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さて、日も暮れて星が見えてきました。 今度は実際に恒星を導入しての追い込み作業に入ります。 極軸の高度については、近所の北極星の見える場所で一度きっちり合わせてしまえば、(近所で観測する限り)ほとんど修正する必要はありません。 問題は方位合わせ。
方位磁石に頼ったところで、どこまで信頼できるかという問題もあります。 マンションのベランダに至っては建物が鉄筋入りなので、参考になるかも怪しいものです。 ここからは実際に恒星を追尾しながらの追い込みをします。 2005/12/27
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入門書を見れば書いてありますが、もう一度おさらいしましょう。 望遠鏡で南の空を見たときの、天球と視野内の東西南北の配置です。 望遠鏡は一般に倒立、天頂プリズムを通すと裏像になりますが、混乱するので今は正立像で見える:正立プリズムを通すか、双眼鏡で見ていることにしましょう。 正立像であれば、地上の東西南北のまま、視界に適用できます。 左手が東、右手が西なので、そのまま視界の左が東、右が西になります。 正面が地上での南なので、視界の下側が南になります。 残る上が北になるわけですが、実際の天球の北の方角は、天頂を通って北極星に行く方向になります。 2005/12/27
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いよいよ調整開始です。 方位調整は、南の空の恒星を使います。 なるべく、ガイド用接眼レンズまたはガイドアダプタを使い、十字線の中央に目立つ星を導入します。 2005/12/27
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次に、実際の視界の中の東西南北を確認します。 赤道儀のモータードライブを止めて、日周運動で動いていく方向を確認します。 日周運動で動いていく方向が西になります。 今、正立像で説明していますが、実際は倒立像なので、左の方に移動していくように見えるはずです。 西の方向が確認できたら、もう一度、恒星が視野中心に来るように調整し、モータードライブをONにして追尾を開始します。(モータードライブがない場合は、赤経ハンドルだけを使って追尾を試みてください。) しかし、今、この赤道儀は正しく設置されていませんので、恒星は正しく追尾されません。 2005/12/27
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例として、赤道儀の極軸がやや西側に(左回りに)ズレて設置された場合を考えましょう。 方位磁石の偏角補正をしていないと、ちょうどこんな設置になります。 下図の黒線の南北線が正しい南北、赤線の南北線が赤道儀自体の極軸の方位です。 赤道儀は極軸を中心に回転するので、赤で示すラインを追尾しようとします。 しかし、実際の恒星は天の南極を中心に回転するので、黒で示すライン上を動いていきます。 西側に(左回りに)ズレた赤道儀で南の星を追尾を続けると、(正立像の場合)視野の上の方(北側)に星がズレていくことになります。 これが「西側に(左回りに)ズレている」証拠です。 そこで、赤道儀の方位調整ネジで東向き(右回り)に少しだけずらします。 再び、視野中央に入るように調整して追尾し、ズレを観察し、追い込んでいきます。 調整途中に南側にズレてきたら行きすぎなので、戻します。 ※倒立像や裏像での見え方などについては説明しませんので、自分で考えてください。 2005/12/27
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基本的に極軸の高度は一度合わせてしまうと近所で使う限り調整不要です。 一度、北極星の見える場所で、極軸望遠鏡でキチンと合わせておきましょう。 しかし、 ・元々極軸望遠鏡が付いてない ・赤緯目盛りが付いていないため、水準器も使えない ・極軸望遠鏡の建て付けがわるくて信頼できない …といった場合、正確な調整はやはり恒星を追尾する方法で調整します。 なお、「赤緯目盛りが付いていない」ような場合、おおまかに合わせるのも難しいので、一度別の場所で高度軸と方位軸だけで北極星を導入して、高度をおおよそ合わせておきます。(北極星を導入できれば、±1度のレベルで合っています。) おおまかに合わせたら、恒星を追尾する方法で追い込みを行います。 高度調整を行う場合は、東の空で天の赤道近辺の恒星を使います。 極軸の仰角が大きすぎるような設置の場合、追尾すると見かけ上、恒星は北にズレていくことになります。 このような場合は、高度を少し下げます。 方位と同様、調整後に追尾して、ズレを追い込んでいきます。 ※西の空でも同様に高度調整ができますが、割愛します。自分で考えてください。 2005/12/27
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