23km/Lへの道 (その2)

〜ホンダフィットのエコ走行テクニックを探る〜

■インチアップによる燃費低下の度合い

 インチアップによって、どれだけ燃費が落ちるかについての、詳細な測定結果です。
 標準スチールホイール&タイヤ(ヨコハマ ASPEC A345? 175/65R14)→ENKEI RP-02(16×7.0J)&ヨコハマ DNA GP(195/45ZR16)に履き替えます。言うまでもなく、ヨコハマ DNA GPは、スポーツ系タイヤです。

 このタイヤで、水沢-仙台間の国道4号線約100kmを走行し、燃費変遷を観察しました。原則として赤信号で停止したときに燃費チェックを行い、後で区間燃費を算出しました。
 (2002/4/21(日)測定)
 その他の条件:乗車人員=1名、車載物=特になし、エアコン=最初の92kmまではOFF、以降冷房の弱、ガソリン=ENEOS レギュラー、タイヤ空気圧=規定値、オイル=初期オイル(0W-20?)



【結果】
累積走行距離(km)燃費(km/L)累積消費量(L)区間距離(km)区間消費量(L)区間燃費(km/L)
0.00.00.000---
1.68.40.1901.60.1908.40
5.013.80.3623.40.17219.79
9.816.40.5984.80.23520.40
12.716.80.7562.90.15818.31
15.816.80.9403.10.18516.80
24.017.81.3488.20.40820.11
40.519.02.13216.50.78321.07
48.919.62.4958.40.36323.12
52.819.72.6803.90.18521.05
53.619.52.7490.80.06911.68
62.719.83.1679.10.41821.77
66.520.03.3253.80.15824.00
68.219.93.4271.70.10216.64
71.719.93.6033.50.17619.90
77.320.03.8655.60.26221.38
84.519.94.2467.20.38118.89
92.019.94.6237.50.37719.90
100.119.75.0818.10.45817.68
105.219.65.3675.10.28617.82



 こういう芸当が標準機能でできるのは、フィットならではですね。
 普通の車だったら、測定できません。

 それほど神経質に走ったわけではありませんが、片道105.2kmをトータル燃費19.6km/Lで走破しました。最初の5.0km(暖機走行)の区間を切り捨てれば、残りの100.2kmをきっちり20.0km/Lで走行しています。
 100km地点近辺から、車内が暑くなってエアコンを少し入れた関係で、区間燃費が落ちています。


【結論】
 注目したい点が2つ。区間燃費のバラツキがかなりあるという点。もう一つが、4WD車の10・15モード燃費である20.0km/Lを超える燃費で走行できている区間がかなりあるという点です。一部の区間を除けば、ほぼコンスタントに16.6km/L以上で走行しています。

 現実問題として「インチアップでどれだけ燃費が落ちるか」という確かなデータは示すことができません。しかし、「インチアップしたからと言って、極端に燃費が落ちる訳ではない」という証拠は示すことができたと思います。


■詳細分析(水沢-盛岡)編

 今回のコースは、私が燃費測定に使う公式ルートです。本来乗員1名で測定するのですが、友人の協力を得て、こまかくチェックポイントを区切り、より詳細な燃費データを拾ってみました。したがって乗員2名。測定は2002/5/3(GW中)で、渋滞があちこちで発生。ほぼ間違いなく最悪の結果になることが予測できます。しかし、チェックポイントが非常にこまかいため、燃費を稼げる場所での稼ぎっぷりが後で確認できることから、手抜きはできません。で、結果。



 全体の平均燃費 17.7km/L、
エアコンなし区間で 18.5km/L

を記録しました。渋滞でほとんど動かなかった場所で1桁km/Lという燃費を記録しています。また、燃費が上がらないことから、途中からエアコンを切ったのですが、エアコンを切るまでの燃費の悪さも現れています。

 さすがに16インチタイヤ+エアコンとなると、トルク負荷が大きくなるらしく、エコ走行ポイントである「60km/h 1500rpm」のツボに入りません。60km/hでも1700〜1800rpmに上がってしまい、それで燃費が落ちるようです。

