<補足説明>

商業・サービス業に新規性を求めるのは、無理がある
製造業補助の場合、ものづくりですから、新製品・新事業の「開発」を審査する場合が普通です。

しかし、商業・サービス業の場合は、これとは少し違います。
たしかに、歌声喫茶がカラオケになったり、美容業からエステやネールやアロマのサービスが生まれることもありますが、そういうことはまれにしかありません。
対面販売がネット販売になったり、特定会社の物流部門が業界全体の物流を手がけたり、フランチャイズのようなチェーン展開が編み出されたりすることもありますが、それは商品自体に新規性があるわけではありません。商品の売り方の変革です。
文具メーカーの配送部門が独立してアスクル株式会社になるケースなど、きわめてまれだと思います。

めったに起こらない突然の進化を期待していたのでは、商業・サービス業全体の経営改善につなげる効果は薄くなってしまいます。
むしろ、個々の店舗の地道な経営改善や店舗展開を地道に支援していく方が、良いと思います。

しかし、これまでのところ「そういうのは企業が勝手にやっていけばいいこと、公費の支援対象ではない」と、行政からは無視されてきました。
ところが、商店の経営者が高齢化し、店舗が次々とシャッターで閉められるようになると、行政としてそれに対して何もせずに放置しておくのはいかがか、と考えられるようになってきています。
こうした流れの中で、商業・サービス業の経営改善を働きかけよう、という話が出てきたわけです。

本事業について、私が社会貢献コースの他に、経営力向上コースを作ったのは、商業・サービス業に新規性を求めることには、そもそもムリがあると感じたからです。
リスクの高い新規事業に誘導するより、既存事業のパワーアップの方が好ましい場合があっても、ちっとも不思議はありません。
これから伸びてもらいたい企業を、早いうちから加速させてあげるのも、行政の役割なのではないでしょうか。


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