望遠鏡のカタログの読み方〜倍率、ひとみ径、明るさ

●倍率

 実際のものの見かけの角度の大きさと、望遠鏡を通してみた時の見かけの角度の比率のことで、

 倍率=対物レンズの焦点距離÷接眼レンズの焦点距離

で求めます。
 天体望遠鏡セットには、たいてい2〜3本の接眼レンズが付いていて、いくつかの倍率を選ぶことができます。


 倍率が高いほど良く見える訳ではありません。見たい対象によって、最も見やすい倍率を選びます。

 低倍率(50倍前後)…天体の導入、散光星雲・散開星団、視直径の大きなもの
 中倍率(100倍前後)…月、球状星団、銀河、惑星状星雲
 高倍率(150倍以上)…惑星の詳細、球状星団の分離、離角の狭い二重星


2006/07/13
●ひとみ径

 接眼レンズを遠くから見た時の、明るく見える部分の直径。射出瞳とも言います。ひとみ径が大きいほど像は明るくなります。

 ひとみ径=口径÷倍率

 同じ口径であれば、倍率が低いほどひとみ径が大きくなります。


 人間の瞳孔は、最大で7mmまで開きますので、ひとみ径が7mmを超えると有効径が瞳孔径で制約を受けてしまって損です。
 ひとみ径が7mmになってしまう倍率を有効最低倍率と呼びます。
 また、有効最高倍率の時のひとみ径は1mmになります。

 それより高い倍率になると、0.7mm、0.5mmといった、シャープペンシルの芯のような細い光束になるため、眼球に付いたホコリや糸くずのようなものまで投影されてしまい、あまり快適には見えません。

 なお、乱視の場合は、ひとみ径が小さい方が、角膜のデコボコの影響を受けにくくなるため、メガネなしでもシャープに見えることがあります。


2006/07/13
●明るさ

 「ひとみ径」を二乗したもの(射出瞳を面積で表して、射出光量を表したもの)が明るさです。
 明るさが大きいほど明るく見えるのですが、空が明るいと背景も明るくなってしまいます。


2006/07/13
●見かけ視界

 接眼レンズをのぞいた時の丸い円の大きさです。
 この円の直径を角度で表します。


 一般的な接眼レンズは、およそ40〜50度になっています。
 必要最低限のレンズ構成で、充分な像質を得ることができれば、価格も抑えられるため、そういった要求から構成レンズ枚数が4枚程度となり、その構成で得られる視界の広さが40〜50度ほどになります。
 
 ホームセンターなどで売られている安い望遠鏡では、レンズ構成枚数が2枚程度と少なく、35〜40度程度と非常に狭くなっています。

 なお、小学校高学年の肉眼の視野は、およそ50〜60度(低学年では40度前後、5〜6歳では30度ほど)なので、『丸い視界の中に何が見えたか』という題目には充分な広さだったりします。

 中学校を過ぎると、急激に視界が広くなり、170度程度の範囲が見えます。
 こうなると、40〜50度という視界には不満が出てきて、最近では82度、84度という非常に広い視界の接眼レンズも売られています。(もちろん、高価です。)


2006/07/13

[戻る]