波動光学の立場での屈折の様子

●プリズムで光が屈折する理由

 幾何光学では、理屈抜きに「屈折率の差のある面ではスネルの法則に沿って光が屈折する」としていますが、なぜ屈折するのか?という理由までは述べていません。

 波動論では、こうなります。


 光は、ガラスなどの媒質を通る時、速度が下がります。周波数は変わりませんので、波長が短くなります。この図は、その様子を示したものです。
 さて、上図のn=2.0の部分の長さを少しずつ変えると、プリズムを通る光波の様子を描くことができます。


 波面の法線(波面に直角な線=光線)は、みごとに曲がります。


2006/07/01
●凸レンズによる波面変換

 屈折率の大きい部分(伝播速度が遅い部分)を凸レンズ状にすると、このようになります。凸レンズ状の部分がちょっと見えにくいですが、じっくり見てください。


 平行平面波は、凸レンズ状の部分を通過することで球面波に変換される様子がわかるかと思います。


2006/07/01
●まとめ

 これらの「模式光」は、波の伝わる速さだけ影響を受け、屈折しないという前提で描いています。

 レンズやプリズムを貫通する関係で、通り抜けた場所の進行速度が元に戻っているのに「模式光」のピッチ(波長)が、狭くなっているなど、少々変な部分がありますが、波の進行速度を遅延する物質中を斜めに進行すると、波が屈折するという原理は、端的に表現できたと思います。


2006/07/01

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