AC(アダルト・チルドレン)とは、元々
「アルコール依存症の問題を抱えた親に育てられたため、何らかの傷を負って成長した大人」と言われていました。
最近は「親との関係において何らかのトラウマを負ったと考えている成人」
「機能不全家族のもとで育ち大人になった人」と定義されています。よって、ACは病気ではありません。
自己肯定感が著しく低い、自分に自信がもてない子は児童期に親に認めてもらえなかった子です。
子どもの頃、親に誉められた記憶があまりないですか?
*** 特徴 ***
1. 周囲が期待しているように振舞おうとする「見捨てられ不安」に脅かされているため、常に他人の評価を気にする。
周囲の期待を予測し、それに沿おうとする生き方をする。2. 何もしない完璧主義者である
ACは非常に自己評価が低く、自尊心が損なわれています。
そのことが完璧主義をもたらし、かえって何もできないという状況を招きます。
何か行動を起こせば、自分の中で厳しい自己批判が起きたり、或いは他人から批判される事を恐れています。3. 尊大で誇大的な考え(や妄想)を抱えている
ACの中には、幼児的で自己愛的な誇大傾向を持つ人がいます。
自己の評価が低く、他人に自己の真価を知られる事を恐れているため
孤高を気取って高慢に振舞い、自分に従う人のみ周りに集めたりする。4. 「NO」が言えない
ACは見捨てられるのが怖くて、他人からの誘いや要求に対して「No」と言えない。
他人の言いなりになっている関係が重荷になり、引き篭ることになったりもする。
人間関係が長続きせず、行動に一貫性がありません。5. しがみつきを愛情と混同する
ACは孤独恐怖のために、自分より弱い人、自分の世話を待ってる人に出会うと
その人を支配し、離れられないようにします。
これが「共依存的な」しがみつきです。
支配欲と愛情を混同してしまいがちなのです。6. 被害妄想に陥りやすい
他人に良い評価をされているとは思えないACは、他人の言葉や振る舞いの背後にある
悪意を読み取ろうとする「マインド・リーディング(空想的読心)」を絶えず行う。7. 表情に乏しい
ACは不安、悲しみ、寂しさ、怒り、喜びなどの感情を認知することが苦手で
それを表現することに恐怖さえ感じています。
そういった感情を認知したり表現したり、ということが許される環境で育っていないからです。8. 楽しめない、遊べない
ACは生活の中に楽しみを見出す事が苦手で、楽しむ事に罪悪感さえ抱いています。
他人が自分をどう思ってるかが気になり、心から楽しむ事ができないのです。9. フリをする
ACは楽しくないのに楽しく振舞ったり、怒っているのに気にしないフリをする。
自分自身に対して嘘をつき、自然な感情を押し殺して生きているのです。10. 環境の変化を嫌う
長い間、親からの侵入に晒されながら、やっとの思いで「偽りの自己」を作ってきたACは
保守的で、それまでの生活習慣に固執する。他人からの強制による変化に反発します。11. 他人に承認されることを渇望し、寂しがる
自己評価の低いACは、「あるがままの自己の受け入れ」を得ることは望めない、と
早々に諦めてしまいますが、それ故に非常に強くその受け入れを望んでいます。
ACは常に寂しさを抱え、人生を苦しいもの、生きる価値のないものと感じます。
その失望は「愛を求める他者」に対する怒りや恨みを鬱積させ、これが爆発すると暴力に発展する事がある。12. 自己処罰に嗜癖している
親の期待を背負ってきたACは、その期待から外れた事を自覚すると自己処罰の感情に囚われます。
具体的には、抑うつや無気力、窃盗癖(捕まる事が処罰)、リストカット、
拒食症や過食症、自己破壊的なアルコールやドラッグ、自殺願望などに見られます。13. 抑うつ的で無力感を訴える。その一方で心身症や嗜癖行動に走りやすい
ACは常に他人に認証されない怒りと寂しさを抱え、その怒りを喘息や潰瘍性大腸炎などの
「心身症」に転換したり、その寂しさの苦痛を「退屈感」へと感情麻痺させていきます。
そして、「退屈感」から「嗜癖」への道に走りやすく、その対象は
物質(アルコール、ドラッグ、食物など)、行為(仕事、ギャンブル、窃盗、買い物、食事など)
人間(恋愛依存、共依存、子供への侵入など)があります。14. 離人感が伴いやすい
離人感とは「自分が自分でないような感じ」
「自分が何故ここにいるのかわからなくなった感じ」
「自分の行為が自分から発しているように感じられず、それを漫然と見ている自分がいるような感じ」
