<補足説明>

商業・サービス業では事業開発と販路開拓が同時進行する
都の産業振興補助金の考え方では、企業の事業展開は下の図のように、創業(開店)段階、製品開発段階、販路開拓段階に分かれていることになっています。
これに対して支援策も、創業支援、開発支援、販路開拓支援に分類されます。
かなりの長期プランを立てて製品を世に出す「研究開発型」の企業の場合、このようなキレイな区分に分けられることも、あるでしょう。
しかし、実際の企業活動はこのようにすっきり分かれていません。
一般的には、創業の準備をしながら、製品の開発も行い、発売後、販路開拓も進めながら、製品の改良を進めていく、というのが普通でしょう。
企業は、その中でユーザーのクレームを汲み上げて後続製品に活かしていきます。
常に複線的に事業を進めていかなくては、経営は行き詰まってしまいます。
普通の会社だと、販売先を考慮せずに製品開発一辺倒になるようなやり方だと、経営の継続はムリだと思います。
せいぜい一発屋で終わりかな・・・と。
製造業でも「マーケティングを探りながら製品開発する」と言っているくらいですから、商業・サービス業では、なおさら柔軟な対応が求められます。
このため、支援制度もそれに合わせたものにならないと、ひじょうに窮屈なものになります
このようにキレイに分かれているのだ、ということを前提とした場合、同じ企業に段階的に補助金を出すことも可能になります。そういうメリットは否定できません。
だけど、それって中堅規模以上の製造業だけだと思います。
ところが、補助金の場合、「補助対象期間」が限定されるというルールがあります。「この支援制度が補助対象としているのは、製品開発の着手から商品が市場に出る前までの期間に支出された経費です」といったように決められます。
そうなると、開発補助金には、創業要素に含まれるもの(ex.新店舗のオープニング費用など)、販売促進のために支出されるもの(ex.大売出しの宣伝チラシなど)が補助対象から除かれることになります。
しかし、マーケティング調査、新製品のネット告知、展示会出展、テストマーケティングなど、簡単には分類できない経費もあり、事務方は「自分の作ったルールに自分が苦しめられる」という呪縛に陥ります。
したがって、本格的な商業・サービス業向けの補助金を作るとすれば、この仕組みを修正する必要があります。


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