操作の基本〜ピント合わせ

 ピントは、合焦ハンドル(ピント調整ハンドル)を回し、ドローチューブと呼ばれる銀色の筒を出し入れしてピントを合わせます。





 対象が近距離(数十〜数百メートル)の場合、間隔が広くなります。
 (かと言って、一番近い月(38万km)も、何万光年先の星雲も、ピントの位置は同じですが。)

 このような、「筒を出し入れしてピントを合わせる方式」を、摺動(しゅうどう:滑らせて動かすこと)式といいます。天文ガイドを読むときは、この言葉を知っておいた方がいいです。

 合焦ハンドルを回す方向も、特に決まりはありません。

 顕微鏡の場合は、資料と対物レンズを近づける方向にハンドルを回してしまうと、うっかり回しすぎてしまった場合、対物レンズをプレパラートに押し付ける格好になってしまい、資料を破損したり、対物レンズを割ってしまうことがあります。そこで、顕微鏡では「横から見て、なるべく資料と対物レンズを近づけておいてから引き上げてピントを合わせる」のがセオリーになっています。
 望遠鏡ではそういったことがありませんので、ハンドルを回す方向に決まりはありません。



2006/05/28
●ピント合わせの練習

 ピント合わせも昼間のうちから練習しておきましょう。
 一番倍率の低い(焦点距離の長い)接眼レンズを取り付けて、なるべく遠方(1km以上遠く)の風景を使います。

近すぎるとピントが合いません

 太陽をのぞくと大変危険なので、太陽は見ないように気をつけてください。
 あと、他人の家の窓ものぞいてもいけません。(笑)
 勘違いされるような方向も気をつけてください。


 とりあえず、ドローチューブを一番縮めておき、のぞきます。
 接眼レンズと目の位置は、視界がくっきり丸く見えるまで目を近づけます。
 (あまり近すぎても視界が狭くなる場合があります。)


 望遠鏡を上下か左右に少し振ってみて、何かうっすら影のようなものが動くのが見えたら、何か見えています。
 ※接眼レンズをのぞいても「真っ暗」な場合は、キャップが付いたままです。
 レンズキャップは外しておきましょう。

 ――ま、昼間の景色は笑って済ませられますが、夜の場合、周りが真っ暗なので、キャップを外すのに気がつかないことがあります。



 ピント調整ハンドルを回してドローチューブを伸ばしていきます。
 だんだんハッキリ見えてくれば、あと少しです。
 途中で、伸びきって動かなくなったら、延長チューブのつけ忘れです。
 延長チューブを取り付けて再チャレンジしてください。



 ピントが合いました。電柱です。
 像は逆さに見えます。

 どこが見えているのか、確認しておきましょう。


 今度は、別の接眼レンズに付け替えて、またピントを合わせてみましょう。


2006/05/29
●ピント合わせはなぜ必要か

 原則としてピント合わせの必要がないので、カメラレンズのように精密に位置決めして固定してしまってもいいような気がしますが、次の理由でピントを合わせる必要があります。

・接眼レンズによってピントの位置が違う
・使用するアクセサリの組み合わせによってピントの位置が違う
・見る人の視力によってピントの位置が違う

 逆に言えば、自分の眼にピントが合ったからと言って、ほかの人もピントが合うとは限りませんし、メガネがないとはっきり見えない人でも、メガネなしでピントを合わせることもできます。

 いろいろな人に見せてあげる場合は、その人に合わせたピント位置にしてあげる(視度調整といいます)といいかもしれません。

 強い乱視でないかぎり、望遠鏡をのぞくときは、メガネを外した方がいいでしょう。


2005/06/03

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