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天体望遠鏡の接眼レンズそのものには倍率は書いてありません。 接眼レンズには、「Or.6mm」「H.M12.5mm」「PLOSSLE 40mm」という具合に、レンズの形式の種類(Orなど)と焦点距離(6mm)が書いてあります。 顕微鏡の接眼レンズも同じでしたね。接眼レンズそのものの倍率は書いてありますが、全体の倍率は書いてありません。 顕微鏡では 倍率=対物レンズの倍率×接眼レンズの倍率 で求めますが、天体望遠鏡も同様に、改めて倍率を計算しなければなりません。
どうしてそういう式になるかの導出方法は、(少し難しいですが)こちら。 2014/07/21
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たとえば、対物レンズの焦点距離が1000mmで、使用する接眼レンズが15mmであれば、 1000mm÷15mm=66.66… となり、小数点以下1桁で四捨五入して67倍となります。(接眼レンズの焦点距離の精度自体が10%程度あるそうなので、「66.7倍」とかいう細かい倍率の数字にしてもあまり意味はありません。) 倍率は、接眼レンズの焦点距離に反比例します。つまり、接眼レンズの焦点距離が短いほど倍率が高いということです。 うーんと倍率を出したければ、焦点距離がうーんと焦点距離の短いレンズを使えばいいということですね。 2006/06/18
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顕微鏡は、対物レンズを交換できるので、改めて計算しないといけないというのは理解できますが、天体望遠鏡は、対物レンズを交換できません。接眼レンズ自体に(全体で)「50倍」とか倍率を書いても良さそうなものです。 そうなっていない理由は、望遠鏡本体が違えば同じ接眼レンズを使っても倍率が変わってしまうからです。 ↑望遠鏡が違えば全長(≒対物レンズの焦点距離)が違う 逆に言えば、接眼レンズは、その望遠鏡の専用品ではなく、他の望遠鏡にも流用できます。 将来、別の望遠鏡を買ったときにも、付属している接眼レンズを使うことができますし、接眼レンズを買い足せば、別の倍率にすることもできます。
2006/02/16
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天体望遠鏡の接眼レンズの差し込む部分の直径の大きさは、一定の規格で作られています。 いくつか種類があるのですが、手前に並んでいる小さいのがツァイスサイズ(24.5mm径)、奥の左側の2本がアメリカンサイズ(31.7mm径)、右端の黒いのが36.4mmP1ネジ込み式、奥の中央にある巨大なのが2インチサイズ(50.8mm径)です。
2017/10/20
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倍率が上がるということは、小さな範囲をより大きく引き延ばすことになるので、光量が減っていきます。つまり、倍率が高いほど暗くなります。 むやみに倍率を上げても、暗くなるだけです。 また、ある程度以上は、倍率を上げても詳細に見分けられなくなります。これは、光が波の性質を持つからなのですが、その限界倍率は、おおむね口径をmmで表した倍率(口径60mmなら60倍、口径100mmなら100倍)あたりまでです。無理してもその2倍から2.5倍(口径60mmなら120〜150倍、口径100mmなら200〜250倍)が限度です。 望遠鏡を選ぶ時、何倍出せる望遠鏡なのかは関係ありません。なぜなら対物レンズ(対物鏡)の直径で最高倍率が決まってしまうのです。 また、日本は島国ということもあり、気流の状態が年間通してあまり良くありません。250倍、300倍といった高い倍率に耐えられる気流状態になるのは年に数回しかなく、あまり高い倍率にこだわってもしかたありません。 2006/02/17
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