<補足説明>

補助金では、最初の決定額が全額出ないのが普通
補助金申請が簡便にできる時代になってきましたが、やはり事前に金額は確定させておかなければなりませんので、採択後の審査は入念に行われます。
その際、「この費用は対象」「この費用は対象外」といった具合に仕分けされますが、あてにしていた経費が対象とならないことを初めて知って、がっかりする経営者もいます。

補助事業が実施期間の途中で、事業実施状況のチェックが入ることがあります。
「査察」のようで気後れしてしまいますが、途中で費用面の確認ができますから、最終段階で確実に補助金を受け取るためには、むしろ必要なことだと言えます。

最終的には確定検査を経て、はじめて補助金が振り込まれます。
補助金額を確定するためには、裏づけ書類が必要です。(※役所ではこれを「エビデンス」と呼ぶようですが、最初は何のことかさっぱりわかりませんでした)

補助金の受取額は、補助金の申請額より減るのが普通です。
現実に購入した品物が目の前にあったとしても、契約書や領収書の類が欠落していると、補助対象経費から外されます。
例えば、勝手にカードでお金を振り込んでしまうと記録が残りません。そこで、面倒でも銀行振込をして、記録を残さなければなりません。 「現金で渡した」というのが通用しないこともあります。
逆に、お金の支払いは確認できても、補助金で購入した現物がないと、補助事業の実施が確認できませんから、当然、補助金が出ません。 「お金は支払っているけど、相手先の都合で納品が遅れている。こっちが悪いわけじゃない」という言い訳は通用しません。

よくあるウッカリケースとして、PRチラシやカレンダーを作ったのだが、全部配ってしまって、手元に1枚も残っていない、ということがあります。せめて1枚は残しておいてください。

最近では、インターネットなどでクリック回数に応じて課金される広告もあるようですが、実際に何回クリックされたかなどの記録がネット会社から受け取れないと、補助対象にはできないことになります。
このようにして、最終的に出る補助金の額はだんだんと減っていきます。

また、IT企業にシステムを作ってもらう場合、一から作るというのは非効率なので、通常は既存のプログラムのカスタマイズが行われます。 この既存のプログラムは、補助対象ではないのです。 じゃ、どこからがカスタマイズ部分で、どこまでが既存のプログラムなのか、どうやったら判断できるでしょうか。その切り分けを求められる場合も、実際にはあります。(※ホントにそんなことができるのか、疑問ですが・・・)
切り分けられなかったり、契約書に切り分けの規定がないと、補助対象から丸ごと外されることもあります。システムは額が大きいだけに、事前に確認しておくことが重要になります。
このへんのところは、各補助金の実施団体によって取扱いが違うと思うので、事前に「補助対象となるかどうか」確認しておく必要があろうかと思います。(※もちろん、自己負担で行う分には問題ありませんが・・・)

事業途中で計画変更を余儀なくされることもあります。 その場合、支出経費が変わりますから、そもそも対象経費にならない費用を支出してしまったり、流用制限を超えてしまったりすることも生じます。
多い失敗は計画変更を事前に申請していない場合で、すべての書類がそろっていても、この手続一つ忘れたために補助対象から外される場合もあるのです。
こういったことは、補助金採択後にいちおう説明されているのですが、ま、普通の経営者は憶えていません。

こういう七めんどくさい手続が、補助金事業に採択されたばっかりに生じます。 ですから、補助金をもらい馴れていない企業にとっては、とても大変なことになります。
「もう、うんざり」って声も聞こえてきそうですね。 しかし、制度上、そういうことになっているので避けて通るわけにはいかないのです。


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