<補足説明>

補助金?・助成金?・交付金?→
補助金、助成金、交付金って、どうちがうの?

いきなり難しい話で恐縮です。一般的に違いはありません(というより、言葉の定義がしっかりしていません)。
実際のところ、補助金と助成金の区別は今ひとつはっきりしていません。
東京都中小企業振興公社では、補助金という言葉を使わず「助成金」と称しています。
しかし、ネットなどで検索すると、 補助金は、選考によって採択されなければもらえないし、支出を証明する証憑類(役人はかっこつけて「エビデンス」と呼びます)が必要。助成金は、資格を満たせばもらえる、とされています。
この区分けでいうならば、都公社の助成金は、明らかに「補助金」です。
たぶんずっと昔に、「補助って、何か不足分を補うっている感じでイメージ良くないじゃない。助成って呼んだ方が、成長を助けるって意味で感じがいいよ」と考える人がいて、そうなったんだと思います。



役人はこういう言葉の言い換えが、大好きです。

福祉や雇用分野では「助成金」(ホンモノの)が一般的です。

交付金と補助金の違い

上記基準でいうところの「助成金」に近いものに、「交付金」というのがあります。
交付金というのは、一般的に「目的にかなっていれば、使い道に制限がない」お金のことで、「賞金」「奨励金」「金一封」「資金援助」などの名称で提供されます。
一頃、「補助金はいろいろと書類を揃えるのが面倒だから、交付金方式にした方がいい」という主張が行われ、事実、交付金に名称変更した補助金も出ました。
しかし、こういったものもよくよく見ると、ガチガチに使用基準が決められているものが多く、「交付金にしたのに、補助金と何ら変わっていない」「補助金の時の方が、使いやすかった」といった場合も少なくありません。
役所というのは、何かと規制をかけたがるものなんです。
また、予算確保の面から見ると、「何にでも使えるお金」は、大きな金額が積めません。



東京商工会議所では「勇気ある経営大賞」というのをやっていて、選りすぐりの企業がその名誉を受けるのですが、この賞金は、大賞200万円、優秀賞50万円、特別賞30万円です。

これに対して、補助金の額(限度額)はというと、少額だと数十万円、大きなものだと1千万円を越える額になります。研究開発費などが対象となるからです。それなりの予算を確保するためには、「補助金」で予算要求した方が威力があります。
役人の立場からすると、「本当なら交付金の方がこっちも楽ちんなんだけど、ただのバラマキと批判されてしまうし、さほどに金額も積めない。だったら、補助金で要求した方が得だ。その方が、いろいろ規制もかけられて、あれこれ口を突っ込むこともできるし・・・」と考えるわけなんです。
役所というのは、何かと規制をかけたがるものなんです。
そんなこんなで、交付金方式はちっとも広がりません。
それでもって、予算確保の名目のために、事細かに使途が制限され、それが故に、企業側もチェックに当たる職員側も苦しむことになるんです。

しかし、ここに一つの問題が生じます。
そんなこんなが続けば、交付金方式が馴染むような商業・サービス業向けの補助金が生まれてこなくなるからです。
税金は同じように払っているのに、商業分野の企業はその恩恵をわずかしか受けられないのです。
本論では、あえてそれに挑戦しようとしています。

「本格的な商業・サービス業向け補助金を作る」とは、ある意味、“交付金型補助金”を作るということになります。

商業・サービス業の方々は口々におっしゃります――「額は少なくてもいいから、使い勝手の良い補助金制度が欲しい」。
商業・サービス業向けの補助金を作るのは、今の補助金制度の考え方を抜本的に変えなければできません。 前例踏襲や横並びの発想を切り替えないと、とても作れるものではありません。


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