切磋琢磨の修行部屋にようこそ

 

以下の40のお題を65字以内で表現してみよう。

ただし、心理描写や抽象性、理論理屈は抜きにして。

できるだけストーリー性を持たせつつ

一つ一つのお題の場面は独立したものでね。

と、厳しい課題をくださったのは、こちらです。

がんばるぞ〜と決意したのは2006・11・24で、

仕上がったのは、2006・12・20でした。

めちゃくちゃ楽しかったです。

 

 

お題一覧

基本はハクセン、たまにリンセン?ごくたまに魔女も出てきます。

00. お名前とサイト名をどうぞ。また、よろしければなにか一言。

 01. 告白  02. 嘘  03. 卒業  04. 旅  05. 学ぶ  06. 電車  07. ペット  08. 癖  09. おとな  10. 食事 

11. 本  12. 夢  13. 女と女  14. 手紙  15. 信仰  16. 遊び  17. 初体験  18. 仕事  19. 化粧  20. 怒り  

21. 神秘  22. 噂 23. 彼と彼女  24. 悲しみ  25. 生  26. 死  27. 芝居  28. 体  29. 感謝  30. イベント  

31. やわらかさ  32. 痛み  33. 好き  34. 今昔(いまむかし)  35. 渇き 36. 浪漫  37. 季節  38. 別れ  39. 欲  40. 贈り物

上から書いた順番に並んでいます。

00.名前とサイト名と一言。

友林です。サイト名は「うみのおとしもの」。   

思い浮かんだ場面が伝わるように頑張ります。

 

40.贈り物(68字) ・・・傲慢ハク様

薄暗い空の下。鮮やかな色彩に溢れた店先で迷うことなく指差したのは

そなたによく似た夏の花。透明なセロファンに包まれて太陽のごとく我を恋え。

 

10. 食事(68字)・・・いいとも赤頭巾ちゃん、と狼さんが言いました。

くつくつ煮え立つ鍋の横に貰ったばかりの小さな向日葵を飾ったら、湯気の

向こうであなたが笑ったの。ねえ、ここは遠すぎるから隣に行ってもいい?

 

15. 信仰(67字)・・・任せなさい、と神様が言いました。

シャラリと揺れる簪に吉祥文様の晴れ着の少女は艶やかに笑った。

「今年もいい年になりますように。神様お願いね。」と賽銭代わりのキスの後で。

 

26. 死(64字)・・・いつまでも待っているよ。

朝の光に輝く頬に、眠りについた時のままの微笑み。

「また会える?」

「ああ、必ず。」

甦り来るその日までこうしてそなたを抱いていよう。

 

08.癖(62字)・・・そうして帳簿係は今日も遅刻をするのです。

手が離れる直前、あなたの指を強く握り締めてしまうのは私の癖。

手が離れた瞬間、手首ごと引き寄せて抱きしめてくるのはあなたの癖。

 

12.夢(61字)・・・夢が現実になるのはいつだろう。

頬を掠める風の音に、今振り向けばきっとあなたがそこにいる。

私に向かって手を差し伸べながら「迎えに来たよ」と微笑んでいるの。

 

03. 卒業(65字)・・・次の日に取りに来るのってちょっと間抜けだ。

ざわつく昇降口に、恩師の声が響き渡る。

「上履き忘れるなよ。毎年必ず数人いるんだ。」

名残りの涙と笑いが去って、後に静寂だけが残される。

OR(65字)・・・彼女の行方は誰も知らない。

「またすぐに会おうね。」

名残りを惜しむ友人に笑顔だけを返すと、振り返らずに歩いていく。

校門の外で待っているあなたの手をとるために。

 

38. 別れ(65字)・・・甘く儚い逢瀬。

手を伸ばし瞳に浮かぶ涙をすくうと唇に運ぶ。

行かないでと縋る涙の甘さに微笑んでこつんと額を合わせた。

「また今宵、そなたの夢の中で。」

 

04. 旅(61字)・・・お迎えはないけれど。

辛いことがあった週末、目の前に来た電車に飛び乗って

6番目の駅で降りるのは、いつの間にか習慣になった

強くなるための儀式です。

 

14. 手紙(65字)・・・直接あなたの口から聞きたいの。

郵便受けに入っていた消印の無い手紙に

古風に筆で書いてあったのはたった一言。

達筆すぎて読めなかったって絶対文句を言ってやるんだから。

 

30. イベント(66字)・・・分かっているってば。だからシャンパンタワーもしてもいい?

