第3部第2章盟約・おまけの小話

 

それからどうなったかというと・・・・

(拍手用小話11を改題の上加筆修正しました)

 

「はく、ごめんね。私平気だから宴に戻って。

竜王様と盟約を結んだばかりなのに宴席から

こんなに早く退出してしまうなんて申し訳ないわ。」

「そなたは、そんな心配をしないで。

ああ、それにしてもヤ・シャのやつ、そなたに

竜絶香を注(つ)ぐなど何を考えているのか。

すまない。もっとそなたのことを気をつけていれば。」

頬を赤くして苦しげな息遣いをしている千尋を

褥に横にならせると、心配げに屈みこんだ龍神は

その秀麗な眉をよせる。

「千尋、苦しい?」

「大丈夫よ。ヤシャさんも、悪気があって、

したことでは、ないから、怒らない、でね。」

「千尋ってば、お人よしが過ぎるよ。」

香りだけで竜さえも意識を失うという意味の強烈な

酒は千尋など舐めただけでもダウンしてしまう代物で。

苦しそうに途切れ途切れに答える千尋よりも

もっと苦しげな顔をしている琥珀主には

妻をこのままに、宴席へ戻るなど問題外の事なのだ。

龍神は翡翠の瞳を切なげに細めると

千尋のほてっている頬に手を添え、

そうして、そのままゆっくりと顔をよせる。

「苦しいだろうけど動かないで受け入れておくれ。

そなたの酒気を吸い取ってしまうから。」

そう言うと、わずかに震える桜唇に

そっとそっと触れていく・・・

そうして幾許の時が過ぎたのだろうか、

意識そのものまで吸い取られそうなほど

熱い想いのこもった唇に酒以上に酔わされていて。

「ふぁっ。」

「・・・気分はよくなった?」

「ん、もう、だいじょう、ぶ、だけど・・・」

「だけど?」

先ほどよりもさらに潤んでいる瞳には、

確信犯の笑みが映っている。

「・・・はくのせいで、もっとふわふわしてる・・・」

「ならば、それも直してあげよう、ね。」

くすり、と笑った龍神は、

そのまま千尋と寝室に篭ったのであった。

 

 

・・・・・・・・・・・・・

 

 

呆れた東の竜王のサーガ王妃が、

数日後に千尋を強引に連れ出しにきた

という噂の真偽のほどは、

関係者が口をつぐんでいるため

分からない、らしい。

 

 

ちゃんちゃん

 

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こんなんばっかですけど・・・

まあ、人様の戦場で必死に働いてきた後なので

御褒美御褒美。(な〜んちゃって)

閨から出てこなかったなんてことは

あくまで噂よ、う・わ・さ。

4武闘神が殿下の元に行くって宣言しちゃったことを

ちょっぴり後悔したらしいっていうことも

あくまで噂でっす。