<補足説明>

小さな会社は3つの「S」に気をつけろ
私見ですが、中小企業が補助金申請するときに、<注意しなければならない事業分野>というのがあるのではないかと考えます。(※必ず避けるべき、という意味にあらず)
それは、3つのS、スピード、スケール、ストックが必要とされるフィールドです。

(1) スピード
前述のように、補助金申請には時間がかかります。
そのうちに、競合他社は水面下で事業を進行させているかもしれません。 特にITなど、“ドッグイヤー”と称されるようなスピード感の必要な事業分野では、先手必勝となります。
売れそうな新技術→製品がたくさん出回る→値崩れする、という図式も頭に置いておかなければなりません。

(2) スケール
大規模開発や、多額の資本投資が必要とされる事業はもとより中小企業には向きません。 しかし、小さく産まれて大きく育つ事業というのがあり、それは中小でも着手することは可能です。
ところが、こういう分野で事業の成功が見込まれてくると、大々的に事業展開を行おうという大手が進出してきます。中小企業は途中で駆逐されてしまいます。
例えば、学校などで災害時に使う毛布や簡易トイレなどだと、契約が1件成立するとかなりの個数が売れます。
現実にその供給が可能か、大手と競合した場合に勝ち残ることができるか、の検討が必要です。

(3) ストック
補助金というのは「後払い」が原則です。
それに、開発助成金だと、「事業が完了し、補助金額が確定するまでは、補助事業の収益を上げてはいけない」という条件付きになります。
補助金が後から払われる、しかも、途中で収益を回収できないということになると、それまでの間、企業は食いつないでいかなければなりません。
既存事業で食いつなげるなら結構ですが、通常は、金融機関から融資を受けて何とかします。
その利息に補助金は充填できません。
ということですので、事業化まで長い期間を要する事業については、それまでの食いつなぎをどうするか、という申請事業とは関係ない心配をしなければならないと、覚悟してください。

小規模な事業であっても、立ち上げ直後にかなりの資金の蓄積を要するものがあります。
例えば、人材派遣事業を開始した場合、派遣された登録者にはその月から給与を支払わなければなりません。
しかし、派遣先の企業から経費を回収できるようになるまでには、1〜2月かかります。
それまで、登録者の人件費を負担しなければならないのです。人数が大きければかなりの負担になります。
給与が遅延するようだと、労働基準法違反になります。それは犯罪です。「補助金がもらえないから」では、言い訳になりません。


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