23km/Lへの道

〜ホンダフィットのエコ走行テクニックを探る〜



目指せ23km/L @4WD & 16インチホイール

※23.0km/Lは、14インチスチールホイール・FF仕様車での10・15モード燃費です。




 京都議定書によれば、2008〜2012年のCO2(二酸化炭素)の排出削減目標が1990年比-6%とすることを義務化しています。ところが、2000年度の調査によれば、景気が悪くなっているにも関わらず、10.5%も排出量が増加しているのだそうです。したがって、今後10年で実質的に-14%の削減をしなければならなくなったそうです。
 (2002/9/24 日経新聞より)



 なんて言ってますけど、燃費計で遊んでるだけなんですけどね。



はじめに:
 Introduction
 レギュレーション

加速燃費と加速のコツ
 加速燃費 (☆☆☆)←燃費影響度

巡航燃費と巡航のコツ
 Dポジションでの巡航モードへの入り方 (☆☆☆)
 巡航モード燃費(標準タイヤ編)
 惰性走行燃費
 高速走行(100km/h)燃費
 雨の日の燃費
 速度別巡航燃費
 登坂燃費 (☆☆)
 登坂燃費(その2) (調査予定)
 積極的な再学習による燃費向上 (☆☆)


制動燃費と制動のコツ
 減速燃費 (その1)第二版
 減速燃費 (その2)
 燃料カットを積極的に利用する走行 (☆☆)

暖機燃費
 暖機運転燃費 (−)

アイドリング燃費
 アイドリング燃費(1)第2版 (☆☆☆)
 アイドリング燃費(2)第2版 (☆)
 アイドリング燃費(3) (☆?)

調整・メンテナンス
 インチアップによる燃費低下の度合い (☆☆)
 インチアップによる燃費低下の度合い(その2) (☆)
 ホイール重量と燃費
 タイヤの空気圧による変化 (☆☆☆)
 エアコンの負荷 (☆☆☆)
 満タン(荷物の積載)による燃費悪化 (☆☆)

その他コラム
 超短距離燃費 (☆☆☆)
 走行距離による推移
 ガス欠法による生涯燃費チェック (☆) (提案)
 エアロパーツは燃費に影響するか? (?)
 スリップストリーム走法
 直線距離で測る燃費
 フィットの統計上の燃費が良くない理由
 『大流量電動EGR』って何?
 

燃費影響度の凡例
     
(☆☆☆)影響/効果絶大! ぜひ心がけるべし!±3km/L以上
(☆☆)影響/効果はあるが、噂されているほどの影響はない±1km/L
(☆)影響/効果は、わずか。ちりも積もれば?±0.5km/L
(−)効果は認められず。気休め。0〜0.3km/L?

■Introduction

 フィットの10・15モード燃費は23km/Lで、そうカタログに記載されています。『世界最高水準の低燃費を実現した』とは言え、まさか、どんな走り方をしても23km/Lで走ると思っている人は、いませんよね。

 では、具体的な実用燃費は、どのぐらいなのでしょう?


 実は、この答えは意味がありません。
 なぜなら、一人一人走行条件が違うので、必ず違う結果になるからです。平均すれば目安としての数字になるでしょうが、それが自分で走ったときの数字と一致する可能性は、ほとんどゼロです。

 客観的に比較できるような、厳正な条件設定をして、厳密に燃費測定をしても、意味がありません。その例が10・15モード燃費です。この燃費は普段使っている道路での実使用燃費ではないため、信頼できる値になりません。(ただし、「10・15モード燃費という数字を出せるだけの素養がある」とみなすことはできます。)

 一応の目安が、10・15モード燃費に、0.7〜0.8(達成率と呼ばれる比率)をかける方式がありますが、達成率は個人ごとに違えば、車種によっても違ってきます。やっぱり参考になりません。


 そもそも誰も実用燃費なんて知りたがっていません。そうですよね?

 本当に知りたいのは、
 「自分が使ってみて、どの程度の燃費になるか?」
という期待値のはずです。その期待値よりも現実が超えられれば満足する訳です。

 残念ながら、その期待値を推定できるだけの充分なデータがメーカーから提示されていないのが現状です。(かと言って、あまりに細かいデータを提示されても困るんでしょうが…)

 そこで、フィットに燃費計が付いていることを利用し、いろいろな実験を通して、「自分の走りに対する期待値を出せるだけのデータをそろえよう」というのが、このコンテンツの目的のひとつです。
 そのデータが揃うことで、ある人の燃費が12km/Lだったとき、道路事情や、走行距離の短さから来る「仕方のない結果」であるか、アクセルを踏みすぎたり、アイドリングで放っておくなどの「無駄が多く改善の余地がある」かを区別できます。



 もうひとつの目的が、「普通の運転」でのアクセルワークの見直しです。  ドライバーによって、自分が思っている「普通の運転」のアクセルワークは全然違います。フィットは燃費の良い車ですが、アクセルワークを間違えると、従来の車よりも燃費が落ちます。「普通の運転」のアクセルワークを見直さなければ、燃費を改善できません。

 いざというとき、燃費の良い運転ができてこそ、フィットが使いこなせると言えるでしょう。どうすれば燃費が良くなるかを調べもしないで、「燃費が良くない」と言うのは、本末転倒です。

 実際の燃費がどうなるのか、いろいろなパターンの実測データを元に、燃費について考察してみたいと思います。





 【注意】
 私が所有するフィットに搭載されている燃費計で測定した燃費をもとにしています。実際に消費された燃料を元にしておりませんので、あくまでも参考値とさせていただきます。
 当日の交通状況・気温・天候・エンジンの調子等に左右されるため、完全に同一の条件を再現テストができません。類似した状況で追跡テストを行っても、掲載された値とは大きく異なる値が記録される可能性があります。
 また、他のフィットで類似した実験を行った場合、個体差および測定方法の違いにより、異なる値が記録される可能性があります。
 測定は4WD車で行っておりますので、FF車の場合、掲載される燃費よりも良い値が得られることが期待できます。ただし、必ずしも掲載値よりも良い値が出るとは限りません。
 i-DSI(1300cc)版4WD仕様車と、VTEC(1500cc)版FF仕様車は、どちらも10・15モード燃費が20.0km/Lであり、燃費改善効果等は、数字の上では同等の結果を期待できます。ただし、エンジンの機構が異なるため、期待値とはおおきく異なる可能性があります。



■レギュレーション


 いろいろ条件を変えて測定するので、必ず同一のコースを選定する必要があります。
 そこで、公式燃費の測定は、次の規定に基づいて測定するものとしています。自分の車の燃費性能の検証の参考にしてはいかがでしょうか?

(1)短距離走行では芳しい成績にならないため、フィットの省燃費実力を確認する意味で、おおむね50km以上の比較的長距離を走る。

(2)10・15モード燃費は台車測定のため、客観性に富むが、実地走行燃費とは全く一致しない。比較的客観的に納得できる一般道路を用いて、実地走行で検証する。

(3)フィットに搭載される燃費計は、ほとんど誤差を生まないらしいので、その数字を信頼する。

(4)測定時点で考えられるエコアクセルワークを使用し、なるべく高成績になるように目指す

(5)出発時点でリセットを行い、到着時点での燃費を記録とする。参考値として、途中で記録された最高燃費を併記する場合がある。ただし、走行開始から5km以内の区間で出た燃費に好成績なものがあったとしても、それを記録として採用しない。

(6)原則として、エンジンが冷えた状態からスタートする。暖機運転の有無は問わないが、暖機運転中に消費された燃料も燃費の記録として含める。暖機運転を行って走行した場合は、燃料90ccのペナルティを課す。

(7)交通法規を尊守し、交通の流れを乱さないことを第一とする。燃費で好成績が残せるからといって、信号無視や、一時停止無視、交通を妨害するような超低速走行などは避ける。

(8)省燃費性を確認することだけを目的として走行してはならない。

(9)異なるコースを選択した場合は、その記録と比較してはならない。

(10)使用する車体は、メーカー出荷時の無改造車両で、調整も規定値内のものを使用することを原則とし、変更を加えた場合は、その内容を明記すること。



急加速をともなう運転では燃費が落ちるのは当たり前。「普通に運転して」というのも、ある意味客観性に欠けます。「どれだけ燃費良く走れるか」を知りたいのですから、エコ走行して当たり前。ということで、燃費測定時は、普段とはアクセルワークが違い、燃費上昇に努めることとします。
 「燃費を気にしないで気持ちよく走る」場合に比べて、4km/L近く成績が良くなることがあります。ご了承ください。


(細則)
・岩手県水沢市某所自宅前から、同県盛岡市某所の友人宅前までの約68kmを走行し、途中、北上市で数分程度の休憩を挟む。
・レギュレーション内では、最高速度に対して制限を設けない。(ただし、フィットは60km/hを越えている場合、速度が上がるほど燃費が低下するので、そこを充分考慮すること。)


・搭乗人員はドライバーの1名のみ。
・なるべく余計な物は積まない
・エアコンはOFFにする。
・晴天の昼間に測定する。




■図解! Dポジションでの巡航モードへの入り方 (update 11/26)

 ホンダのHPに行けば書いてありますが、フィットのDポジションには3種類の走行モード(巡航モード、街乗りモード、峠攻めモード)が用意されていて、走行状況(アクセルワーク、エンジンへのトルクのかかりかた等)に応じて自動的にモード切替が行われるそうです。

 巡航モードに入るには、希望する速度に達したら、しばらくその速度を維持(10秒程度)してから、アクセルを戻すようにします。完全に戻すのではなく、少し残すのがコツ。すっかり離してから、触る程度に踏み込んでもいいです。そうすると、回転数が2000〜2500rpm→1500rpmと下がります。(アクセルを離したとたんにエンジンブレーキがかかる場合は、巡航モードに入っていません。)
 「回転数を1500rpmに維持するようにアクセルを踏む」というよりは「スピードが落ちない程度までアクセルを抜く」のがコツです。



