ファインダーとその調整

●ファインダーとは

 天体望遠鏡には、口径3cm〜5cm、倍率5〜7倍ほどの小さな望遠鏡が付いています。
 これをファインダーと言います。(Finder:見つけ出すもの)


6倍30mm



7倍50mm

 望遠鏡本体の倍率は、最低でも40〜50倍は出ます。

 そのぐらいの倍率だと、手をいっぱいに伸ばしたときの爪の幅ぐらいの範囲しか見えません。

 そんな倍率で目的の星を導入するのは不可能と言っていいでしょう。

 そこで、この小望遠鏡:ファインダーで、見たい対象を狙って、導入します。

 ファインダーの視野には十字線が入っていて、見たい対象を十字線の中央に合わせると、望遠鏡に見たい対象を入れることができます。

 月や惑星のように対象が明るい場合は口径3cmの小さなものでも十分ですが、星雲星団といった暗い対象の場合は、ファインダーですら見えませんので、なるべくなら口径が5cmのものに交換したいところです。


 ※おもちゃ望遠鏡の場合、ファインダーとしてただの筒に十字線を張ったものが付いていることがあります。
 個人的には、ファインダーの十字線と外の景色と同時にピントが合わないので、無意味だと思うのですが…。


2006/06/16
●ファインダーの調整

 ファインダーは、組み立てたばかりのときは、正確に合っていないので、昼間のうちに調整しておきます。

 1km以上離れた地上物を望遠鏡本体で導入し、望遠鏡を固定します。
 少々高めの倍率にしておくと、正確に合わせられます。


 ↑ちなみに、アンテナの付け根です。
 また、望遠鏡は、その構造上、逆さに見えます。

 ファインダーをのぞくと、望遠鏡本体が見ている方向と、十字線の交点の位置がズレているはずです。


調整前

 ファインダーに付いている調整ネジをまわして、ファインダーの向きを調整します。

 くどいようですが、(一般に)ファインダーの像も逆さです。
 ファインダーは、普通、120度間隔の3本のネジで止めてあるので、慣れないうちは思うように方向を定めることができません。
 おまけに望遠鏡の像は逆さなので、余計に混乱しやすいのですが、あせらずゆっくりやってください。

 (説明書には、ネジにA,B,Cと名前を付けて、Aのネジを回すと右に像が動くとか書いてあるのですが、私の頭では余計に混乱します。)

 面倒に思うかもしれませんが、3点止めのネジによる調整というのは慣れるしかありません


調整後

 調整が終わったら、ネジをしっかり止めておきます。
 ネジを締める時点でまたズレたりしますし、あまり強く締めすぎるとファインダーの筒が凹んだりしますので、その変のチカラ加減もほどほどに。
 
 ファインダーは、たまにズレるので、時々(年に数回程度)調整します。


2006/06/17
●正立ファインダー

 「目的の星を探す」のがファインダーの役目。
 ところが、ファインダーは一般に倒立像です。特に "南に行くとき、地図を逆さにしないと読めない人"(…って私か。)は、倍率が加わって逆さになった像は、すでにファインダーがどこが見えているのか、さっぱりイメージできません。(地上の景色はまだいいのですが、星空は全くダメです。)

 こんな人は、正立ファインダーの方がいいでしょう。

 少々値は張りますが正立プリズムを組み込んだ正立式のファインダーもあります。(それだけで1万円〜3万円ぐらいしますが…)

9倍50mm正立ファインダー。実勢価格16,800円。ずいぶん高価な感じはするが、3万円の双眼鏡の片方だけが売られていると考えれば、妥当な値段。


 あと、正立だからという訳ではありませんが、こちらは調整ネジの配置が、さきほどの7倍50mmファインダーと前後逆になっている点に注意してください。ネジを回してズレる方向が逆になる訳で、「どのネジをどう回したら、どちらにズレるか」というのは、慣れるしかないのです。


2006/06/17
●反射照準器

 最近は、ファインダーとして小望遠鏡ではなく、反射照準器(通称テルラドファインダー)というものが付いてくる場合もあります。
 照準と外の景色を同時に見られるようにした、倍率1倍=素通しのファインダーです。


ビクセンのスポットファインダー

 この形式のファインダーは素通しなので、望遠鏡がどこを向いているかの対応がとりやすく、導入精度も思った以上に高いので、個人的にはお勧めのファインダーです。

 スイッチを入れるとLEDが点灯しますので、後ろからのぞきます。
 ガラスの部分に照準(照星と呼ばれる赤い点だけの場合もあります)が無限投影されます。


 手前のファインダーはピンぼけなのに、赤い点は外の景色と一緒にピントがあっていることに注目してください。

 しかも、後ろから見る位置は正確に真後ろである必要はなく、赤い点が見えさえすれば少々ズレても同じ場所を示し続けます。

 照星は小さな方のアンテナ(UHF)の上の部分を示していますが、見る位置がズレても、照星は同じ位置を示しています。↓


 格好があまり良くないので、このファインダーが付いていると天体望遠鏡っぽく見えないのが難点ですが、使い勝手は抜群です。

 個人的な要望を言えば、直径1度とか、0.5度(太陽や月とほぼ同じ直径)の円が投影されると、望遠鏡の視野の大きさとの対応がとりやすくていいかな、と思います。


2006/06/16

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