■2003ネン

 雪代が落ち着くのを待ちきれず、かなり早い時期に偵察に出かけた。

ここまでは書いていなかったが、かなり以前から上流ではダムの工事が行われていた。ゲートが閉められていたり、発破作業のため一時避難をしなければならないような時もあったが、釣りへの影響はそれほど大きなものではなかった。いつからか上流へのゲートは完全にクローズされていたが、それでも川伝いに入ることでそれは解消されていた。

ちょうど現場の作業員が出勤時間ということもあり、ゲートが開いていたので工事車両のドサクサに紛れて現場に立ち入った。「終わったかな」そんな言葉をアタマに浮かべずにはいられないほど、工事は進行し、川へのダメージも相当なものであることは、工事の全貌を見渡せる山頂から理解することができた。

それでも何度か下流域には行ってみた。いつもであればドライフライに虹鱒が反応する季節、しかし、日曜日こそ工事は休みなので水は綺麗だが、川底の石は汚れている。月曜から土曜まで6日間も川の水が汚れていれば魚は住みつかないだろう。

ならばと工事現場よりも上流域を目指した。正直、ゲリラ作戦である。最初はY君と敢行した。

ゲートの下にMTBを通し林道をこいだ。幸い今日は工事関係者は誰もいない。なんなく上流部への入り口に辿り着いた。上流域は昔と変わらず、大きさはもともと期待していないが、十分に楽しめるものだった。大き目のポイントには必ず虹鱒が入っていた。4時間くらい上った地点で引き返した。

2回目はHさんとの敢行、今回は6時間の遡行を予定していたので、深夜未明に現地に着いた。当時、工事は24時間体制、真夜中の山間部に煌々と光るサーチライトは「未知との遭遇」、いや、そんな例えをしてはスピルバーグに失礼だ。ただただ不気味な光景だった。

サーチライトの光から逃れるように入り口を目指し、上流へのアタックを開始した。午前9:00を過ぎるあたり方魚の反応は良くなった。歩けば歩くほど、その景観は素晴らしさを増して行った。魚もしかりだが、登れば登るほど先に行きたい気持ちに駆られた、なんだか引き寄せられているようなそんな気分。

次の函を越えたら引き返そう、そう何度も二人で言いながら足は止まることはなく、タイムアップの時間を迎えた。感覚的にはあと少しで「魚止め滝」と感じた。山の天気は変わりやすく、日が暮れるのも早い。日帰りではここまでが限界と判断し、復路を歩いた。往復10時間位だろうか、到着地点に着いた時、あそこまで行くのはもしかしたらこれが最後かな、と考えたらいわれの無い悲しさを覚えた。

 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
   
   
   
 
   
     
     
     
     
   
   
       
       
     
     
 
       
       
       
       
       
       
     
   
 
 
   
       
       
     
     
 
       
       
       
       
       
       
       
   
 
 
   
       
       
     
     
     
     
     
     
     
     
     
 
 
 
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
   
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