<補足説明>

業種の分類とは別に、次のような職業の扱いはどうするか、考えておく必要があります
<ひじょうに重要>
1.いわゆる士業(中小企業診断士、社会保険労務士、弁護士、司法書士、公認会計士、税理士、弁理士、行政書士、技術士など)、コンサルタントを業として行う人、の申請を排除するかどうか。

このような人はまさしく商業・サービス業ですが、同業者同士が申請を持ち合ってしまうと、きりがなくなってしまいます。
しかも、申請書を書くのは得意中の得意。
こうした事業主を、ごく普通の中小企業の経営者と競争させていいのか、と思うと疑問があります。
同じく悩ましいのが、マーケティングの調査会社。これらも、ほとんどコンサル同様ではないか、と思います。
また、医療機関、個人開業医を排除するかも決めておく必要がありますが、老人介護施設とか訪問介護事業といった近隣事業もあります。その取扱いも事前に確定しておかなればなりません。

募集案内上の表現も、「できません」なのか「ご遠慮ください」に留めるのか、悩むところです。
実際にニーズはあるらしく、ご要望を受けるときもあります。採択されている例もあります。それだけに、予め明確にしておく必要があろうかと思います。

「ご遠慮ください」と書いてあるのに、「禁止規定ではない」とゴリ押しして申請する会社もあろうかと思います。そこのところは審査官の評価次第ということになりますね。

2.個人事業者の取扱い

「個人事業主の場合は、税務署への開業届出をしている者であり、かつ青色申告者に限る。」としますが、開業届の控えをお持ちでない方は、かなり多いです(コピーを取らずに原本を提出してしまっている)。
都公社では、「都内税務署に提出した個人事業の開業・廃業等届出書の写し(税務署受付印のあるもの)により都内所在等が確認できること。」を要件としています。
本事業案では、「少なくとも1人以上の従業員を有する」ことを応募条件にしていますが、政策的にはかなり悩むところです。

3.創業予定者の取扱い

個人事業主なら、まだいいのですが、「近い将来、東京都内で開業を予定しています」という方は、受け入れるのかどうか、悩みます。

本事業案では、創業予定者は対象としていません。

4.同一テーマ・内容で、国・都道府県・区市町村等から補助を受けている場合

排除要件として項目立てすることは簡単ですが、実際の処理はけっこう難しいです。
まず、最初から応募させないか、採択された場合はいずれかを選ばせるか、という2方向があります。
しかし、同じ団体の別補助金なら応募しているかどうかわかる場合もありますが、国などの他団体にテーマ名を変えて応募していた場合、それを事前に排除できるか、難しいです。
申請者は、「あれとこれとは、全然別モノ」と主張するでしょうし。
採択後にどちらかを選ばせるという方法の方が現実的かと思いますが、そうすると1件採択が減ってしまうことになります。“そうならば合格するはずだった”誰かが泣くことになります。

5.いたずらに射幸心を煽る事業(パチンコなど)を排除するかどうか。

予め「公的資金の補助先として、社会通念上適正を欠くもの(遊興娯楽業のうち風俗関連業、ギャンブル業、賭博等)は対象外」という記載をしておく必要があります。
パチンコ店の経営改善事業というのも十分あり得ると、考えた方がいいと思います。

6.人の身体に影響を与える事業内容(サプリメント、化粧品、医薬品の開発など)

これらは、関連法規の適用がひじょうに難しく、受付にあたって追加条件(特定保険料食品の認定、機能性表示食品の表示、医薬品医療機器等法の認証など)を求めるべきだと考えますが、そこまでハードルを上げると、ほとんどのケースでは申請できなくなります。
こういう内容だと、審査する側も躊躇します→

機能性食品などの判断基準も揺れているようです。

7.フランチャイズチェーンを入れるか

フランチャイズの傘下に入っている店はフランチャイザーが支援するのが原則ですから、入れないのが普通ですが、これもきちんと記載しておくべきだと思います。
ただし、看板だけ有名店の許可を得て使っているけど、実態はまったくの個店、というお店もあるらしいので、そのへんの判断は難しいところですね。

8.宗教活動・政治活動を専ら行う団体

明示しておかないと、ご遠慮いただけなくなる危険があります。

9.暴力団関係者

除外する旨、あらかじめ明記します。

10.法令に抵触した企業

「過去5年間に重大な法令違反がないこと」といった記述となります。個別に「〇〇法規を遵守していること」と書く場合もあります。
法規ではありませんが、「企業化状況報告を提出していない」といった、内部の決めを無視しているという場合もあります。

11.税金滞納者

法人事業税、法人都民税等を滞納している場合も当然除きます(都税事務所との協議のもと、分納している期間中も申請できない)

12.事務処理能力に心配がある者

「総勘定元帳及び現金出納簿等の会計関係帳簿類を整備していること」「労働者名簿、出勤簿及び賃金台帳等の労働関係帳簿類を整備していること」などの記載となります。

13.その他

これだけいろいろなケースがあるので、「支援団体が、公的資金の助成先として適切でないと判断するもの。」という包括項目を作っておいた方がよいと思います。

応募要件は大切なところですから、募集案内にできるだけ詳しく記載しておくべきです。「落選させてしまえば、どっちみちわからない」という安易な考えは、慎むべきです。

ちなみに、都公社の「革新的サービスの事業化支援事業(h28)」の募集要項では、このような記載になっています。

ア.同一テーマ・内容で、公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受けない者
イ.「東京都暴力団排除条例」に規定する暴力団関係者又は遊興娯楽業のうち風俗関連業、ギャンブル業、賭博業等、公社が公的資金の助成先として適切ではないと判断する業態のものではない者
ウ.過去5年以内に刑事法令による罰則の適用を受けていない者(法人にあってはその代表者についても同様)
エ.過去に公社・国・都道府県・区市町村等から助成を受け、不正等の事故を起こしていない者
オ.事業税等を滞納していない者
カ.東京都及び公社に対する賃料・使用料等の債務の支払いが滞っていない者
キ.民事再生法又は会社更生法による申し立て等、助成事業の継続性について不確実な状況が存在していない者
ク.助成事業の実施に当たって関係法令を順守し、必要な許認可を取得する者
ケ.過年度において本助成事業の交付決定を既に受けている者は、申請年度において本助成事業を完了、中止又は辞退している者(助成対象となる期間中1社1採択)
コ.サービス担当マネージャーによる助成事業の進行管理等に対応することが可能である者



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