 あとは、アクセルを一定に保てば、一定の速度で走ってくれます。

■燃料カットを積極的に利用する走行 2002/11/24(update 11/24)

 まず、フィット特有(?)の「減速時に、前に押し出される感覚がする」という現象の原理からです。(この感覚は、ほとんど気分的なものです。)



(1)フィットのエンジンは、金属ベルトによる変速機(CVT)と、電子制御のクラッチが付いています。走行中は、ガソリンがエンジンに供給され、エンジンから出た動力が100%タイヤに伝達されています。

(2)アクセルから足が離れると、ガソリンの供給を停止します。したがって、エンジンはパワーを発生することができなくなり、エンジンそのものが持つ抵抗によって回転を止めようとする抵抗が起きます。これを利用して車の速度を落とすことをエンジンブレーキといいます。
 エンジンには燃料が供給されていませんが、タイヤの回転がエンジンに伝達されるため、エンジンは回転し続けます。タイヤとエンジンをクラッチがつないでいるからです。

(3)このままタイヤの回転が止まってしまうとエンジンまで止まってしまうので、ある回転数(フィットでは1,000rpm前後)より落ちた時点でエンジンを再始動します。この再始動は、セルモーターを使わずにタイヤから伝達される回転を利用します。

(4)再始動しました。
 この瞬間、エンジンに燃料が供給され、パワーが発生します。しかも、再始動のためにクラッチが接続されているため、再始動直後に発生するパワーがタイヤに伝達されてしまいます。このために「前に押し出される」のです。(くどいようですが、気分的という程度のものです。)

(5)再始動が完了すると、クラッチが外れ、エンジンのパワーはタイヤに伝達されなくなります。停止直後は、エンジンパワーはタイヤにほとんど伝達されていません。クリープも全くといっていいほど出ていません。
 発進時にアクセルを踏まずにブレーキだけ離すと、クリープが発生するまで若干の(1秒程度)のタイムラグが出ることから、停止直後のクリープがほぼゼロというのがわかります。上り坂で止まると、再発進時に少し下がることがあるのも、このためです。

 このように、減速時は「アクセルOFFによる燃料カット」が行われ、燃料の無駄が出ないように制御されています。「減速時のフィーリングが不自然なのは、CVTのせい」ではなく、「燃料カットをしているため」なのです。燃費が悪くなって良いのであれば、減速時の「押し出し現象」を皆無にできるのでしょうが、こういう技あっての23km/Lです。動作原理がわかれば、不自然でも何でもないと思います。

 最初からフットブレーキで減速するより、エンジンブレーキを多用した方が燃費upになるのは、フットブレーキを使って短距離で止めてしまうと、減速の距離が短くなり、燃料カットができる距離が縮んでしまうからです。

 せっかく燃料カットによって燃費の改善に貢献できるような仕組みがあるのですから、この仕組みを積極的に利用して、燃費をさらに改善させることができます。
 アクセルワークによって、エンジンブレーキの強さを弱くして、なるべく長い距離を燃料なしで惰性走行するのです。




■暖機運転燃費

【思い込み】
 暖機運転も一種のアイドリングです。進みもしないでエンジンを空回しする訳ですから。この「進みもしないのに消費される燃料」が、エネルギーの無駄であることに違いありません。現在のエンジンは品質が上がっているため、暖機運転をしないで走り出すような使い方をしても、きっちり寿命を全うできるそうです。だったら暖機運転なんかやらずにさっさと走った方が、燃料が「進むこと」に使われる分、燃費に貢献できるはずです。



【実験】
 おそらく気温による変動が大きいはずなので、ある一定の値が出ないはずですが、桜の咲く頃の季節がエアコンなどの負荷がかからなくて純粋な値が出ると思います。暖機運転または暖機走行を行い、coldサインが消えるまでの燃費変動を調べます。


【結果】

 停車したまま暖機運転をした場合は、おおむね5〜6分で完了します。

2002/4/6
 気温は12度ぐらいだと思いますが、1分ほど暖機をやってスタートして、coldインジケーターが消灯するまで700m。暖機運転込みで冷間燃費は6.6km/L(消費燃料106cc)。その後9.9kmほど街乗り走行をしましたが、暖機後の燃費はだいたい12.2〜12.7km/Lで一定。エアコンは暖房で最弱。

2002/4/7
 気温10度ぐらいでした。暖機完了までに消費した燃料は99cc。走行0m。エアコンは暖房で最弱。

2002/4/8
 気温は15度近く行っていたかもしれません。暖機運転ほどほどでスタートして、coldインジケーターが消灯するまで700m。その間の燃費は7.7km/L(消費燃料91cc)。エアコンOFF。

2002/4/10
 気温は12度ぐらいでしょうか。暖機運転ほどほどでスタートして、coldインジケーターが消灯するまで800m。その間の燃費は7.0km/L(消費燃料114cc)。エアコンOFF。そこから5.7kmは323cc使って、燃費は17.6km/L。

2002/4/14
 気温15度ぐらいでした。暖機完了までに消費した燃料は84cc。走行0m。エアコンOFF。

【結論】
 「暖機運転なんかやらずにさっさと(オイルが一巡する30秒程度の暖機で)走った方が良い」というのが最近のエコ走行テクニックのようですが、フィットに限れば実際は暖機運転をやってもやらなくても、消費される燃料自体の量にそれほど違いはないようです。おおざっぱに言えば、暖機運転そのものに80〜100cc消費+17km/Lペースの走行燃費、というのがエンジンが冷えてからの1回あたりの走行燃費になります。
 トータルの燃費にほとんど影響を与えないのですから、車を大切に使うつもりなら、暖機運転を(5分前後)やったほうが良いでしょう。

 言うまでもなく、エンジンが温まってしまえば、あとは単なるアイドリング(無駄遣い)にしかなりません。すみやかに発進しましょう。

■巡航モード燃費(標準タイヤ編)

【思い込み】
 フィットで長い距離を走っていると、じりじり燃費が上がっていきます。最初の燃費が暖機運転に使われる多量の燃料(100cc前後)の影響を受けていますし、加速などにも燃料が多量に使われます。それでも、50kmほど走ると、10・15モード燃費である20km/Lに達したりします。後半の「じりじり燃費が上がる」ときの燃費とは? まさか瞬間最大値で30km/Lとか40km/L行っているのでは??


【実験】
 エアコンOFF、搭乗人数1名、荷物ほとんどなし、充分な暖機を行った後、信号なし、比較的平坦な道路などの条件をそろえておいて、一定速度になった段階でメーターをリセット。巡航走行中の(加速燃費を除外した)燃費を測定します。


【結果】
 4WD車でも5〜6km平均値で26.5km/L前後(24〜31km/L)にまで達します。36.1km/Lで11km以上走行したという記録も出ました。(赤信号で停止して再発進したら24km/Lに落ちましたが。)暖機運転完了後の場合は、20〜23km/Lほどです。


【結論】
 公道ではあるものの、かなり特殊な条件であることには違いありませんが、底力はかなりのものです。この燃費でかなりの距離を走っても、加速でかなり燃料が消費されるため、10・15モードを超えるのは難しいです。


■高速走行(100km/h)燃費 2002/10/12

【思い込み】
 従来の車は、パワー重視型エンジンが搭載されています。ある程度の回転数を与えないと能率が上がりません。回転数が低すぎるとロスが大きくなって、燃費が上がらないのです。結果、街中で走るよりも高速道路で飛ばした方が燃費が良くなります。車種によっては120km/hぐらいまで上げたほうが良いのだそうですが、法定速度は守りましょうね。

 フィットは巡航モードに入るとタイヤの転がり抵抗や車体の空気抵抗に打ち勝つだけの燃料しか供給されません。
 スピードが上がると空気抵抗が増えて、その影響でどんどん燃費が落ちていきます。
 結果、トップギア相当で最低回転数をマークできる50〜60km/h走行が最も燃費が良いそうです。

 では、どの程度落ちるのでしょうか?

【実験】
 高速道路を走ります。それだけ。

【結果】
 北に行ったり南に行ったり、何度か走りましたが、だいたい14km/L台に落ち着くようです。
 もっとも、機材満載で走ってますし、滅多に乗らないのでおもしろがって5000rpmまで回したりしてますんで、あまり参考になりませんね…。


■雨の日の燃費 2002/10/28

【思い込み】
 雨の中を走れば、表面が雨で濡れるために、表面抵抗が増えます。路面が滑りやすくなっている分、燃費の向上が期待できますが、水溜りなどができるため、かえって抵抗が増える可能性もあります。
 雨で燃費が落ちるからと言って、車に乗らないわけにもいきません。燃費が落ちるのは仕方ないとして、どの程度の燃費期待値の低下を覚悟すれば良いのでしょうか?

