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マクストフカセグレン(副鏡メッキ面が前方から見えるタイプ)限定の【超簡単】光軸修正法の紹介です。 2016/06/11
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・LEDライト(発光部が見える、一燈式のレンズが透明なもの) ・カード1枚(名刺、はがきなど。適当に。) ・定規 ・直径数mmの木の棒 ・エレベーター付きカメラ三脚 今回使ったLEDライトは、モバイルバッテリーのおまけ機能として付いていたものを利用しています。 1チップで広く照らすもの。 懐中電灯タイプのように、複数あつまったものや反射材板があるものなどは適しません。 光の色も関係ありません。反射式望遠鏡は定期的に調整する必要がありますので赤色の高輝度タイプと電池ボックスとLEDと抵抗を買ってきて自作してもいいかもしれません。 2016/06/20
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マクストフカセグレンの正面からLEDライトで照らします。 2016/06/11
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その光が、主鏡と副鏡の裏それぞれで反射して戻ってきます。 光源の横にカードを置いて、光源の光が光源にまた戻ってくる位置を探ります。 その収束点が、主鏡・副鏡それぞれの球心位置になります。 (この距離の差が大きいほど光軸のずれには鈍感になります。) 2016/06/22
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長さは手順2で求めた長さの2倍程度で、直径数mmの木の棒を3本買ってきます。直径4-5mmぐらいのアルミの棒でもいいですが、下手するとレンズを傷つける危険があるので、木の棒を推奨しておきます。 3本の棒は、それぞれの長さを正確に同じにしておいてください。 私が今回使ったのは、100円ショップで売っていた長さ50cmの「竹ひご」です。 既存品の方が正確な長さになっているので便利です。 2016/06/22
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メニスカスレンズのセル枠に木の棒を当てて、正確な光学中心位置を割り出します。 例題の写真では(撮影の都合)2本の竹ひごを使っていますが、実際は3本使って三脚のように当てて、立体的に中心位置を探ります。 ここの位置決め精度が重要になるので、できるだけ正確に位置を決めてください。 エレベーター付きカメラ三脚の上に点灯させたLEDライトを乗せ、木の棒の頂点に正確に光源が来るようにLEDライトの位置を調整します。 2016/05/27
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木の棒を取り払い、副鏡の球心あたりにカードを入れます。 焦点内外像を使ったり、ロンキースクリーンを使ってがんばって光軸を追い込んだつもりでしたが、ずれてました。 カードで一部の光が遮断だれるので、パックマン状の像が見えます。 パックマン型(3/4半円)の方が副鏡で、C型の方が主鏡からの像ですが、どちらがどうということはありません。 カセグレン系のカタディオプトリック光学系の多くは、ユーザーによる光軸調整を推奨していません。調整に自信が無い場合は、この手法でチェックして、明らかに光軸がずれているようであれば、メーカーに送って調整してもらってください。 2016/06/22
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光軸調整は、主鏡と副鏡が作る像が、きれいに同心円となるよう、主鏡の光軸調整ねじを回すだけです。 調整ねじを回すと、どちらに像が動いていくかがわかるので、どの程度ねじを回せばよいか、簡単にわかります。 これで完了です。 次回からは道具がそろっているので手順4,5,6だけでOKです。 2016/05/27
