<補足説明>

補助金は何にでも使えるものではない〜補助金のキモは「補助対象経費」にあり
補助金には、決められた使途というものがあり、補助対象経費という名目で細分化されています。 この決め方が、制度設計の肝になります。

例えば、補助対象経費に「原材料費」という項目があったとします。
これだけ読んで「しめた!」と感じる経営者さんが多いのでは。
「通常は1000万円の材料費がかかる製品なのに、補助金で500万円補填されれば、製造原価は半額ですむ!」――なんて、そんなうまい話が転がっているはずはありません。
補助対象経費の「原材料費」は、よくよく読むと「試作品(しかも最低必要な数だけ)を作るための材料の購入費」であることがわかります。 そして、このことから2つの落とし穴に気づくのです。
(1) 補助金は、量産用の費用には出ない。
(2) 補助金は、新規に開発する製品にしか出ない(開発補助の場合)。

例えば、商業・サービス業が対象となっている補助金があったとします。 商業・サービス業で新しく事業を開始するときに何が必要か、考えてみましょう。
新規開業となると「内装経費」に補助金が投入できるかがポイントになります。 国の創業者向けの補助金の採択案件を拝見しますと、飲食業と理美容業がかなりの割合を占めています。こういった業種を創業しようとした場合、「内装経費」は必須です。 しかし、実際は、「内装経費」は出たり、出なかったりします。
創業者向けの補助金ですと「内装経費」が対象になっていても、すでに開業している企業さん向けの補助金では「内装経費」が対象外になる、ということもあります。


国の創業補助金だと、内装工事費・外装工事費をはじめ、店舗の購入経費も対象となります。

設備購入も微妙です。
「障害者のための補助具を作るために製造機械を購入したい」と言って補助金を受けたが、目論見がはずれて補助具が売れない、ということは現実に生じ得ます。 このとき、同じ機械が、「子ども向けの玩具」を作るのに使えるのに気づいたら、どうしますか。 後者の生産活動をする場合、補助金の返還が必要です。目的外使用は許されないからです。 しかし、せっかく導入した製作機械を遊ばせておくことの方が補助金の無駄遣いではないか・・・、といった悩ましい問題が起こります。
そういった場合を考えて、汎用性のある設備、例えば乗用車とかパソコンなどについては対象項目から外すという補助金も多いようです。

「当初、補助金で購入した機材を、役所の目が届かなくなったら別目的に使いたい」と経営者さんは考えるようです。このため、行政ではその後も継続的に状況確認をします。

また、商業・サービス業の事業経費で大きなウエイトを占めるのが「人件費」です。 補助金によっては、「人件費」が対象となるものもありますが、数は多くありません。

「新規事業に補助金が出ます」というのがうたい文句であっても、「内装経費が出ず」「汎用機器が買えず」「人件費も出ない」のでは、商業・サービス業にとって有難味は感じられません。

古い設備を最新設備に換装する場合に、補助金は出ないものの、銀行から借りたお金の利子の一部を補填するといった利子補給制度も、最近では出てきました。
補助金申請に伴う煩雑さを回避できますし、設備が高額である場合にはかなりの額の援助になることもありますので、検討に値すると思います。


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