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純シュミットは、全長が長くなるのが欠点ですが、140SSは元々サイズが短いので、フルサイズに戻しても全長が1000mmになるだけです。F8ぐらいのニュートン反射と思えば欠点でも何でもありません。 光学設計上は、補正板を前方に持っていくだけなのですが、物理的にどうすれば良いかが問題です。R130Sの筒を買ってきて、(寸法が少し足りないので)途中を切断し、トラスで結ぼうか、とも考えたりしたのです。これができる相談なのか、無理なのかは、筒の実物がないとどうにもなりません。 で、筒の実物を見ながら考えた結果、140SSの後部の筒を切断して延長筒とし、主鏡セルリングを加工して接合するという方法に決めました。 重心が接眼部に来ないと赤道儀に乗らないとか、きっちり1000mmで作ると車に収まらないなどの理由から、全長を10cmぐらい短くしました。無論、これにより収差が増えますが、必要な視野内ではエアリーディスク内に余裕で収まるほどの微々たるものです。少なくとも諸収差は、元々の140SSの収差量の1/5です。 シュミットカメラ化で光学的に問題になるのが「強い像面彎曲」ですが、実は、あまり大きくありません。 シュミットカメラの実際の像面彎曲量は、ニュートン反射と同じだからです。特別に強く彎曲している訳ではありません。シュミットカメラの像面が強く曲がるのは、シュミットカメラのF値が極端に小さいものが多いためです。 ニュートン反射は、コマ収差を持っているため、視界を広くできません。眼視用でもF5ぐらいが限度です。 ニュートン反射でF5より明るくする場合は、コマコレクタを追加しないと使い物になりませんが、シュミットカメラは、原理的に像面彎曲以外の収差が皆無のため、補正板で生じる色収差が無視できなくなるまでF値を短くすることができます。 その結果、一般のシュミットカメラが軒並みF2程度という、たいへん明るいものになります。その弊害が強い彎曲収差なのです。 140SSはF値が3.57で、最終的に口径を少し絞るのでF4を少々割る程度、ドブソニアン程度のF値です。だから、像面彎曲はそれほど大きくないのです。 2005/12/05
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ショートシュミットとライトシュミットを間違えると痛い目に遭います。 万一、140SSがライトシュミットの設計だったら、シュミットカメラのような改造をしても意味がありません。 ライトシュミットは、主鏡に偏球面鏡を使い、それに合わせて補正板も強い度のものを使った光学系です。エレメント配置こそショートシュミットカメラと同じですが、収差状況は全然違います。 ライトシュミットの収差は、像面彎曲がゼロ、平均非点収差ゼロ、コマ収差ゼロです。補正板(開口絞り)は、焦点の位置でないと本来の性能が出ません。 シュミットカメラは彎曲収差を除く4つの収差が除去されていますが、像面が彎曲するために平面フィルムが使えません。ライトシュミットは平面の乾板 (フィルム)を使えるようにするため像面彎曲収差を除去するようにシュミットカメラの補正板位置、主鏡形状、エレメント配置を見直したものです。 彎曲収差をゼロにした影響で、非点収差が発生します。 もし、ライトシュミットをシュミットカメラのように変更すると、コマ収差を増やしてしまい、視界が狭くなります。像面も彎曲してしまい、全く意味がありません。 140SSが、ライトシュミットではないという証拠をつかむ必要がありますが、カタログに「主鏡=精密球面」とあったので、まず、大丈夫でしょう。(非球面主鏡だったら、定価65,000円では済まないと思うのですが。) 2005/12/05
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筒自体は1日で組み立てました。工作といっても、筒を切断する、穴をあけるぐらいでしたから、簡単な方です。さすがに接眼部の穴をあけるのは、しんどかったですが。 組み立ててから悩んだのが光軸修正です。恒星を見てみましたが、前より明らかに球面収差が増大して良く見えないのです。100倍以上に倍率を上げると片ボケを起こしていて全く使い物になりません。原理的に無収差となっていて、しかも使っている光学素子は変わっていないのですから、前(ショートシュミット)より良く見えない訳がありません。 光軸のずれで、シャープさが損なわれているのが原因です。 ショートシュミットの場合、周辺像に強烈な非点収差が現れるので、その収差のバランスを見たり、焦点内外像が視野周辺で楕円になるのを利用して光軸修正ができました。ところが純シュミットの場合、一定範囲で焦点内外像が円形になるため、どこに光学中心が来ているのかさっぱりわかりません。 仮説を立て、仮説通りに光軸調整をし、実際に星を見て誤りだと気が付き、また考える...ということを1ヶ月ぐらい(といっても、天気が悪くて観察できた日数は3日ぐらい。)やって、やっと光軸を追い込むことに成功しました。 2005/12/05
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さて、「いわて星まつり2000in焼走り(2000/9/9-10)」に天文ガイドの望遠鏡鑑定団が来るとのことで、やっと光軸を出したばかりのこれを持っていきました。「高級品ばかりではおもしろくない」と広告にあったので、笑い物になるつもりで。(^^) きっと光軸が合っていないから、ついでに光軸を出してもらおう(光軸を出すテクニックを教えてもらおう)という甘い考えで行ったのです。ところが...。 「じゃぁ次、そのおもしろそうなやつ行ってみようか。」 .....。(しばし調整) 「お、これ良く見えるでしょう?」 (^^)ありがたい言葉をいただきました。でも実は、まだシンチレーションが安定した空では見ていないのですぅ。 鑑定団は、情け容赦なく欠点をずばずば言っていたので、非常に珍しい発言でした。 実際にロンキー像を見てみましたが、スクリーンの縞はまっすぐで、お鏡級でした。もっともF3.57で測定したので、許容範囲が非常に狭く、見た目では非常にわかりにくいのですが。(のちに、若干過修正だとわかりましたが…。) ついでに、シュミットカメラの光軸合わせ方法も教えてもらいました。ありがとうございました。 2005/12/05
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