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原理というほどたいしたものではないですが。 シュミットカセグレンやマクストフカセグレンは主鏡も副鏡も球面なので、それぞれの球心位置を通る直線が光軸になります。このため、主鏡または副鏡のいずれか一方だけの調整で光軸を修正することができます。 シュミットカセグレンでは副鏡側に光軸調整ネジが備わっているため主鏡側には光軸調整ネジはありません。マクストフカセグレン(グレゴリー式)では、メニスカスレンズと副鏡が一体となっていて光軸調整機構を持っていない代わりに主鏡側に光軸調整ネジがあります。 いずれか一方の調整で光軸が合うのですが、どうやって合わせるかが問題になります。 マクストフカセグレンに限り、副鏡が裏面反射するので、これを利用します。 マクストフカセグレンのメニスカスレンズセル(兼・副鏡)には光軸調整機構は無いので、これを基準にします。 ここに木の棒を立てて正確な二等辺三角形の櫓(やぐら)を作り、光源を置きます。 副鏡から反射する光が作る光の円錐は、副鏡の球心に対称な形を通るはずです。 副鏡に当たり損ねた光は主鏡で反射してくるため、主鏡を底辺とする光の円錐を形成します。 この副鏡が作る光の円錐と、主鏡が作る光の円錐が同心円に重なるよう、主鏡側の傾きを調整します。 この調整は、あくまでも主鏡と副鏡の平行を出すだけで光軸が接眼部の中心を貫いているかどうかの保証はできませんが、星像テストに頼ることなくプラスマイナス1mmオーダーで容易に光軸を合わせられます。 星像の回折像による調整なら、もしかしたらもう少し厳密な調整ができるのかもしれません。その場合であっても、調整ネジをどの程度を回すと、どの程度鏡が動くかの感覚は事前にわかるので、ネジを回しすぎて余計におかしくすることは起きません。 2016/06/12
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マクストフカセグレンは、副鏡がメニスカスレンズの一部をメッキして作られているので、副鏡は狂いようがない分、光軸が狂いにくいという勘違いを起こしやすいです。 しかし、球面主鏡と球面副鏡を使っているという点でマクストフカセグレンもシュミットカセグレンも同じですし、それぞれの球心位置が近接しているため、わずかな狂いで光軸が大きく傾いてしまうという弱点もまた共通に持ち合わせています。 ニュートン式でさえ定期的な調整が必要なのですが、カセグレン系の光軸は、実はニュートン式よりずっとシビアなのです。 困ったことに、シュミットカセグレンやマクストフカセグレンは、主鏡と副鏡と補正レンズによる合成光学系なので、光軸が狂うと波面誤差そのものが大きくなって像のシャープさを失うという特性(宿命)を持つ光学系でもあります。 カセグレン系のカタディオプトリック望遠鏡の多くで評判が芳しくないのも、光軸が正確に合わせられていないことが原因となっていることが多いようです。 その点、ニュートン式は主鏡の形状だけで像のシャープさが決定するので(もちろん、斜鏡も相応の精度は必要ですが)、光軸が多少ずれてもそれほど深刻な像悪化は起こしません。 シュミットカセグレンの像が甘い原因が光軸の狂いにあることは、近年認知が進んでいますが、実のところ、マクストフカセグレンも大差ありません。 シュミットカセグレンでは小口径な副鏡で光軸調整を行うため調整ネジをたった1回転するだけで副鏡がかなり傾きます。一般には1/8回転程度の調整で済むといわれます。 一方、主鏡側で合わせるマクストフカセグレンでは、調整ネジの間隔が大きいため、1回転でもそれほど大きく傾きません。差と言えばせいぜいその程度です。 構造的な工夫で狂いにくくしてあるという事と、光学系の原理的に光軸のずれに敏感かどうかは別の話として切り分けて考える必要があります。 2016/06/12
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主鏡移動方式は主鏡セル後方からピント調整ネジで押したり戻したりして主鏡位置を調整するため、ピント調整中にも多かれ少なかれ光軸がずれます。 私の持っているマクストフカセグレンがポンコツだからか知りませんが、実際、ピントノブを回すと光軸がずれていく様子が確認できます。 この方法ではピント調整中の光軸移動の様子をほぼリアルタイムに掌握できるので、ピント調整ネジをどのように操作するとベストな状態に持っていけるかの把握もできるようになります。(少し戻した方がよいなど) または、ピント合わせの機構の精度上、これ以上光軸を追い込んでも無駄という目安もわかります。 2016/06/20
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