【実験】
 雨の日に、公式区間を走行します。
 タイヤは、ヨコハマDNA GP(V字パターン)、ボディはウォーターコートとかいう撥水コート済みです。
 通常は、この結果より若干落ちるかもしれません。

【結果】
 2回とも18.0km/Lでした。目安は2km/L落ち(-10%)ぐらいです。
 雨の日ともなると、エアコンを入れないとフロントガラスが曇ってしまい、危険です。結局、たびたびエアコンを入れての走行となりました。これも燃費に対して悪影響を与えます。(かと言って、フロントガラスを曇らせてでもエアコンをOFFにするわけにいきませんし。)

 参考までに、エアコン入れっぱなしで、全くエコランを意識しない(自分なりの普通の運転の)場合は、15.5〜16.0km/Lで、やはり2km/L落ち(-12%)程度となります。エアコンを入れての走行のため、エアコンによるパワーロスは真夏と大差ありません。

【結論】
 測定は、ほぼ土砂降りに近い状態でした。雨の抵抗は、予想外に大きく、おまけにエアコンがないとフロントガラスが曇ってしまう(室内の空気の湿気がフロントガラスに当たる雨で冷やされて結露してしまう)ため、エアコンによる余分なロスも発生します。
 

■惰性走行燃費

【思い込み】
 MT車であれば、赤信号で止まることがわかっている場合、ギアをニュートラルにしてエンジンからの動力をカットし、全くの惰性で走って燃費を稼ぐという手法が使えます。そうすることで停止までの燃費をアイドリング燃費で済ませることができます。
 AT車では、クラッチを意図的にコントロールできませんが、ニュートラル(N)にすれば、動力カットができます。これで燃費が稼げればいいのですが…。


【実験】
 このための実験は行いませんでした。


【結果】
 下り坂のエンジンブレーキ実験の結果から、減速時(エンジンブレーキ作動時)は燃料カット(燃料供給量測定不能)が行われています。
 じりじり減速する場合や、わずかな下り坂を走る場合の巡航モード燃費は35km/Lを超え、40〜50km/Lなどという値も観測されています。

【結論】
 アイドリング燃費は、50km/hで走行していた場合は100km/L相当(500cc/hで換算)の燃費に該当しますが、フィットはアクセルOFFで燃料カットされるため、ニュートラルに入れて惰性走行する方が燃費が悪化します。

 それよりも、そもそもフィットはCVTというAT車であり、走行中にニュートラルに入れることは禁止されています。エンジンブレーキが効かなくなって危険なことの他、オイルなどが循環しなくなってエンジンにダメージが行く可能性があるそうです。走行中にニュートラルに入れて、良いことは何もないようです。


■減速燃費 (その1)第二版 

【思い込み】
 「エンジンブレーキがかかっているときの燃費」は、すごく気になっていたのです。エンジンが回っている以上、燃料が消費されているはずで。車速を落とすのに燃料が使われるのは、すごく複雑な気分がします。普通の車では測定できませんし。


【実験】
 急な下り坂をエンジンブレーキだけで降りて、燃費計を観察します。


【結果】
 燃費計は「測定不能」を示す60km/Lを示します。つまり、全く燃料を消費しません。しかも、DポジションでもSポジションでもLポジションでも同じ。坂が急でLポジションにした場合でも、回転数は上がりますが、燃費計は、相変わらず消費燃料ゼロ(60km/L)です。
 おおむね40km/h以上の速度が出ていれば、消費燃料ゼロで坂道を下りることができます。

【結論】
 フィットの場合(というか、最近のAT車は全部そうらしい)ですが、アクセルから足を離すと、エンジンへの燃料供給がカットされるようです。
 赤信号で停止して燃費確認したとき、燃費が上昇することがあるのは、この理由によるようです。


■減速燃費 (その2) 

【思い込み】
 フィットの変速機は、CVT+電子制御クラッチという構成になっています。発進時と停止直前以外は、クラッチが接続されたままとなるため、動力の伝達ロスがMT車より良いという特徴があります。
 減速時は、アクセルOFFでエンジンへの燃料供給をカットして燃費を稼ぐと同時に、エンジンブレーキを強くします。ただし、車が完全に停止するまでクラッチをつないでいたらエンストしますので、どこかのタイミングでクラッチが外れます。クラッチが外れる少し前に燃料を供給してエンジンを再始動させ、そこでクラッチを外しますので、ブレーキのタイミングや、減速時の速度コントロールをうまくやれば、さらなる燃費向上が期待できます。

【実験】
 エンジンが冷えた状態で走行し、クラッチが外れる回転数を観察します。


【結果】
 エンジンを始動した直後の回転数は、1500rpmほど。車を発進させ、減速をしていくと、停止する少し前は1000rpm(を、ちょっと下回るぐらい)まで落ち込みます。しかし、車が停止するとまた1500rpmまで跳ね上がります。
 なお、暖機運転が完了してしまうと、アイドリングの回転数が1000rpmになるため、この現象は観察されません。(完全に温まった状態のアイドリング回転数は750rpmです。エンジンルームに書いてあります。)

【結論】
 減速時は、1000rpmまでは燃料カットが行われていると推定されます。
 車速に換算すると、トップギア相当で約35〜40km/hほど。
 実際、窓をあけてエンジンからの音を聴くと、約35〜40km/h近辺から下回るときに、エンジン音が大きくなります。
 減速時は、Sモードに切り替えて回転数を全般的に上げ、クラッチが外れる速度を下げておくと良いのかもしれません。ま、これで回収できる燃料はわずかですが。


■超短距離燃費

 これを燃費と言っていいかどうかわかりませんが。
 私の場合、会社まで約1kmです。道のりは1.5kmほど。

 当然、歩けよ
 ってことになります。

 こんな距離をマイカー通勤したら、燃費は悪化の一途をたどることは間違いありません。(実際に乗ったところ、エアコンOFFでも8.6km/Lほどです…。)

 雨の日?  傘させばいいでしょう?

■アイドリング燃費(1) 第2版

【思い込み】
 コンビニ前駐車場に止めてある車で、エンジンがかかったままというのをよく目にします。エンジンを止めると、エンジンが冷えてしまい、また暖機のために燃料が使われてしまうからだ、という噂があるのですが。


【実験】
 コンビニに立ち寄った場合を想定して、3分程度の停止、スーパーなどでの買い物を想定して30分程度の停止を行い、エンジン再始動後の、アイドリング燃費を測定します。アイドリング燃費は、5〜6分のアイドリングを行い、燃費計の変化から読み取ります。もちろん、エアコンOFFです。


【結果】
 気温は約25度でした。
・エンジン始動直後:11.3cc/分(6分間平均)
  最初の1分で33cc、次の2分が14cc/分ペース。3分半程度で暖機完了。
  ※車庫内で測定すると、一酸化炭素中毒死する(汗)可能性があるので、最初の1分は車庫脱出のために、5メートル程度走行しています。
・5.5km走行して、コンビニに3分寄った後:9.3cc/分
・さらに6.1km走行して、ホームセンターに到着後:7.8cc/分
・25分の買い物を終えた後:8.0cc/分


【結論】
 エンジンは、なかなか冷えませんので、ちょっとした時間ではcoldインジケータが点灯しません。しかし、買い物などを終えたあとの燃費が若干落ちるのを経験的に知っている人も多いでしょう。
 実際に測定した結果、25分間もの間隔をとると、やはりその傾向(7.8cc/分→8.0cc/分)はでています。しかし、測定限界に近いような程度の差であり、コンビにに立ち寄る程度では全く冷えないと言っていいと言えます。

 また、図らずも、『暖機走行』(エンジン以外の部分の『暖機』をするための走行)にかかる距離として、10kmは走らないといけないというのが判明しました。
 なお、メンテナンスノートを見ると1回あたりの走行が8km以下の走行が、全走行の3割を超えると、シビアコンディションに該当します。おおむね走行開始から8km以内は、急のつく動作はしない方が良いでしょう。



■アイドリング燃費(2) 第2版

【思い込み】
 車を止めたまま、エンジンを空回しすることを「アイドリング」と言います。走りもしないでエンジンを回すだけに燃料を使っている訳ですから、無駄です。このアイドリング時に無駄に消費される燃料をこまめにカットしていけば、全体の燃費が向上するのは、誰でもわかります。どこかの調査によれば、信号待ちの30秒間エンジンを止めただけでも燃費改善に効果があるのだそうです。
 アイドリング燃費の一般的な数値は、13〜14cc/分だそうです。それに比べて、フィットのアイドリング燃費は8〜9cc/分と、一般的な燃費の2/3程度に抑えられています。ただし、走行燃費がそれ以上に優秀なため、相対的にアイドリング燃費の悪さが気になります。
 もちろん、アイドリングストップをすれば、その分無駄な消費は減りますが、再始動で燃料を多量に消費するため、あまりこまめに切るわけにもいきません。
 フィットの場合のアイドリングストップをする目安は、どのぐらいなのでしょうか?


【実験】
 ある程度走行後駐車。30秒アイドリング→30秒停止を行い、5分間のアイドリング燃費を測定。アイドリング燃費の通常値と比較して、再始動ロスの大きさを推定します。


【結果】
 エンジン再始動のとき、エンジンのチェックとコンピュータの初期化で10秒程度待ったため、実質的に20秒間エンジンを回し、40秒停止した格好になりました。そのアイドリング燃費は4.7cc/分でした。
 エンジンを回し続けていた場合のアイドリング燃費は7.8cc/分であるため、エンジンを回していた時間が1/3になることによる燃費の期待値は2.6cc/分。実際は、その2倍近い燃料消費が観測されました。

【結論】
 この結果から、再始動ロスを考えると、エンジンのアイドリング時間がおおむね20秒を超えると見込まれる場合、アイドリングストップをすることで燃費向上が期待できます。(20秒未満の停止の場合は、再始動ロスが大きくなってしまい、かえって燃費を悪化させると予想されます。)
 一般に信号機の切り替え時間が30秒(信号機の切り替えは、設置場所の交通状況により制御されるため、一般論です。)ですので、目安として、目の前の信号が黄→赤で停車して、赤信号をまるごと待つ場合はアイドリングストップを実施、停車した段階で既に赤信号の場合は、エンジンを止めないで待つのが良さそうです。

 実際の道路で、アイドリングストップをやるにしても、「30秒以上の停車が明らかに見込まれる場合」に限られるので、それほど頻度が多い訳ではありません。しかし、停車時間比率の大きい市街地では案外効果が大きく、燃費が10km/L以下に落ちないようにコントロールすることは可能なようです。



■アイドリング燃費(3)

【思い込み】
 燃費に一番響くと痛感するのは、信号待ち&渋滞です。仮に2分間ピクリとも動かないとなれば、(500cc/h換算で)消費燃料が16.67cc。30kmを苦心して20.0km/Lで走行してきたとしても、右折できずに2分間アイドリングして待つと、19.7km/Lに落ちます。そこからぐいっと加速しながら曲がれば、19.6km/Lまで落ちるでしょう。ところで、全体の走行時間に占める停車時間の割合はいくらなんでしょうか?


