<補足説明>

財産処分・生産転用・目的外使用
<財産処分>
補助金で買った設備などを売却した場合は、その収入の一部(補助金額が限度)を支援団体に納付しなければなりません。
当たり前ですが、「単価50万円(税抜き)以上の場合」といった、一応の目安が示される場合もあります。

財産処分を余儀なくされている状況では企業は相当経済的に困窮していますから、知らない間に売られてしまっていたり、企業自体が倒産していたりして、回収できなくなるおそれがあります。
とはいえ、処分した場合はその分のお金を返納するというのが、原則になります。つらい仕事になるので、回収する側も覚悟が必要です。

この規模の会社で何千万という補助事業を完成するのは難しいだろうと直感した場合は、やはり、採択しないのが一番だと思いますが、その差配を事務方が下すことはできません。

<生産転用>
試作品開発用に導入した設備が、開発された当該製品の量産用として引き続き利用できる場合は、事前承認を得ることを条件に量産用として活用できるという制度もあります。こちらは、「生産転用」と呼ばれます。
申請が採択されたなら、事務局に確認しておくと良いでしょう。
(cf.「補助事業等により取得し又は効用の増加した財産の処分等の取扱いについて」(経済産業省 h21.3))

【参考】全国中央会の承認基準
全国中央会会長は、申請内容を確認し、以下の各号のいずれにも該当すると認めるときは承認するも のとする。
@承認申請書別添に記載された内容が、補助事業者から提出された実績報告書に記載された試作開発 の成果と関連するものであること。具体的には別紙1試作開発等実績報告書の「・・・試作開発等の 結果」の各工程(試作開発の工程に限る)のいずれか一つ以上との関連が確認できること。
A転用する設備の使用用途が、補助金申請時点における「生産を目的とした設備投資等営利活動とみ なされるもの」に該当しないこと。

補助事業とは別の事業のために転用した場合、どうなるのか。たぶん、行政機関ごとに解釈は違うのでしょうね。次の目的外使用をご覧下さい。

<目的外使用>
当然、認められません。
しかし、これが厄介です。
例えば、補助金でAという製品のための検査用機材を買ったとします。この機材をBという製品の検査に使ったら、それは目的外使用ですが、そこまで問題視するのは、いかがなものかと思います。
しかし、Aという試作品を作るために買った設備を、承認を受けて製品Aの生産のために転用したのだが、Aが期待通りの販売実績が上がらないため、その後、Bという製品の量産化に転用した。
とすれば、これは目的外使用だと思います。
しかし、現実問題として、製品Aが売れなければ、そのための生産設備も遊休化します。どうでしょう。
おそらく、担当者に照会すれば、「設備の評価額を返納してから自由に使ってください」と、答えるのではないかと、思われます。
各担当セクションごとに、温度差がかなりあるのではないでしょうか。
気が付かないということも、あるでしょうし・・・。というより、ほとんどがそうかも・・・。

そんな細かいことを言われたくないのでしたら、最初から補助金申請などしないことを、お勧めします。


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