<補足説明>

こういう内容の事業だと、審査する側も躊躇する
(1)人の身体に影響を与えるもの

すべてがそうとは言いませんが、「直接、人の健康に影響を与えるもの」について、公的なお墨付きを出すのは、採択側としてやはり躊躇するところとなります。
美白、アンチエージング、デトックス、遠赤外線、痩身器具、サプリメント、健康食品といった提案は、もちろんその中に効果があるものもあるのでしょうけど、審査する側は、採択を承認した後で「何か事故が発生したらどうしようか」、「実際に効果が無いことが証明されたらどうしようか」という不安な気持ちになる。
これは致し方ないことです。
こういった商品の多くは、その効能書きが薬事法や景品表示法上の岩盤規制に引っかかる可能性が高いとお考えください。
逆にトクホや機能性食品などの認定を取っていると、大きなアドバンテージになるのですが、費用が高くてねぇ・・・。
日常生活用品か医薬部外品か、というのにも、様々な規制があるようです。
「保湿力UP!」と書くと×なのに、「保湿UP!」と書くと〇という話を以前聞きました。「〇〇力」は身体への影響を与えるもの、単に保湿効果があるだけなら、それは物理的な作用。詭弁のように思えますが、役人はそういう判断をします。
参考:
薬事法ドットコム→

(2)裏づけデータが欠如しているもの

また、科学的な裏づけがない発明も敬遠されます。
例えば、燃料効率を飛躍的に上げる方法というのは、以前から提案されており、複数の企業が開発を続けています。
ある種の薬品をガソリンに入れると燃費が向上するという提案です。

かつてブラウンガスという詐欺まがいの事件があったせいか、この手の事業が、補助対象事業あるいは経営革新計画として採択されたという例を、少なくとも私は知りません。
本当にそのとおりなら爆発的に普及してもいいはずであって、かつてのハイオクタンガソリンのように健康に悪影響があるとか、精製に必要なエネルギーの方が燃焼効率増加分より大きいとか、市場に投入するには障壁が大きすぎるとか、安全性に難があるとか・・・・いろいろと理由があって採択されないのではないかと思います。

説得力のある説明をするためには、公的機関による効果測定が求められます。
でも、補助対象期間前に支出した費用は、補助してもらえません。

そして、何と言っても最大の問題は、それがホンモノなら大資本がこぞって算入してしまう、ということです。
「素晴らしい発明なのに、誰も商品化していない」――というアイデアであれば、取りあえず「何故だろう」と自問してください。



「当社のメンテナンス手法を使えば、燃費が著しく改善されます」というのもあります。

補助金申請される案件は、多岐に渡っています。
そして、審査する側は、たくさんの案件を扱っているので、いろいろな裏事情も知っています(※そうでないかも知れませんが?)。

申請書作成にあたっては、審査員の気持ちも斟酌する必要があります。
つまりは、審査員が安心して採択できるような事業案であることが求められるのです。
先に述べた「許認可の届出」の把握も、その効果があります。
これから派遣労働の仕事に乗りだそうという企業なら、届出関係など、当然知っているべきです。
例えば「廃棄されているものを再利用する」という大変意義のある事業をするとすれば、審査で「古物営業法に抵触しませんか」と聞かれます。そういう場合は、スキッと答えられる準備がないといけません。


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