【実験】
 公式燃費計測区間(水沢某所-盛岡某所)の走行を行い、実走行時間の中に占める信号待ち停車時間をストップウォッチで計ります。


【結果】
 目だった渋滞もなく、比較的スムーズに流れたと感じる走行でしたが、実際の停車時間の比率は12%に達しました。盛岡市内の走行では、駅前近辺ともなると停車時間比率が50%を超えます。


【結論】
 「結構スムーズだったなぁ」と感じたのに、1割以上がアイドリング時間でした。仮に40kmを18.0km/Lで走行し、そのうち12%が信号待ちでアイドリングしていたとすると、もしそのアイドリング燃費をカットすることができれば理論上は18.5km/Lまで燃費が上がります。現実的にこまめにエンジンを切れないので、予測にしか過ぎないのですが。こうなるとハイブリッドカー的な思考ですね。


■インチアップによる燃費低下の度合い

【思い込み】
 タイヤのホイールサイズを大きくすることをインチアップと言います。
 ホイールサイズが大きくなると、必然的に幅の広いタイヤを選ばなければならなくなるため、タイヤの転がり抵抗が増えます。
 タイヤの外径を変えてはいけない(車検が通らない)ため、ホイール径が大きくなると、タイヤの扁平率が下がって、薄くなってきます。扁平率が45〜35にもなると、スポーツ系タイヤしか選べなくなります。スポーツ系タイヤは、一般にグリップ力が強く、転がり抵抗がワンランク大きくなります。
 ホイールの直径が大きくなれば、タイヤ全体に占めるアルミの量が増えるため、重量も増え、加速に使われる燃料も多くなります。

 インチアップすることで走行性能や、見た目が良くなりますが、燃費という面では良いことは一つもありません。
 したがって、インチアップすれば確実に燃費が悪化します。

  で、なぜか『インチアップすれば確実に燃費が悪くなる』という話だけ一人歩きしてしまい、インチアップした車イコール環境への配慮が欠けている車というレッテルを貼るヤツが現れたり、10km/L以下に落ちるのではないかという、根拠のない数字を出して心配する人が現れます。

 冷静に考えましょうよ。フィットの場合でも15インチホイールモデルの10・15モード燃費は22.5km/Lで、14インチホイールモデルよりも0.5km/L落ちています。16インチでも、せいぜい1km/L落ちればいいのではないでしょうか?


【実験】
 標準スチールホイール&タイヤ(ヨコハマ ASPEC A345? 175/65R14)→ENKEI RP-02(16×7.0J)&ヨコハマ DNA GP(195/45ZR16)に履き替え、公式区間を走行します。


【結果】
 公式区間は17.6km/Lで走行しました。ちなみに、ノーマルタイヤ+0W-20オイルで19.6km/Lを記録しています。


【結論】
 オイルが10W-30になった関係で、オイルとの関係が推定の域を出ていませんが、実走行レベルで16インチタイヤによって-0.6km/L程度、オイルによって-1.4km/L程度といった感じです。この燃費の大きさは、アクセルワークや道路状態によってかき消されてしまう程度のものですが、燃費は確実に落ちています。
 この程度の燃費低下を許容できるかどうかがインチアップのポイントです。見た目重視派なら、扁平タイヤによる走行性能向上は、どうでもいい話。加速性能がどうこうということに興味はないはずですから、エコテクニックを駆使すれば、この程度の燃費低下は充分巻き返せます!


【乗り心地】
 タイヤにヨコハマ DNA GPを選んだためだと思いますが、このタイヤのブロックパターンが巨大で、ロードノイズを非常に拾いやすい構造になっています。
 乗り心地は、路面の凹凸を直接拾うような感覚になります。路面が良ければ乗り心地は決して悪くありませんが、路面が悪いとロードノイズがやかましい上に小刻みな振動が来ます。路面状態の読み取りには好都合ですが、「いまどきの車の静かさ」は、すっかりなくなります。
 私自身は、乗り心地が悪いとは思っていませんが、少なくとも客観的に乗り心地が良いとは言えません。
 懸案だったCDプレーヤーですが、音飛びはありません。そこまでは乗り心地はひどくなりませんでした。



 ヨコハマ DNA ECOS(175/65R14)(←省エネタイヤ)にも興味があったりして…。

■インチアップによる燃費低下の度合い (その2) 2002/11/11(update 11/11)

【思い込み】
 一応冬ということで、スタッドレスにしなければなりません。一般に、スタッドレスタイヤはゴムが柔らかく転がり抵抗が大きいのですが、ヨコハマDNA-GPも負けてはいないでしょう。むしろ、16インチから2インチダウンということで、(1)タイヤ幅が狭くなる:195→175、(2)タイヤ全体が軽くなる:15.5kg→14.0kgといった燃費向上の要素によって、燃費が良くなることが期待できます。


【実験】
 ENKEI RP-02(16×7.0J)&ヨコハマ DNA GP(195/45ZR16)(F=230kPa,R=230kPa)→Modulo ユーロスポークS5(14×5.5J)&ブリジストンBULIZZAK MZ-03(175/65R14)(F=200kPa?,R=200kPa?)に履き替え、公式区間を走行します。


【結果】
 公式区間は21.0km/Lで走行しました。ちなみに、16インチ(230kPa)で20.9km/Lを記録しています。


【結論】
 全く変わりなしと言っていい結果になりました。公式記録からの結論としては、インチアップによる燃費影響度は、ほとんど無視できる程度ということになります。ただし、厳密な測定ではありませんが、街乗りでは11〜12km/L台→14km/L台と大きく躍進しました。これは、ひとえにタイヤの軽量化によるものではないかと思っています。




■タイヤの空気圧による変化

【思い込み】
 自転車に乗るとよくわかるのですが、タイヤの空気圧を高くするとペダルが軽くなります。ペダルが軽いということは、自動車の場合は燃費が良いということになります。
 クルマの場合は、空気圧が高すぎると、高すぎるなりにいろいろ不都合があるので、「空気圧をできるだけ高くすると良い」とは単純に言えませんが、常に適正空気圧を心がけておきたいものです。
 原則は1週間に1回のチェックですが、タイヤが新品のうちは、あまり気にしなくても良いでしょう。ただし、タイヤが劣化を始めると一気に空気圧が減ってきます。気が付いたら空気圧のバランスが崩れているようなら、タイヤが劣化しています。溝が1.6mm以上残っていても交換しましょう

 タイヤは空気圧が不足すると確実に燃費が落ちます。

【実験】
(a)ENKEI RP-02(16×7.0J)&ヨコハマ DNA GP(195/45ZR16)で、空気圧を指定値(F=220kPa,R=210kPa)から、F=230kPa,R=230kPaに上げ、公式区間を走行します。
(b)ENKEI RP-02(16×7.0J)&ヨコハマ DNA GP(195/45ZR16)で、空気圧をF=250kPa,R=250kPaに上げ、公式区間を走行します。


【結果】
(a)公式区間は20.9km/L(ピーク値は21.3km/L)、(b)20.9km/Lで走行しました。ちなみに、ノーマルタイヤ+0W-20オイルで19.6km/L、16インチタイヤにして推奨空気圧の状態で17.6km/Lを記録しています。


【結論】
(a)10〜20kPaという「ほんのちょっと上げただけ」だったのですが、想像以上に燃費が向上しました。
 ヨコハマ DNA GPは、元々タイヤの両肩が少し浮いている構造になっているので、スポーツ系タイヤにしては定速走行燃費は比較的良いようです。急激なブレーキや強いコーナーで車重がかかったときにタイヤ全体がべったり道路に張り付いて、本来の性能を発揮するようで、このバランスによって高グリップ&省燃費を両立してるようです。元々両肩が浮いているので、この程度のちょっとした空気圧アップでは見た目でも空気圧が高いかどうかわかりません。

 タイヤの構造などによってもいろいろ変化するはずですが、ヨコハマ DNA GPで、この程度まで圧力を上げると、ノーマルタイヤよりも燃費が良くなってしまうようです。
 2人で乗ると、一気に燃費が悪化するという、絶妙な圧力設定なので、急ブレーキやコーナーでのグリップ力が必要な場合のグリップ力低下も最小限です。(反発がちょっとだけ強くなるので、ちょっとは不安になりますが…)

(b)車検後、約3年経過したタイヤでの再検証です。
 タイヤが摩耗してくると、さすがに省燃費が維持できなくなってきます。そこで、F/Rとも250kPaに上げてみての検証です。
 250kPaにしたことで充分、省燃費は維持できていますが、「今年あたりそろそろ交換しないと」という頃でないと高圧は高圧なりに偏摩耗しやすいので気をつけた方がいいかもしれません。

■エアコンの負荷

【思い込み】
 夏場は、エアコンが欠かせません。家で使うエアコン(クーラー)は、夏場の電気使用量(=電気料)の大半を消費するほどのエネルギーを「大食い」します。家庭での電気使用料の多くは冷蔵庫で消費されていますが、これも一種のクーラーです。
 クーラーは、それだけ莫大なエネルギーを消費する(ついでに言うと、消費したエネルギーすべてを外に捨てる)機械です。「車載クーラー」は、エンジンから生まれる動力エネルギーの一部を横取りするため、燃費が悪化します。


【実験】
 エアコンをONにして走行する訳ですが、適切なチューニングをしないと、あっと言う間に12km/L近くまで落ちます。努力を怠ると、簡単に1桁km/Lに落ちます。
 エアコンの設定に特にこだわりがなければ、冷房で最も効率の良い設定は内気循環・顔に吹きつけです。




 外が暑くないと、この設定で、かなり冷えます。
 足元に冷気を通すと冷え性になるのは確実。風量も1で充分なくらいです。
 また、こまめにON/OFFするよりは、入れっぱなしにして、温度が安定するのを待ったほうが良いようです。

【結果】
 このセッティングで、公式区間はエアコン冷房全開(風力1)で19.0km/L(ピーク19.3km/L)でした。他の条件は、16インチホイール、DNA GPタイヤ、空気圧230kPa、オイル=LEO(0W-20)です。

【結論】
 外気温の影響もあるでしょうが、うまく工夫すれば、あまり燃費が落ちないで済みます。外気導入すると暑い空気を冷やして室内に導入するので、あまり室温が下がらない上にエアコンが常にフル稼働するので燃費がかなり落ちます。


■加速燃費

【思い込み】
 加速は、ゆっくりやる方が燃費が良い(回転数が低いほど1サイクルあたりの燃料消費量が少ない)らしいですが、エンジンの仕組みから言えば、全開に近い方がポンピングロス(吸排気抵抗)が少なくて能率が良いそうです。

 したがって、日本の教習所では、なるべく回転数を上げないように、MT車では10km/h刻みでギアチェンジする(5速MT、50km/hを目標速度にした場合)よう指導されますが、ヨーロッパでは、なるべく回転数を上げるため、2速で目標速度まで一気に加速し、(中間ギアを飛ばして)トップギアに入れる方法が指導されるようです。

 エコテクニックとしての一般論としても「(急加速は論外だが)機敏な加速をした方が良い」らしいですが、数字に裏打ちされた確かな証拠がないというのが実状です。

 フィットは日本車ですが、ヨーロッパ市場を視野に入れた開発が行われています。(実際、JAZZという名前で輸出されています。)
 日本車らしくおとなしく加速した方が良いのか、ヨーロッパ車らしく加速だけSモードにしてでも急加速した方が良いのか。
 さて、どうなんでしょ?


