<補足説明>

「みなし大企業規制」は時代遅れではないか
たいがいの補助金には「みなし大企業」という考え方があって、役員就任や資本投入の項目で大企業の影響が大きいと、中小企業向けの補助金が利用できなくなることがあります。

募集案内には、次のように定義されています。
「大企業が実質的に経営に参画」とは、次に掲げる事項に該当する場合をいう。
・大企業が単独で発行済株式総数又は出資総額の2分の1以上を所有又は出資している。
・大企業が複数で発行済株式総数又は出資総額の3分の2以上を所有又は出資している。
・役員総数の2分の1以上を大企業の役員又は職員が兼務している。
・その他大企業が実質的に経営に参画していると考えられる。

補助金の世界はまだ、昭和のままです。
「中小企業でなければ、補助対象とはならない。大企業から必要以上の資本投入があれば、それは“みなし大企業”であって、申請資格を失う」ということになっているのです。
昭和の高度成長期、わが国では、「中小企業と大企業の格差是正」というのが、政策課題として最重視されました。
しかし、平成に入ってから、「公費を投入して弱い企業を下支えしているばかりでは、国際競争に勝てない」という考え方が出てきて、護送船団方式が捨てられました。
おまけに、<中小企業>の定義が、「資本金かつ従業員数」から、「資本金または従業員数」という、アッと驚く定義変更が行われまして、今や、「都内の企業の99.7%が中小企業」と呼ばれるようになっています。

私は、この規制の根拠法令がどこにあるのか、ずいぶん探したのですが、見つかりません。
どうも、古い商法特例法(株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律)に根拠があったようですが、これは監査などについて決められたものでした。
会社法の成立にともない、商法特例法も今は無くなってしまったようです。ですが、会社法にはみなし大企業の規定はありません。
つまり、それぞれの制度に個別に規定されているので、無くならずに続いている規制というのが実態だと思います。

たしかに、大企業が補助金ほしさに自社の一部を分割して子会社化することは、皆無ではないと思います。
しかし、今時、そのような姑息なことをしてまで公費を奪取するような企業が生き残れるでしょうか。
もし、そのような関係だということが明白なら、審査段階で落とすことも可能です。

私の肌感覚としては、同じ中小企業でも、従業員300人の製造業と小さな商業・サービス業とでは、かなり受ける印象は違います。それでも同じ中小企業なんです。
ですが、その小さな商業・サービス業に、大手銀行などが資金援助すると、いきなり「みなし大企業」になってしまう。
どうも、違うんじゃないかな、と以前から気になっていました。
ここでは「商業・サービス業向けの補助制度」として、最初から規模の小さなところをターゲットにしているのですから、みなし大企業の規制は取っ払ってしまっていいのではないかと、思います。


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