一生に一度の事だから、と笑ったそなたの『一生』はこれが最後だよ、と

まず言うべきだとは思うけど。言ったらさらにすごい事になりそうだな。

 

22. 噂(61字)・・・ヘタレハクと言ってやれ。

風や木や虫や鳥や水や石や花や。

ありとあらゆる伝をたどって聞き集めるあの子の噂。

ただそれだけを糧にして今日一日を生きていく。

*伝(つて)、糧(かて)と読みます。

 

09. おとな(61字)・・・それさえできないやつもいるけどさ

自分の食い扶持を自分で稼ぐのが大人ってもんさと偉そうに言ったけど、

考えてみりゃお前も働いているんだよな、その小っこい手で。

 

19. 化粧(65字)・・・お前はずっとそのままでいろよ。

小指の先に紅をつけそっと唇にのせていく、そんな仕草に見とれていると、

お前にはまだ早いぜ、と頭をくしゃくしゃにかき混ぜられちゃった。

 

39. 欲(65字)・・・後悔は先に立たないから後悔というのだ。

そなたを我が物にできるなら他は何もいらないと思ったのはつい昨夜。

涙にくれた寝姿に、次はその心が欲しいと願うのは欲張りと言うべきか。

 

34. 今昔(いまむかし)(65字)・・・だから抱きしめてキスをして。

「いらない。」

差し出されたおにぎりを脇に寄せると、

困り顔のあなたの胸に抱きついて顔を埋める。

だってこっちの方が元気がでるんだもの。

 

31. やわらかさ(65字)・・・潰してしまわないか心配で寝不足になる帳簿係りだったり。

眠そうな頬に触れるとあふっと欠伸して擦り寄ってくる小さな体。

髪も頬も体も、その心さえも。

どうしてそなたはこんなに柔らかいのだろう。

 

05. 学ぶ(65字)・・・礼を言えって教えれば素直に言うやつだったしな。

世間知らずで礼儀知らずのドンくさいガキ。

これがお前の第一印象。

そんなに膨れるなって。

第一印象って当てにならないって話なんだからさ。

 

20. 怒り(64字)・・・ハク様、その笑顔怖いっす。

今日そなたの横を歩いていた男は誰?

怯えなくてもよいよ。

怒っているわけではないのだから。

そなたに、怒っているわけではないのだから。

 

16. 遊び(64字)・・・あんただってこっそり見てるじゃんか。

位置について。

用意!

ドン!

トタタタタタタ・・・

 

いいじゃん、固いこと言うなって。

見ろよ。

あんなに早く雑巾掛けできるようになったんだぜ。

*・・・は1字に扱います。

 

01. 告白(65字)・・・「・・・間違いだらけじゃ。(ぼそり)

「好き」と告白してきたので

では、今宵契りを交わそうと返したら

「ばかっ大嫌い」と言われました。

お爺さん、私はどこか間違っていますか?

 

17. 初体験 (65字)・・・初めてのお泊りの朝、どちらかは夢の中のお話。

焼きあがったトーストを皿に乗せ、

ようやく整えた食卓を見渡して頷くと

そのまましのび足で2階に向かった。

あなたをキスで起こすために。

or

出来上がったおにぎりを皿に乗せ、

ようやく整えた食卓を見渡して頷くと

そのまましのび足で2階に向かった。

そなたをキスで起こすために。

 

13. 女と女(64字)・・・独り身には惚気にしか聞こえないぜ。

冴えない顔に悩み事かと水を向けてやったら結局はそれかよ。

ったく、やってられっか。

『平凡』な女にやつの恋人なんぞ勤まるかっつうの。

 

02. 嘘(62字)・・・だから、そなたはそなたの人生を。などと言ってやるものか。

そう、そなたは何も約束などしなかった。

弟子を辞めると、元の世界に戻ると、きっと会えると、

その総ては私からの約束だったのだから。

 

23. 彼と彼女(65字)・・・カーン(←バトル開始の合図だったり)

やつの趣味はオレの大事な妹分を赤面させることじゃないかと最近よく思う。

オレの趣味はそんなやつの悪趣味を阻止してやることだ。ふふん。

 

35. 渇き(65字)・・・ブチッ(切れた音)