【実験】
 燃費計をリセット後に所定の回転数になるようにして加速。60km/hを超えた時点で60km/h定速走行し、スタート地点から1km地点で燃費をチェックします。
 Sモードでの燃費は、Sモードで加速し、60km/hを超えた時点でDモードに切り替えて60km/h定速走行をするものとします。テストは2回行い、結果として信頼できる方を採用します。
 信号待ちや、交差点の一時停止はもちろん、勾配抵抗や路面抵抗による誤差の影響を避けるため、全長約1kmの直線の農道を使い、毎回同じコースを使って燃費をチェックしました。
 また、冷間時の燃費の悪化の影響を避けるため、事前に充分な暖機運転・暖機走行(約10km)を行うものとします。



 直線道路で信号機の間隔が1kmあり、そこを最高速度60km/hで走る場合を想定した測定ですが、実際には、信号もなにもない、田んぼの真ん中の道路です。


【結果】

[D]1500rpm(50km/h)=20.9km/L
[D]2000rpm=19.6km/L
[D]2500rpm=18.8km/L
[D]3000rpm=18.6km/L

[S]2500→2800rpm=18.2km/L
[S]2800→3500rpm=18.0km/L

1500rpm未満で加速すると、速度を60km/hまで上げることができないため、1500rpm未満の場合に限り、最高速度は50km/hでの燃費となっています。

 グラフにすると、だいたいこんな感じです。



 1kmも走りましたが、500mもあれば加速が終わるので、実質的な加速燃費は、このグラフの燃費の半分〜1/3ぐらいでしょうか。加速中にマークしている燃費は、4km/L〜8km/L程度です。
 また、事前に充分な暖機運転&暖機走行をしたため、たった1kmでも18〜20km/Lという数字を記録しています。

【結論】
 回転数を抑えて加速した方が燃費が良いという結果になりました。また、『フィットは60km/hで走るのが最も燃費が良い』と言われていましたが、それもであることが判明しました。
 加速は1500rpm以下で、速度は(40km/h以上?)50km/h未満というのが最も燃費が良くなるようです。

 事実、この結果をふまえて、日曜日の昼間の国道4号線(非公式ルート)を走ったら、ピーク値で24.4km/L(リセットから25km地点)、60km走った後でも23.1km/Lをマーク。当然エアコンOFFですが、4WD、16インチタイヤという、どう考えても燃費の良くないフィットで、FF車の10・15モード燃費を超すことができました。



 …もちろん、暖機運転燃費を含まない、非公式記録ですが…。

■満タン(荷物の積載)による燃費悪化

【思い込み】
 秋になって涼しくなってきて、エアコンも要らないようになりました。
 いろいろエコ走行テクニックも明らかになり、何の苦労もしないで、23km/L超えができるようになりました。が。ガソリンを満タンにしたら、21km/Lにも達しなくなりました。重量差でそれほど燃費に影響が出ないと言われていますが、結構違いが出るようです。

 満タン時(42L)と、ガス欠寸前(残り8L)の重量差は、約24kg。(給油量34リットル、比重0.7g/cm3で計算)
 タイヤの空気圧を少し高めにしたために、重量差による影響が敏感に出やすいのかもしれませんが、ガソリンの残量が燃費に対してかなり影響を与えるような気がします。2km/Lぐらいの差は出そうな雰囲気。
 「余計な荷物を積んで走らない」というのがエコ走行のセオリーのひとつ。だったら、余計なガソリンも積まない方が燃費改善になります。なんとなく、かなりの効果が期待できそうな気がするのですが…。


【実験】
 たまたま似たようなコースを一人で走ったときと、家族2名+小物類(約120kg 増加)での燃費を計測することができました。燃料の代わりに家族を搭載しての燃費チェックです。
 しかし、普通に運転していては、乗車人員増加によって、加速燃費の悪化は必至。タイヤの接地面積も増えたのか、定速燃費も26km/L→24km/L程度に低下。このままでは18km/Lが関の山の様子。
 そこで。車体重量増加によって、エンジンブレーキの効きが悪くなって、平坦地ならアクセルオフで200m近く走ってしまう現象を利用。信号などの減速時にアクセルオフによる燃料カットを積極的に利用し、惰性走行距離を長くとることで、ある程度の燃費悪化を阻止できると踏んで、チャレンジです。


【結果】
 一人乗りコース(前回23km/Lを出したコース)で22.4km/L、家族で乗って、80km走行時で21.5km/Lでした。

【結論】
 120kg増しの状態で22.4→21.5と、ほぼ1km/L落ち(-2%)まで抑制することに成功しました。120kg増しという、極端な例でしたが、アクセルワーク(ブレーキ操作)を工夫することで燃費悪化をかなり抑止できることが判明しました。
 もちろん、車体が軽い方が絶対的に燃費は良いのですが、重量増加に伴ってアクセルワークを変えていくことで、重量が増えてもそれほど極端な低下を招かずに済むようです。

 なお、重量増加は加速燃費を悪化させるので、市街地走行のように加速回数が多い場合は、燃費の悪化の度合いは急激に増します。不要な荷物の積みっぱなしは厳禁です。



■登坂燃費 2002/11/3(update 11/9)

【思い込み】
 自動車が走るときにかかる抵抗は、空気抵抗、機械の内部抵抗、タイヤの転がり抵抗、そして今回のテーマ勾配抵抗です。
 自動車が坂道を登るとき、勾配抵抗という抵抗がかかります。坂道を登ることにエネルギー(=燃料)が使われ、平地よりも燃費が落ちるのです。ですから、なるべく坂を登らないようにしたほうが燃費は改善します。
 勾配抵抗を減らすには、車が軽量であるほど有利であることは言うまでもありません。

 しかし、自動車に乗る以上は目的地があるはずで、目的地がある以上は走るコースがある程度限定されます。走るコースが限定される以上は、登らなければならない坂は登らなければなりません。坂を登ることによる燃費低下は、ある程度覚悟しなければなりません。
 では、どのような走り方をした方が勾配抵抗を少なくできるのでしょうか。


【実験】
 近くの山(束稲山(たばしねさん:596m))をふもと(標高約50m)から、頂上近辺にある旅館(平泉荘)まで上ります。
 走行距離は4.6km、標高差約500m、最大斜度は13%を超えます。
 あまり何度も往復するのも何なので、次の3つの実験をします。

 try1:Dレンジで2000〜2500rpmを維持(35〜45km/h,40km/h平均)
 try2:Sレンジで2200〜2700rpmを維持(35〜45km/h,40km/h平均)
 try3:Dレンジでなるべく50km/h(3000rpm)になるように制御

 try1:try2で、DレンジとSレンジの差を見ます。
 try1:try3で、出すスピードによる違いの差を見ます。


【結果】
 try1:7.8km/L
 try2:7.5km/L
 try3:7.0km/L

 ちなみに、ふもとあたりでは、空気抵抗が大きいのか、勾配が強いのか、6.5〜6.8km/Lで、上に行くほど燃費が良くなっていきました。


【結論】
 ま、省燃費走行の鉄則は「ぶん回さないこと」なので、細かいことを言えばDレンジでゆっくり登るのが良いようです。平地では20〜22km/Lは出る状態で7km/L台ですから、勾配抵抗は、かなりのものです。その分を考えれば、「たった0.8km/L差」とも言えるわけで、ハイペースで登ってもゆっくり登ってもDレンジを使ってもSレンジを使っても大きな差がないとも言えます。(3000〜4000rpmで登れば結果が大きく違っていたかもしれませんが…)

 少なくとも、燃費を気にしすぎるあまりスピード(=回転数)を落として坂をノロノロと登っても燃費改善効果は、ほとんどないと思って構いません。むしろ、スピードが遅くなることで車の流れを乱さないことに注意を払ったほうが良いかもしれません。



【おまけ】
 坂を登るということは、いずれ降りるということです。自宅を出発したら、何時間か、あるいは何日か後には必ず自宅に戻っていますよね。どんなに高い山に出かけたとしても、最終的な勾配差はゼロなのです。ここ、重要です。

 物理学の基本中の基本の法則にエネルギー保存の法則というのがあります。エネルギーは、勝手に増えたり減ったりせず、見かけのエネルギーが減っていれば、どこかにそのエネルギーが別の形で変換されているというものです。ちなみに、フットブレーキは運動エネルギーを摩擦によって熱エネルギーに変換して放出し、車の速度を落とす装置です。

 坂の登り降りを考えているときに出てくるのは位置エネルギーと運動エネルギーの変換です。

 自動車という物体を山の上まで持ち上げるにはエネルギー(=燃料)が必要ですが、山頂から降りるときは蓄えられた位置エネルギーを使って降りることができますから、改まってエネルギー(=燃料)を加える必要はありません。
 「勾配抵抗」とは言いますが、上り坂を登ることで蓄えられた位置エネルギーを、後で運動エネルギーとして利用(回生)することができるという意味で、回生不能な損失としての抵抗とは言えません。
 つまり、勾配抵抗というのは存在しないのです。


