調整編 その1

●補正板−主鏡間光軸調整

 シュミットカメラの光軸調整方法なんて、あんまり「みんなのためになる」とは思えませんが。

 ニュートン反射の場合、鏡1枚で球面収差が除去されているので、調整は簡単です。一方、シュミット系は、主鏡(+副鏡)+補正板で球面収差を除去するので、互いに光軸を一致させないと、研磨不良と同じ状態になり、球面収差が増えたように像がぼやけます。
 問題は、どの程度狂っているかを、どうやって調べれば良いのか、です。ニュートン反射と同じ方法で合わせていたのでは、補正板の中心と主鏡の球心が一致しているかどうかなんてわかりませんから、別の方法を使うしかありません。

 天文ガイドの編集部の人から教えてもらった方法は、補正板の中央にトレーシングペーパーを置いて、レーザーポインタで上から光を当てる方法です。純シュミットの補正板は、球面鏡の球心位置にあるので、トレーシングペーパーで拡散した光は、主鏡に当たって(光軸が合っていれば)正確に補正板の中央に焦点を結びます。ずれていれば、別の位置に焦点を結んだり、拡散してリング状に見えます。

 戻ってきた光は点にならずに大きなリングになって見えています。全長を少し短くしたことがよくわかります。この主鏡の像が補正板の中央で同心円状になればOKという訳です。

 もちろん、写真は説明のための実験であり、実際には正確にセンタリングした円形の紙を使って調整します。
 この方法で、主鏡の位置を決定します。となれば、後の調整は斜鏡でやるしかありません。

 斜鏡の位置は、かなりラフです。というのも、良像範囲が非常に広いため、少しぐらい狂ってもピンポイントな像を結んでくれるからです。

 ニュートン反射より難しいと思っていた純シュミットの光軸調整は、実は非常に簡単だったのです。さすがに納得のいく像にまで追い込むのは苦労しますが。


2005/12/05

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