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伝えたくて

girlsサイド
別に、この感情が直ぐに覚醒するなんて思ってもいなかった。
好きな男子がいたとしても、長々と友達でいて、それからすくすくと実って、熟成したところで告白するものだと思っていた。
だから、これを一目惚れというのだと思う。
目の前にいる彼は、こちらをチラッと見る。
様子を窺う様に、私を眺めるように、ただそれを一瞬に済ませる。
その眼を見るだけで、心臓の鼓動がドクンッと胸から飛び出してくるくらいに苦しく鳴る。
ドクンッ、ドクンッ。
次第にその速度は増していく。
止まることを知らないミニカーのように、一度ネジを回し地面に付けると走って、たとえ壁があっても、ぶつかってしまうかのように。
でも、きっと届かない。
一瞬の出来事。
これが、初恋なのだと思えば、少ない期間の思い出にも満たないだろう。
いや、初恋というよりも出会いという表し方が適切ではないだろうか?
私には、わからない。
けれど、この気持ちを伝えたい。
それだけは…わかる。

boysサイド
俺が、それを見たとき一瞬心臓に異変を感じた。
とてもつもなく、苦しくそれでも心地の良い気分にさせてくれるそれをもう一度味わいたくて、その発生源を見る。
彼女が、こちらをクリクリとした瞳で潤々とした目で見ている。
好きだ。
という感情か、いやそれとも
一目惚れ
か。
それは、どちらにも値する事ではないだろうか?
その二つを分ける事に意味はないのだろう。
しかし、自分の感情をコントロールするために、その無意味な発想を捨ててはならなかった。
要は、しりとりのようなもの。
途中でわからない事柄によって、例えば「む」や「ぬ」などのあまり耳にしない物が一番最初に来ている時などには、自分の感情を整理するために、試行錯誤を繰り返し答えにたどり着く他はないだろう。
時間制限があるとすれば、なおさらだ。
自分だけに問う物に対して、落ちつくというとそれは高難易度でもあるという事である。
僕は…彼女に一目惚れしているのだろうか?
チラリと見えただけで、その娘を意識し始めた。
自分が、自分で無くなってしまうような…何かがブチッとちぎれたような感覚であった。
伝えたい事は、ただ一つ 好き という事。
この思いが、伝える事ができると…ただ、そう信じるしかない。
モヤモヤ〜とした空気を二人の視点から表してみました。
詩とかではなく、ただ単にネタとして使おうとして廃棄したものです。

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