「自分と外界とが薄い膜に隔てられている感じ」などです。
ACは他にも、今まで自分の生活の中で思い出せない部分や人格から隔離した部分を沢山抱えています。
(解離性障害)
*** 性格 ***
1. 「これでいい」との確信が持てない2. 物事を最初から最後までやり遂げることが困難である
3. 本当のことを言ったほうが楽なときでもウソをつく
4. 情け容赦なく自分に批判を下す
5. 楽しむことがなかなかできない
6. 真面目すぎる
7. 親密な関係を持つことがたいへん難しい
8. 自分にコントロールできないと思われる変化に過剰反応する
9. 他人からの肯定や受け入れを常に求める
10. 他人は自分と違うといつも考えている
11. 常に責任をとりすぎるか、責任をとらなさすぎる
12. 過剰に忠実である。無価値なものとわかっていてもこだわり続ける
13. 衝動的である。他の行動が可能であると考えずにひとつのことに自らを閉じ込める
(ジャネット・ウォイティツによる)
*** 暗黙のルール ***
1.問題について話してはいけない
2.感情を率直に表現してはいけない
3.いい子にならなければ愛されない
4.自分勝手な子は愛されない
5.ありのままの自分には価値がない
※ 上記以外のACを生み出しやすい家
夫婦の不仲・親の不在・嫁姑の確執・過干渉など、常に緊張と不安を強いられる家庭
*** 役割 ***
■ヒーロー(英雄)芸事・スポーツなど世間から評価されると両親の冷たい関係が和らぐことから、親の虚栄心のために頑張り続ける。
いわゆる「エリート」と呼ばれる子供たちに多い役割。
家の問題を忘れ、また挽回するために、家の外でがむしゃらに活躍しようとする。
全てを犠牲にして実績を上げようとするので心の温かさを育むことが出来にくくなる。
「成績がいいのが価値ある人」と思い込み、そうでない自分を許せない。
■スケープゴート(犠牲の山羊)「家の問題は全てはこの子の所為」という幻想を抱かせ、家族の真の崩壊を防ぐ役割。
非行に走る・怪我や病気・精神病、人格障害を背負うなど、自らを生け贄にして
一家の困り者の役をやる事で両親の関心を自分に向け、夫婦の対立を暖和する。
問題を起こす行動により、体を張って家庭の問題を外に出す。
家庭の内外で虐待・いじめのターゲットになりやすい。長男に多いと言われている。
■ケアテーカー/プラケーター(慰め役)なだめ役。小さいカウンセラー。
両親や兄弟の面倒を見る・手伝いをするなど、いつも周りのために考えて動き回る。
暗い顔をして溜息をついている親(多くは母親)を慰める役割。
末っ子に多いと言われている。
■リトル・ナース(Little Nurse)家の中の問題を何とかしようと奔走する。
犠牲になった家族を守り、世話をする。
家族に波風立てず、争いを避けることを目的とし、常に自分のことをしないで家族のために何かをしようと考えている。
自分を失っている状態。長女に多いと言われている。
■クラン/ピエロ(道化役)お笑い役を演じることで、食卓の沈黙を何とか和らげたり、家族の安定を図ろうとする。
一人でふざけておどけたり、バカなことをしでかしては関心を自分に引き寄せ、兄弟姉妹が犠牲者になるのを阻止する。
深刻な状況でも笑って誤魔化したり冗談で済ませようとするが、実は常に家族や人の顔色を見ておどおどしている。
家中を陽気にするために、 本当は悲しくても明るく振舞ってしまう。
常にその場に合わせた感情表現をするので、本当の自分の感情が分からなくなってしまう。
■ロスト・ワン(いない子)「忘れられた子ども」としてひっそり存在することで家族内の人間関係を離れ、傷つくことから逃れる。
家族内の人間関係を離れ、身の安全を守る為、見ざる聞かざる言わざる役に徹してしまう。
■イネイブラー(Enabler)全て親の為、家庭の為。
いつも自分の感情を抑圧して我慢している。
家の中の用事を親に替わっていろいろとする。
親の配偶者役、未熟な親に代わって兄弟の親をする。
自分の好きな遊びもせず、家のことばかり考えて行動する。
■ロンリー(Lonely)親や家庭から理解されない悲しみを背負いひきこもる。
悲しみに満ち溢れている。
■プリンス・プリンセス(Prince・Princess)親は子供の意思を無視して人形のように可愛がる。
自分の意思を無視して過剰に溺愛される…これは精神的虐待となる。
役割を背負った子供は、自由に楽しい子供時代を過ごすことが出来ない。