【追実験】
 山頂で測定を終えた後に、ふもとまで降りて再度燃費を測定します。


【結果】
 try2:登り=7.5km/L、登り+降り=14.2km/L
 try3:登り=7.0km/L、登り+降り=13.1km/L


 同じ道路の往復なので、登りのときの燃費の2倍以上になる訳がありませんが…。
 坂を降りるときは、全く燃料を消費しません。降りるときの単独の燃費を測定しようにも、燃費計は測定不能を示す60km/Lを示します。(try1の燃費データがないのは、それを確認するのに使ったためです。)

 下り坂の単独燃費を山頂往復の燃費から割り出すと、try2、try3の平均で115km/L、try2だけであれば133km/Lに達しています。


【結論】
 13%もの、いかにも山登りの坂道で、登り単独の燃費こそ7km/L台しか出ませんでしたが、登り降りトータルでは14km/L程度まで回復。考え方によっては市街地燃費か、それ以上の燃費で済んでいるのですから、ある意味想像以上に良い数字といえます。




■登坂燃費 (その2)2002/11/11(update 11/17)

【思い込み】
 前回の結果から、500mの高さの山を上り下りして14km/L台しか出ませんでした。全くの平地であれば20〜22km/Lを期待できている(測定後の帰路で、22.4〜23.0kmを達成しています。)ので、絶対的に6〜8km/Lの差(30%程度の低下)があります。これは、山の上まで登るためのエネルギーですから、勾配抵抗といえば勾配抵抗ですね。

 ただし、坂を降りてすぐブレーキで止まらずに平地走行に切り替えられれば、燃料なしで走行できる距離を稼げますから、全体の燃費は改善します。



 500メートル級の大きな山と、2km以上の惰性走行で平地走行の燃費に追いつくというのは、かなり非現実的です。しかし、ごく普通の道路にある上り坂・下り坂レベルならば、実質的な勾配抵抗を限りなくゼロにできる可能性があります。


【実験】
 数メートル〜十数メートル程度の登り降りのある道路での燃費変動を観察します。
 登りは、スピードを一定に保つようにし、回転数はフィット側のコントロールに任せて、回転数が上がっても気にしないようにします。下りは、極力アクセルOFFを心がけます。2〜3回ちょっとだけ踏んでエンジンブレーキがかからないように「指令」を与え、なるべく惰性で坂を下るようにします。平地走行も、なるべく惰性を維持するように心がけます。


【結果】

 最終的に22〜25km/Lと、高低差のほとんどない平地での巡航燃費に匹敵する燃費を記録しました。(※走行中にリセットしたため、加速燃費を含まない、純粋な巡航燃費値に近い値が観測されています。)
 坂の頂上付近では、8〜13km/Lと、勾配抵抗によって燃費が著しく落ちましたが、坂を下る時はもちろん、平地走行も惰性走行で燃費を稼ぐことで、実質的な勾配抵抗をほぼゼロにすることができることが判明しました。


【結論】
 『積極的なアクセルOFFによる燃料カットの多用』というテクニックを使う必要はありますが、国道にある陸橋程度の高低差であれば、勾配抵抗による実質的な損失はほとんどないと言えます。




■『大流量電動EGR』って何? 2002/12/13(update 12/13)

 フィットのi-DSIエンジンの説明より。


【大流量電動EGRによる低燃費化】
2点点火の急速燃焼では、1点点火に比べ、より大量のEGR導入が可能となり、大幅なポンピングロス(吸入抵抗損失)低減を実現。低燃費に大きく貢献しています。



 ところで、EGRって何?>メカ音痴


 んで、調べてみました。

 EGR(Exhaust Gas Recirculation:エギゾースト ガス リサーキュレーション):排出ガス再循環装置。排ガスを吸気側に戻すことで燃焼温度を下げ、NOx(窒素酸化物)の排出を抑制する装置なのだそうです。



 また、スロットルバルブの後方から排ガスを戻してやるため、ピストンにかかる負圧を軽減、アクセル開度が小さいときのポンピングロスが減って、燃費も向上するという一石二鳥の装置です。
 ただし、調子に乗って混合気に混ぜる排ガス量を多くしすぎると、燃焼反応が鈍くなりすぎてパワーが落ちてしまい、充分な加速ができなくなり、かえって燃費を落とす結果になる(国土交通省資料より)のだそうです。この辺のコントロールがメーカーの腕の見せ所。
 フィットはツインプラグ点火で燃焼効率が良いため、通常よりもEGR量を多くとっても能率低下が起きにくく、ポンピングロスの低減=燃費向上に一役買っているわけですね。「電動EGR」って言うので、モーター駆動か何かで排ガスを戻しているのでしょうか? そこまではわかりませんでした。

 EGRバルブは、主に次の場合に開きます。
燃焼温度が非常に高くなるとき
  (高負荷時。NOx対策のため。)
スロットルバルブがほとんど開いていないとき
  (低回転時や、アイドリング時。ポンピングロスを低減するため。)

 MT車では信じられないほど、アクセルをほんのちょっとしか踏んでいない(エンジンルームを眺めた限りでは、アクセルペダルとスロットルバルブは、メカニカルに連動しているようです。)のに走ってしまったり、エンジンブレーキがほとんどかからなくなったりするのは、EGRバルブが開いているためと考えられます。(調べた結果、フィットのi-DSIエンジンは、リンバーンエンジンではないようです。)
 一定速度で走れる限界までアクセルを戻すことでEGR量を多くし、少ない燃料で走れるように制御している(結局リンバーンのような動作にしている)のが、フィットの巡航モードの正体(?)ではないかと思います。


 さて。
 走り屋に言わせれば、高負荷時にこそパワーが欲しいのに、EGRが作動してパワーを落としてしまうのが気に入らないらしく、EGRパイプを塞ぐのが流行しているとかいないとか。(フィットのi-DSIエンジンでEGRパイプを塞いでしまうと、思いっきり燃費が落ちるはずです。やる人はいないと思いますが。)

 ま、ここまで読めば、高負荷時にEGRが動作しないようにコントロールしてやれば、少燃費性能そのままで最大出力を5psぐらい簡単に上げられるんじゃないかという予想は、誰にでもつくわけで。
 『コンピュータの乗せ替え』だけでパワーアップできてしまうカラクリも、この辺にあるのではないかなと。


■積極的な再学習による燃費向上 2002/12/3(update 12/3)

 燃料カットを積極的に利用する走行で、アクセルOFFによる燃料カットで燃費を稼ごうという作戦を紹介した訳ですが、どうやらもうひとつ効果があるようです。それが、「再学習」です。
 フィットの場合、電装系の負荷をなるべく落とした状態で、平坦な場所で速度を60km/h以上に上げ、アクセルOFFを5秒以上やると、CVTのフィードバック信号のリセットがかかるそうです。

 現在の自動車のエンジンには、コンピュータが搭載され、各種コントロールを行っています。具体的なコントロール内容は知りませんが、たとえば加速するときや、燃費を向上させる時などの状況に応じた混合気のガソリンと空気の混合割合(空燃比)を算出したり、CVTの適切なギア比やCVTベルトにかかるテンションを計算したり、クラッチの適切な接続タイミングを計ったりといった制御を行っているのでしょう。ガソリンも、ガソリンのメーカーや季節によって組成(オクタン価の平均やバラツキなど)が違うそうなので、それに合わせた制御もやるそうです。具体的にどこをどう制御していくかは、ユーザーである私たちが知ることはできませんが、コンピュータは、走行状態から最適な制御パラメータを変化させています。それを「学習」と呼ぶそうです。
 たとえば、ガソリンをA社からB社に変えた場合、組成の違いによる差を学習するのに、30km〜50kmぐらいの走行は必要だそうです。(昔、日石は「マイルドで減りにくいが、パワーが出ない」、三菱は「ややエンジン音がうるさく、減りも早いが、エンジンの回りが軽くパワーが出やすい」といったフィーリングでした。今はENEOSで統合されてますが。)

 厳密に言えば、エンジンが冷えているとき、温まってきたとき、ある程度の速度で走っているとき、信号待ちや、コンビニにちょっと寄るためにエンジンをちょっと止めたときなど、使用状態によってもエンジンの調子が刻々と変化します。理想を言えば、そういった状況にも細かく対応し、適切なコントロールをすべきなのでしょうが、そこまでの細かいコントロールはやっていないようです。というか、どこをどう走るか全く知ることができないので、できないと言った方がいいかもしれません。

 そこで、おおむね10〜20km走行ごと(エンジン音が少しうるさい状態になったとき)にリセットをかけていき、時々刻々変化するエンジンの状態に合った最適な制御パラメータで走行するというエコランテクニックです。
 走行速度が遅いほど空気抵抗が少なくて燃費が伸びますが、伸び悩むときは、60km/h以上にまでスピードを上げ、この「おまじない」をかけることで、比較的長距離の走行でかなり燃費が向上する(+1km/L?)ことがあるようです。



【コラム】

■走行距離による推移
 次のグラフは、暖機運転に90cc消費した後、23km/Lの燃費で走行した場合の燃費計の推移をシミュレーションしたものです。(実測値ではありません。)
 
距離(km)燃費(km/L)
211.3
313.6
415.1
516.2
617.1
717.7
818.2
918.7
1019.0
1520.2
2020.8
 フィットは、エンジン始動直後はエンジンを温めるために90cc程度が消費されるため、その影響で短距離を走行した場合の燃費が上がりません。たとえば、片道5kmの通勤にフィットを使った場合、終始23.0km/Lで走れるようなアクセルワークを駆使したとしても、燃費が16.2km/L程度しか上がりません。という意味です。
 基本的に、距離を稼がないと燃費の数字は伸びません。だからと言って、無意味に長距離を走行すれば良いというものでもありません。ここに載せた表より良い結果が出ているならば、かなり検討していると言えるでしょう。
 暖機運転の燃費を切り落としてしまえば、(FF車であれば)23km/Lという燃費は、かなりあっさり出せるはずです。
 しかし、「実用燃費」という観点からは、暖機燃費を切り落として考える訳にはいきません。


