したのが始まり.

武雄温泉    (佐賀県)  その1

  神功皇后が三韓征伐の帰りに,神のお告げに従い,有明海を渡りこの地に上陸した.皇后が柄の先で地を突いたところ,温泉が湧き出した.


 動物が教えてくれた

玉名温泉    (熊本県)

  炭焼きを生業とする小五郎という名の若者が一羽の傷ついた白鷺が沐浴するのを見て,いで湯であることを知った.

湯田温泉    (山口県) 

  狐が傷を癒しているのを見て,温泉を発見した.これを象徴してJR湯田温泉駅前には,巨大な狐の像が建てられている.

鹿の湯     (栃木県)

  狩野三郎が白鹿に矢を放ったが逃げられてしまう.そこへ白髪の老婆が現れ鹿は谷間の温泉に浴している.その温泉は万病に効くと教えられた.

熱川温泉    (静岡県)

  大田道灌が天城山での巻狩の折り,川面から湯気の立上るのを望み,猿や猪が身に負った傷を癒すのを見て発見.この川を熱川と名付けた.

熊の川温泉   (佐賀県)

  弘法大師がちどりが傷を癒しているのを見て温泉を発見した.これに因んで熊の川温泉にある日帰り温泉施設の名は「(ちどり)の湯」

道後温泉    (愛媛県)

  白鷺伝説.漱石の小説坊ちゃんの舞台でもある明治27年に建築された重厚な木造建築「道後温泉本館」.その屋根には白鷺が飾られている.

武雄温泉    (佐賀県)  その2

  米守と言う役人が,白鷺が舞い下りるのを見て探してみると,湯気の立つ岩の間の流れに白鷺が足を浸しているのを見て,温泉を発見した.

蛇の湯温泉   (東京都)

  傷ついた大蛇が,川原に湧く湯で傷を癒したと伝えられる大蛇の隠し湯.武蔵野風土記に記されている多摩の数少ない温泉.


えらい人が命じて

古湯温泉    (福岡県)

  秦の始皇帝が不老長寿を願い,神仙の術を行う方士に霊薬の探索を命じた.その一人徐福が日本に渡り,霊薬と共に見つけたのが古湯温泉.

湯の川温泉   (北海道)

  松前藩主がその子の千勝丸が重い病を患った時,治療をするため家来に探させた温泉.湯治させたらまもなく全快した.


ちょっと変わったきっかけで

博多温泉    (福岡県)

  自宅の庭に井戸を掘っていた所,地下80mで49度のお湯が出た.そこでこの家のあるじはサラリーマンを辞め,自宅を改築し温泉宿を開業した.

八王子温泉   (東京都)

  オーナーの夢枕に現れた恵比寿,大黒の導かれるに従って,掘削を進めたら42度の天然温泉が湧き出した.ニ福神に因んで福福の湯.