<補足説明>

よくある補助金の勘違い
「会社を立ち上げたのだけど、補助金はもらえないのか?」

創業前の個人に出る補助金も、あります。
しかし、補助金を受けるためには、「補助対象事業」という目的となる事業が必要です。ただ何となくもらえるわけではありません。
国はアベノミクス政策の中で、創業向けの補助金をかなり拡充しました。
しかし、国の「創業・第二創業促進補助金」でも、経営者本人の人件費は対象外ですし、不動産や車両の購入費、会社登記の費用、パソコンなど汎用性の高い備品購入費、消耗品代などは出ません。
内装工事や機械設備などの費用は対象となっていますが、当座は創業者の全額負担となります。財政基盤の小さい創業者にとっては大きな負担になると思います。
平成27年度はかなりの数が採択されていましたが、平成28年度は門戸がきわめて狭くなり、競争率が著しく上がっています。

都公社も創業者向け助成金を用意していますが、インキュベーション施設の入居者や創業のための学習を修了している者など、一定のトレーニングを経ている人が対象となります。
企業を立ち上げることは難しくありませんが、その経営を軌道に乗せるのには大変な努力が必要です。
一説によれば、開業した会社が10年後に生き残っている割合は1割とも言われています(出所:会社を成長させるために絶対に必要なこと 佐藤昌弘 フォレスト出版)。
行政としても、リスクが高すぎて、それに公費を充当するのには、やはり躊躇してしまいます。
税金でばくちを打つわけにはいかないのです。



前の事業をたたむための費用も第二創業では対象としています。たしかに必要な経費ですが、個人的にはやり過ぎのように思います。

「事業に行き詰っているのですが、何か補助金はありませんか?」

ありません。この理由も、原資が公費(税金)だからです。
経営に窮した企業に対し、その窮状を救う手立ては必要でしょう。ですが、だからといって企業活動の赤字にやみくもに税金を投入することはできません。
逆に、事業の成功が期待できる場合は、補助金を受けられる可能性が高まります。
企業が発展すれば、日本の国力も上がるし、税収も上がり、雇用も増えます。だから、成長する企業活動に対し税金を投入する大義名分が成り立つのです。
つまり、胸を張って、儲かる仕事を作ってほしいのです。そして、税金をたくさん払っていただいて、私たちに恩恵を与えてほしいのです。
だってそうでしょ。補助金に投入されているのは、私たちの血税なんですから。
それに、当座の事業資金に窮するような状況では、「とりあえず全額を自己負担しなければならない」補助金制度は利用するのが難しいと思います。

しかし、ここで一つの課題が発生します。
景気の良い成長企業に税金から補助金を出す名目が立たないのです。企業も、経営状態が好調なら面倒くさい補助金をもらおうと思いません。
そこで、行政側は、企業に何らかの「事業」をやってもらうように誘導し、それに対して補助金を交付します。
行政→企業の新事業→企業の業績の向上、という図式です。
ところが、新事業が、ただちに利益を生むとは限りませんし、失敗してしまう可能性もあります。
つまり、行政→企業の新事業→企業の業績の“悪化”、という、本来なら行政も企業も望んでいなかった結果を招いてしまうことがあるのです。しかも、しばしば。
このため、企業の新事業→企業の業績向上→行政からの報奨金的な補助金、という新しい図式が作れないか、ということも私は本論で展開してみました。
やればうまくいくと思いますが、行政側が受け入れてくれる可能性は、あまりありません。残念ながら。


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