 エアコンの負荷は案外大きいので、エアコンは可能な限りOFFにしたいところ。車内が外気温よりもいつのまにか暑くなるようなら、「外気導入+送風のみ、ダイヤルは最冷」という方法で温度を下げられます。それで我慢できなくなったら、エアコンをONにするという具合にします。

 帰り道は、信号などで停止する毎に燃費チェックをする方法を採用しました。加速も原則として1800rpm程度までで、2000rpm以上は使わないようにします。



 帰り道は、地元の人か、土地を熟知した人しか利用しない道路を通ったため、信号の間隔も広く、燃費は上がりましたが、周囲の車と同じペースを保とうとすると、燃費が落ちます。マイペースを厳守すれば、16インチ4WDフィットでも22km/Lぐらいの燃費まで上げられそうです。


 後日(5/6)、協力いただいた友人が「盛岡まで連れて行け」ということで、燃費を気にしないどころかSポジション使いまくって盛岡に行ったところ、16.0km/Lでした。
 いろいろテクニックを使えば20km/L行くのに、燃料を無駄に使おうと努力しても16km/Lまでしか落ちないフィットは、ホント不思議な車です。



■詳細分析(水沢-仙台)編

 今回のコースは、仙台に買い物ツアーで行くコースで、大半が国道4号線。またもや友人の協力を得て、こまかくチェックポイントを区切り、より詳細な燃費データを拾ってみました。燃費計が累積表示のため、おおむね50kmを超えると変化しなくなって、区間燃費の誤差が大きくなってくるので、30〜40kmを目処にリセットしながら全ルート265kmを測定しました。
 測定は2002/5/5(GW中)。で、結果。







全体の平均燃費は18.3km/L。
往路19.8km/L、
仙台市内13.0km/L、
復路18.2km/L、

復路のうち燃費を気にしないで走った区間:
140km-174km区の燃費は16.8km/L、
140km-200km区の燃費は17.2km/L、

でした。

 元々、どういう要素の影響で燃費がどれだけ影響を受けるかを調べるはずだったのですが、もう、何が何だかわかりません。

■go-and-stop編

 『加速のために多量に燃料が使われるため、信号機間隔の狭い市街地では根本的に燃費が良くない』というのを立証しようと、信号機の間隔(発進から停車までの距離。うまく青信号で通過できた場合、その信号機を信号機として扱わない)を横軸にした燃費グラフです。
 基本的に田舎道なので、一度走り出すと所定の速度まで加速したあと、一定速度で走り続けられます。加速で消費された燃料によって低下した燃費を、一定速度巡航で回復するという走法ができ、1回あたりのgo-stop距離と燃費の関係がわかります。

 ※中には加速-減速-再加速パターンも含まれますが、実地データなので区別せずに載せました。





 基本的に信号機間隔が長いほど燃費が安定し、しかも良くなります。しかし、多くの道路の信号機間隔は1.5km以内となっていて、燃費は上がりません。

 おもしろいのが、ブルーの部分。あまり燃費を気にしないでぐいぐい(2500〜3500rpm)加速した場合です。確かに最低燃費は6.4km/L、平均で16km/L程度なのですが、強めに加速した分、立ち上がりが速く、信号機間隔が1kmを超えると20km/L台に乗る場合もあるようです。強く加速すると、すぐ前の車に追いついてしまい、前の車に速度を合わせようとアクセルを離したとき、巡航モード&燃料カットが働いて燃費がよくなるようです。
 燃費を気にして一定速度を保とうとすると、当然、加速が静かになるのですが、その分立ち上がりが悪く、加速時間がかかってしまったり、速度を維持しようとして燃料カットなどが働かず、1〜2kmというような短距離区間では、かえって燃費が上がらないという現象が観察できます。

 フィットは、元々ヨーロッパ市場への進出を狙った車なので、加速方法もヨーロピアンスタイル(MT車風に言えば、2速あたりで一気に目標速度まで引っ張りあげ、目標速度になったらトップギアに入れて定速走行する)が似合うのかもしれませんね。