まだ耐えられる。

無邪気に振り仰ぐ首筋の細さにも。

腹かけ姿の背中の白さにも。

すれ違う時にふと香るそなたの匂いにも。

そう、今はまだ・・・。

*・・・(・3つ)は1字として数えます。

 

18. 仕事(62字)・・・リンさん、わたしも頑張っているよ。

辛いなあ、言いかけた一言を飲み込むと、

「子豚になりたくなければ泣き言厳禁。」

隣の同僚に聞こえないようにそっとお呪いを呟いた。

 

27. 芝居(64字)・・・そんな顔させる前に早く謝ってやれよ。

いいもん、もう会いに来ない。

・・・

き、嫌いになっちゃうから。

・・・

他に好きな人作るんだから。

・・・

もう、もう、泣いちゃうんだから。

・・・ごめん。

*・・・(・3つで1字に数えます。)

 

11. 本(63字)・・・重ねる時間の優しさに。

何気に捲ったページに挟まれていた四葉のクローバーに

あの日の香りが甦る。

そっと摘んで差し出すと、そなたもはにかむように微笑んだ。

 

25. 生(65字)・・・思い出せぬ我が名にかけて誓おう。

命を救った者は救われた者の生を一生背負うのだ。

朱塗りの橋での出会いに古い伝承の真実を思い知る。

今度も助けてみせる。

命に代えても・・・

 

24. 悲しみ(62字)・・・会いたいよ。

きっと、という言葉のあやふやさに気がついたのはいつのことだろう。

時を経て朽ち果てたトンネルの前に佇み、少女は一人涙を零した。

 

37. 季節(64字)・・・一番好きなのはそなたと出会った季節だと、そっと額にキス。

雪解け水の清冽さに、光輝く速水の滴。

重なる錦の漣と凍てつく鋭利な氷の岸辺。

昔話をせがんだ少女が寝入るまで少年は静かに話し続けた。

 

07. ペット(62字)・・・ここにいれば寂しいのもそのうち無くなるさね。

受け取らなければ、何もできやしない。

招かれなければ動くことさえできないのだ、と。

魔女は愛しげに黒い男の白い仮面の頬を撫でた。

 

06. 電車(64字)・・・行きたいけれど、行かないの。

深夜、ふと耳を澄まして問題集から顔をあげるとため息をついた。

森の奥から聞こえる汽笛が今日も私を呼んでいる。

また、乗りにおいでと。

 

28. 体(65字)・・・じゃあ、その日の気分で日替わりで。

目の前の見知らぬ男性を少女は呆然と見つめた。

「どれがいい?」

少年はもとの姿に戻ると楽しげに言う。

「そなたの好みの姿を取るよ。」

と。

 

29. 感謝(64字)・・・いつものことだけど。

「ありがとう。」

廊下ですれ違いざまに囁いたら

「感謝は態度で示して欲しいな。」

と真面目な顔で囁き返されちゃった。

・・・今夜が怖いです。

 

36. 浪漫(65字)・・・薄ら寒いことを聞いたせいじゃないか?

「お前と一緒の時のやつってどんな感じよ。」

「ん〜。一言で言うとロマンチストかな。」

あれ?

なんでみんな急に静かになっちゃったんだろ?

 

32. 痛み(65字)・・・共に逝くよ。そなたがなんと言おうとも。

「許して。」

男は僅かに上げられた細い手をそっと褥に入れると静かに笑う。

「許さないよ。」

楽しげな呟きのあまりの痛さに女は涙を零した。

 

21. 神秘(65字)・・・女の子って理解不能だ。

内緒よと笑った顔に目を逸らす。

腹かけ姿で寝転んで寛ぐ様の屈託の無さはどうであろう。

少年はこの生き物の摩訶不思議さにため息をついた。

 

33. 好き(64字)・・・だから大人しく神隠しされなさい。

「何でとは?」

少年は戸惑う少女を抱き上げると歩き始める。

「そなたも、私が好きだろう?」

問いの形を取った断定に少女は頬を赤らめた。

 

 

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ここまで読んでくださってありがとうございました。

修行といいつつ、書きたいことを書きたいように書いていて

全く修行になってないじゃないかという気が無きにしも非ず。

情景描写だけで表現するのってやっぱり難しいです。

途中、コメントや感想をくださった皆さま、本当にありがとうございました。

突発的な挑戦でしたが一緒に楽しんでくださってすごく励みになりました。

またいつか再チャレンジしてみたいです。