■速度別巡航燃費 【コラム】2002/10/31

 燃費に与える空気抵抗の大きさは、無視できないほど大きいものです。100km/hで走行している時に車にかかる抵抗の大きさは、一般に

空気抵抗65%
機械の内部抵抗15%
タイヤの転がり抵抗20%

と言われています。
 100km/hで走っているとき、エンジンパワー(=燃料)の半分以上は空気抵抗に対抗するエネルギーとして消費されるわけです。「空気抵抗の大きさを減らすことによる燃費改善効果」は、非常に大きいのです。

 空気抵抗を減らす、最も簡単な方法は、スピードを落とすことです。

 さて、空気抵抗の大きさが単純に「空気抵抗係数×速度×速度」で求められ、抵抗の大きさが単純に燃費に反映されると仮定したとします。
 その仮定のもとで、今までの経験から、もっともらしい数字になるようにExcelシートでこねまわしてみました。

 フィット4WDでは、100km/h走行時の全体の抵抗に対する空気抵抗(速度の二乗に比例して増加する抵抗)の割合を52%と推定。残りを速度に関係のない固定抵抗として全体抵抗を算出。その抵抗の大きさが単純に燃費に換算できるとして表にしたのが、次の表です。

フィット1.3(i-DSI)/S-package/4WDの速度別巡航燃費(推定)
速度燃費
130km/h11.7km/L
120km/h13.0km/L
110km/h14.4km/L
100km/h16.0km/L
90km/h17.8km/L
80km/h19.7km/L
70km/h21.8km/L
60km/h24.0km/L
50km/h26.2km/L
45km/h27.3km/L
※加速燃費を含まない、巡航時の燃費です。実際は加速の燃費が加わるので、この燃費値よりも燃費が落ちます。
 難しい計算をしているように見えますが、単なる二次関数によるシミュレーション値です。現実の数字ではありません。
 低速側は吸気抵抗の増大で、推定値よりも燃費が落ちます。エンジンの能率も回転数や負荷のかかりぐあいによって変わるため、現実の数字と一致しません。


 FF車は、4WD車のように後輪に動力を分配するという余分な機構がない分だけ固定抵抗が小さくて燃費が良くなります。そのため、全体にかかる抵抗の中で占める空気抵抗の割合(影響度)が大きくなります。
 …が、なにぶん手元にデータがないので、いろいろな噂をもとにした推定にしか過ぎませんが、だいたいこんな感じではないでしょうか?
 100km/h走行時の全体の抵抗に対する空気抵抗の割合は66%、80km/hで10・15モード相当燃費、60km/hで、現実的に出せる最高燃費としての計算です。

フィット1.3(i-DSI)/FFの速度別巡航燃費(推定)
速度燃費
130km/h11.7km/L
120km/h13.2km/L
110km/h14.9km/L
100km/h17.0km/L
90km/h19.4km/L
80km/h22.3km/L
70km/h25.6km/L
60km/h29.4km/L
50km/h33.7km/L
45km/h35.9km/L

 ※情報お待ちしております。


■ガス欠法による生涯燃費チェック (提案)

 満タン法という燃費チェック方法があります。満タンに給油して、ある程度走った後、また満タンにして、前回満タンにした時からの距離と、給油した量から燃費を割り出す方法です。
 私自身は、性格がズボラなので、チェックしてませんが。

 満タン法による燃費チェックには重大な欠点があります。少なくとも、燃料を常に満タンに近い状態にすることで車体の重量が増加し、程度の大小はともかく、燃費が確実に悪化します。
 つまり、満タン法で燃費チェックをするということは、事実上、燃費に気を使っているつもりだけで、実は燃費を悪化させているわけです。

 満タン法は、「満タン」という指標を使って燃費をチェックするわけですが、それであるが故に無駄な燃料を運搬する羽目になり、燃費が悪化します。満タン以外の指標が使えれば、搭載するガソリンを減らすことができ、燃費の改善(または、加速などの運動性能向上)になります。

 フィットには燃料残量警告灯が付いていて、『燃料タンク内のガソリン残量が7.5L 前後になったときに点灯』します。これを指標として使うのが、「ガス欠法」による燃費チェックです。(ネーミングがイマイチ(汗))


 燃料残量警告灯が点灯したら、トリップメーターをリセット。すみやかに(あと100kmぐらい走れますので、焦らないで結構。)ガソリンスタンドに寄って、任意の適度な量:たとえば10Lを給油して、また警告灯が点灯するまでの距離を測り、燃費を割り出します。10L給油しておけば、走った距離の1/10が満タン法換算の燃費になります。7〜7.5L入れておけば、燃料残量警告灯が点灯してから、本当にガス欠するまでどのぐらい走れるかを、体験として学習することができます。

 フィットの場合、満タン時と残り10L時(正しくは17.5L)の重量差は約24kg。(給油量34リットル、比重0.7g/cm3で計算)。子供一人分もの軽量化をしているんですから、満タン法に比べて、まず間違いなく成績が良くなるでしょう。(期待値としては、0.3〜0.5km/L程度の向上)

 生涯燃費を満タン法でしか測定できない他の車種と比べる場合、あきらかに「ズルイ測定方法」です。しかし、ズルイか公正かの問題ではなく、絶対的に燃費を改善し、CO2排出量を削減するのがエコラン本来の目的なんですから。



■エアロパーツは燃費に影響するか? 【コラム】2002/10/31

 フィットは、メーカーオプションのSパッケージを選択するか、モデューロや無限、DOOVなど(10社近くあるらしい)が出しているエアロパーツを選択することで、装着可能です。
 ただし、一般にはエアロパーツの機能的意味は、おそらくほとんどない(←契約前に、テールゲートスポイラーを付けるかどうか悩んでいた時期の文章です。)と思われ、「速そうに見せるだけの飾り」と言われています。

 『飾りだったら、余計なものを装着しないだけ軽量になり、燃費が良くなる』

 というのも、もっともな意見です。
 現実にSパッケージを選択し、車高も下げましたが、おおむね120km/h以上でエアロの効果を実感できました。(車高を下げたことで、より効果が増したようです。)
 ただし、100km/h以下の実用域では、(効果はあっても感じられないため)全くの飾りにしかなっていないようですから、燃費に対して影響しているのかは不明です。

 フェアレディZでは、エアロ装着時の空気抵抗係数(Cd値)が若干下がるようなので、エアロパーツの意味はあるようです。もっとも、フィットの場合はCd値自体公表されていませんが。
 それでも、無限スタッフが言うには、「純正でもかなり考えられている」そうで、一応は無駄ではないようです。

 結局、どっちでもいいってことですかね?

 個人的見解ですが、「燃費のためにエアロを付けるのを我慢する」というのは、全く理由になっていないと思います。
 「お金がもったいないから付けるのを見送る」は、理由になります。
 「かっこいいから付ける」も、立派な理由です。


■スリップストリーム走法 2002/11/1

【思い込み】
 スリップストリームとは、前の車を風防の代わりにすることで自分の車への空気抵抗を減らし、燃費を稼ぐレーシングテクニックです。
 スピードが上がるほど燃費が落ちるという原因は、ほぼ100%空気抵抗によるため、前の車が風防になってくれると、劇的に燃費が向上します。たとえば、100km/hで走っていても、自分の車が受ける空気抵抗の大きさが50km/h相当であれば、50km/h相当の燃費で走れる計算になります。


【実験】
 なるべくトラックの後ろにつくようにし、燃費計を観察します。
>やるなよ。


【結果】
 17km/L。燃費は、かなり落ちます。(エコ走行しないときと変わりません。)
 つまり、前の車に追従しようとして周囲の車と同等か、それ以上の加速を強いられるため、燃費が極端に落ちるのです。省燃費走行は、加速燃費の低減が最低条件ですから、燃費が良くなるわけがありません。スリップストリームで燃費が向上しても、トータルの燃費が悪くては何もなりませんね。前の車にペースを合わせようとアクセルを踏んだり離したりの操作が増えるのも燃費に対してマイナスに働きます。

 マイペースで走ったほうが、よっぽど燃費が良くなります。


 「思い込み」欄で言ったように、スリップストリームは、あくまでもレーシングテクニックなのです。レースでは、サーキットコースという限られたコースを、全員がほぼ同じペースで走っているため、前後の車の挙動の差があまりありません。だからこそスリップストリームが使えるのです。
 公道では、前を走る車が、なんでもないところで急ブレーキを踏むかもしれません。車間距離を詰めて走っていたら、そんなとき前の車に追突するのがオチです。
 もしトラックの後ろでスリップストリームをやっていて、もし急ブレーキを踏まれたら、ひとたまりもないでしょう。前面フルラップ衝突55km/hを誇るフィットであろうとも、です。


 私なりのスリップストリームの解釈は、こうです。

 スピードを落としたほうが、空気抵抗が少なくて燃費が良いのですが、周囲の流れに逆らってまで遅く走るのは、周囲の迷惑です。そこで、「周囲の流れに乗る」ということで、スリップストリームを使おうというものです。自分の車を先導する車のスピードに沿って、ごく普通のスピードと普通の車間距離でも充分発生しています。
 前を走る車が、トラックである必要はなく、軽ワゴン車でも充分効果が認められます。だいたい、22.4km/L→22.9km/Lという具合に、おおむね0.5km/Lぐらいはアップします。(さすがにセダンは、あまりアップしませんが。)



■直線距離で測る燃費 2002/11/20(update 11/20)

 公式区間の直線距離は、地図ソフトで測ってみたら61.8kmでした。
 道のりは68kmちょっとなので、6.5kmぐらいは無駄に走っているわけです。飛行機ではないので、完全な直線コースを進むことはできませんが、同じ目的地ならば、利用する道路の距離が短いほうが能率が良いわけです。(時間的には損かもしれませんが。)
 具体的に公式区間の能率を求めてみると、実質的にこの区間を21km/Lで走ってますから、消費燃料は3.24L。直線距離に置き換えて再度燃費を求めると、19.1km/Lとなります。
 流れの良い道路を遠回りした方が燃費(燃料消費率)は良くなりますが、本来の燃費(燃料消費量)は、なるべく迂回しない方が良くなる場合があります。

