補助対象事業に採択されて、申請事業は完遂されたのだが、補助金はゼロだった、というようなケースが生じる可能性はゼロではありません。
難しい審査をパスして、さんざんじらされた経営者さんは、すぐにも補助事業に取りかかりたいと思います。
気をつけてください。補助金には「補助対象期間」というのがあります。 |
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補助金を受け取ることができるお金は、この補助対象期間内に実行された手続に限定されます。
例えば、「補助対象期間 平成29年5月1日〜平成30年2月末日」といったような決まりが、ひっそりと書かれています。
この場合は、実際の発注を4月中に行うと、その注文は補助対象がら外されます(事前見積はOKですが)。
また、納品が平成29年4月だったり、平成30年3月だとすると、これも補助対象から外されます。 |
書類の事前チェックは、金額も大事ですが、発行された年月日もとても重要です。 |
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補助金によっては、役所の会計年度主義の呪縛から逃れられないものもあり、例えば10月採択であっても、対象期間が2月末で区切られていると、わずか5ヵ月弱の間で、事業に必要な設備等の発注、納品、事業の立ち上げ、事業成果の確認、確定検査、補助金申請といった一連の流れをこなさなければならなくなります。
日常業務を遂行する傍らで経営者が担うには、かなりの負担です。
「補助金をもらうために、新しく従業員を雇うわけにはいかない・・・」という、経営者の不満が聞こえてきます。 |
このことを避けるため、補助金の原資を外郭団体に「基金」としていったん積立てておき、徐々に使うという方法が取られます。会計年度に縛られた役所直営より便利なので、多用されていますが、そのうち、役所内に補助金のノウハウを持った人材がいなくなります。 |
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多くの補助金は、「展示会出展費用」が補助対象項目に上げられています。
しかし、展示会の多くは2年周期で事業がローテーションしていまして、今年の展示会が開催されている時には、すでに次回の展示会の出展社募集が開始されているということが、多くあります。
その場合、展示会の申し込み→実施→経費の支払い、のスパンは1年を越えます。
つまり、展示会出展費用が補助金の対象経費となっていても、実際に出展したい展示会には間に合わないということが多いのです。
それに、人気の展示会は常連客優先で新規参加が難しいという場合もある、なんてことも忘れないでください。 |
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また、<開発過程>を対象とした補助事業は、売上を上げたら終了となります。
しかし、商業・サービス業では、すぐにも収益を上げたい。
だから、「収益発生直前まで」という、別のタイムリミットが発生します。
これが補助対象期間とは別の締切期限としてステルスに存在します。その事情は、企業1社ごと、1事業ごとに違います。 |
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補助対象期間が長いのは便利ですが、補助事業がすべて終了し確定検査を受けないと補助金は支給されません。
補助額が大きいと、企業は資金繰りに行き詰まってしまいます。
こうしたことから、中間支払いの組み込まれた補助金も現れるようになってきました。製造業向けの補助制度が多いようですが、規模の小さい企業向けにも、そういう仕組みがあると便利です。 |
補助金請求額・決定額と、補助金確定額の乖離が少ない補助金なら、金融機関の融資を受けやすくなります。本論で検討した補助金は、そういうメリットも念頭に置いています。 |
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