 たとえば、公式区間の途中(花巻)にバイパスができました。
 国道4号線が花巻市の街中に近いところを通っている上に、信号機の間隔が狭いために、渋滞しやすい(=燃費が悪化しやすい)のですが、バイパスは、そこを迂回するコースになっています。
 ところが、新たにできたバイパス。コの字形に大きく迂回するので、トータル距離は、71.2kmに伸びてしまうのです。燃費そのものは、ほとんど変化せず、距離だけ伸びるので、結果的にバイパスを利用することで能率(直線距離燃費)が18.2km/Lに落ちてしまいます。従来と同じ能率を達成するためには、『バイパスを利用することで22km/Lに達する』必要があります。しかし、燃費はとりたてて向上している気配がありません。0.1km/Lぐらいは伸びたかもしれませんが、1km/Lも伸びるような効果は全く得られていません。
 したがって、このバイパスを利用する価値は、全くないといえます。(5kmも余分に迂回するので、50km/hで走ったとして、時間も約6分ロスします。)






■ホイール重量と燃費 2002/11/17(update 11/17)

 燃費のためには、タイヤ(ホイール)の重量が軽い方が有利です。よく「バネ下重量を1kg軽くすると、車体の重量を10kg軽くしたのに匹敵する」と言われます。
 20kgと換算する説もあります。強い加速をするほど換算重量が増加するので、どの位に換算するのが妥当かという論議は無意味です。

 さて、今までの実験から、一定速度で長い距離を走り続ける長距離巡航では、ホイールや車体自体の重量増加による燃費変動は、ほとんど観察されないことがわかりました。これは、全体の走行距離に対する加速回数が少ないためです。原理的には、一定速度で運動しつづけることにエネルギーは必要ありません。現実の自動車走行に当てはめれば、空気抵抗、機械抵抗、転がり抵抗といった抵抗がかかっていますが、これらの抵抗は車体重量とはほぼ無関係です。せいぜい重量増加によってタイヤの接地面積が増えて転がり抵抗が増えている程度です。(これも、空気圧をわずかに上げれば解決することです。)

 一番、重量差による燃費の違いが出るのは加速です。街乗り(サーキット走行)などで、全走行距離に対して加速している距離の割合が大きいほど、そして、強い加速をするほど、ホイールや車体の重量差による燃費の違いが現れやすくなります。
 これは、アルミホイールを選ぶときの重要なポイントにもなります。

   軽量のホイールと言えばアルミホイールが定番です。しかし、フィットを含めて最近のホンダ車では標準のスチールホイールが一番軽いというのが常識です。一般のアルミホイールは、鋳造なので、スチールよりも重くなり、燃費改善効果はありません。とにかくランニングコストを下げたいなら、スチールホイールに決まりです。
 スチールホイールと同等の質量をアルミホイールで得るには、1本4万円以上(つまり、ワンセット16万円以上、タイヤ込みで20万円以上)もする鍛造アルミホイールを選択しなければなりません。





■結局、アンタはどうなのよ?

 え? 私の燃費ですかぁ?

 えー、満タン法による測定では、1049km走行時点でトータル燃費は16.4km/Lでした。
 ま、こんなもんでしょ。現実は。(^_^)ゞ

■実燃費の簡易計算

 あれから10年ぐらい経ちまして。ついにフィットとお別れする時が来ましたので、まとめと行きたいと思います。
 時代はよりエコな社会への進んでいて、ハイブリッドカーも珍しくなくなりつつあります。燃費は以前よりも車選びの重要な要素になっています。

 「今までの車は20km/Lで燃費がいいと言われて買ったのに、実際は10km/Lぐらいしか出ないひどい車だった。このハイブリッドカー、30km/Lで走るんですよね?」なんていう甘い期待をすると、相変わらずの燃費に愕然とする事になります。蓋を開けてみれば、片道2kmの子どもの送り迎えとか買い物にしか使っていない、超チョイ乗りだったりする訳で。
 そんな使い方されたらいくら最新鋭のハイブリッドとは言えカタログ値通りの燃費なんか出る訳がありません。
 カタログ値はあくまでもベンチマーク値であって、実使用時の燃費の値ではありません。

 でも、大枚はたいて買った車の燃費の悪さに腹の虫が治まらないようで、レビュー記事で「裏切られた」とか「大嘘つき」「二度と○○社の車なんか買うか」とか散々荒らしまくる事になります。(アメリカではカタログ値通りの燃費にならないと訴訟まで起きたとか。)
 実際の燃費は、車の使い方で大きく変わります。そこを理解しましょう。

 確かに燃費統計サイトを見れば、全体の平均値はわかりますが、では実際に自分が乗ってみてどうなのか、という値の参考にはなりません。


 そこで、実際に車に乗るシーンに応じた値と、その車の持つ効率を掛け合わせて実燃費の期待値を推定する方法を編み出しました。

 まず、普段どんな使い方をしているかを整理します。
【使用条件】
1回の走行距離の平均値( )km
その間信号待ちなどで止まった回数( )回
総アイドリング時間(信号待ち)( )分

 この3つ。総アイドリング時間は、目的地に到着するまでの時間のうち、郊外で10%弱、市街地で50%近くが信号待ちに費やされます。
※結局元の場所に戻ってくるので、勾配抵抗は基本的に考慮しません。

 これに、車固有の燃費係数を用意。

(Fit 初期型 4WD)
暖機燃料消費量 90cc(@15℃)
巡航燃費(10・15モードの1.2-1.3倍増ぐらい、JC08の1.5倍増しぐらい) 26km/L(エアコンOFF時)
加速時燃費(0km→50km) 25cc/回ぐらい?
アイドリング燃費 7cc/分

です。それぞれ
暖機燃料消費量…冷えたエンジンが暖まるまでに消費される余剰燃料。
巡航燃費…十分な暖機を行った後、目的地まで信号で止まる事なくずーっと定速で走れたと仮定したときの燃費量。停止前の燃料カット、ハイブリッドならEV走行による間引きと、バッテリー充電による負荷を含めた平均値。おおむね10・15モードの1.2-1.3倍増ぐらい、JC08の1.5倍増しぐらい。
加速時燃費…一般使用を想定し、0km→50km前後の加速にかかる燃料。1加速で25ccぐらいか? 当然、ソフトな加速では少なく、強い加速なら多くなる。車体重量が増せば、これまた多くなる。
アイドリング燃費…アイドリング中に消費される割合。昔のクルマで13cc/分と言われる。

という意味のパラメータ。使用条件と車固有の燃費係数をこねまわして推定実燃費を出します。
たいした計算じゃありません。

 まず、巡航燃料消費量を求めます。走行距離÷巡航燃費。
 実際はストップ&ゴーを繰り返すので、それに伴う加速時燃料消費量を足します。停車回数(=加速回数)×加速時燃費。
 さらに冷えた状態からスタートすると暖機で消費される燃料が追加されるので、暖機燃料消費量を加算。
 次にアイドリング燃費も加算します。郊外の流れの良い所ならばそれほど考慮する必要はありませんが(総走行時間の10%程度)、市街地の混雑している場所だと総走行時間の50%ぐらいになったりもします。
 アイドリング燃費×アイドリング時間で、アイドリング燃料消費量を求めて加算。(アイドリングストップ付きの場合は、ストップ比率(停車している時間のうち、何割エンジンがまわっているかの比率)をかけます。)
 実走行距離をこれで求められた燃料消費量を合算したもので割ると、推定実燃費が出ます。

計算例:

使用条件:
1回の走行距離の平均値=20km
その間信号待ちなどで止まった回数=15回
総アイドリング時間(信号待ち)20秒×15回=5分(郊外を想定)

巡航燃料消費量=20km÷26km/L=770cc
加速時燃料量=25cc×15回=375cc
暖機燃料消費量=90cc
アイドリング燃料消費量=7cc/分×5分=35cc
総消費燃料量=770cc+375cc+90cc+35cc=1.27L。
走行距離20kmのため、燃費=20km÷1.27L=15.75km/L

 カタログ燃費10・15モード20km/Lのフィット(1.3初期型4WD)ですが、「比較的流れの良い郊外を20kmほど走ったとき」を想定した実燃費推定値は15.75km/Lと出ました。結構リアルな値が出てるんじゃないですかね?
 生涯燃費的にも16-17km/Lぐらいでしたから。
 ちなみに燃費統計サイトによれば、16km/L弱(1.3L、FF)ぐらいらしいです。

 さて。
 仮に自分の母校の中学校(片道2km)に送り迎えしたと仮定して使用条件パラメータを変更。
1回の走行距離の平均値=4km(往復)
 その間信号待ちなどで止まった回数=10回 経路を想像しながら信号機の数をカウント。その2倍。
総アイドリング時間(信号待ち)20秒×10回=3分20秒

 この使用条件で出てくる燃費は7.73km/Lと激悪。
 これは初期型1.3L4WDでの概算ですが、最新のFF(ガソリン車)であっても8km/L超えも難しいでしょう。
 そりゃ往復4kmしか走ってないんだから、そんなもんですよ。

 フィットは元々燃費の良い車ですが、使い方しだいではどんなにアクセルワークを工夫したところで燃費はカタログ値の半分も行きません。

 これから買おうとしている人は、こんな計算をして、実際の走行シーンに照らし合わせて今度のクルマの実燃費期待値を割り出して判断すると良いのでは?

 ハイブリッドカーであったとしてもどんなことしても燃費が良くなる訳ではありませんからね。

 最後に。ありがとう、ホンダ・フィット。





 ちなみに、次の新しい車はフィットシャトル・ハイブリッドです。(<またフィットかよ)

 ハイブリッドになってどう変わってくるのか。楽しみであります。